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異世界少女
異世界少女ー⑥
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カナリヤは何もなかったように調合室を出た。
「コンコン」
ドアをノックする音がした。カナリヤはシャリングに出てといい自分はソファに座った。
「はい」
「あ、こんにちは…マリヤです。カナリヤ様いらっしゃいますか?」
「はい。待っててください」
一度ドアを閉めカナリヤを見た。カナリヤは目をつぶって天井を見上げている。
「どうする?」
「はぁ、通して」
面倒くさそうに言った。
「どうぞ、入ってください」
「あ、ありがとうございます」
お辞儀をしてマリヤは入ってきた。カナリヤを見るとさっきの面倒くさそうな顔は消えニコニコしている。
シャリングはなにかゾワっとした。
「こんにちは。どうされました?」
「あ、あの、私異世界から来たと申しましたよね?」
「はい」
「それで…何故か私魔法が使えて、皇太子様の病気を治しました。けれどこの魔法はどういったものなのか調べられますかね…?」
「あー、難しいですね。私も異世界についてはよく分からず…その魔法も稀に生まれたものなのか…分からないことがありすぎて私にも分かりません」
「そうですか…」
「お力になれなくてすみません」
「いえいえ!大丈夫ですよ。私が聞きたいことはこれだけなので…それでは」
マリヤはサッサと出ていった。
「分からないことがありすぎて分からないってどういうことだよ」
チラッとカナリヤを見て言った。
「さあ、適当に言ったらそうなった」
目を細めながら机の上にあった本たちを読んだ。
その時カナリヤの手が震えだした。手に持っていた本が落ち、カナリヤは痙攣をおこした。
「大丈夫か?!今医師連れてくるから」
シャリングが呼びに行こうとカナリヤが止めた。
声が出ないのか横に首を振っているだけだ。
「だけど、そうしなきゃお前死ぬぞ?!」
言ってもカナリヤは首を振るだけだ。シャリングもカナリヤが何を考えているのか分からないためどうすればいいのか判断を下せなかった。
一旦カナリヤをベッドに寝かせた。痙攣もすぐに止みカナリヤは寝てしまった。
シャリングはカナリヤの頭に冷えたタオルを被せた。
カナリヤはいつもこんなことをしていたのか。この城に来る前までもこんな危険なことをしてきたのか。
自分のことはどうでもいいから、こんなことも普通にしているのか。そこまでして何をしたいのだろう。
さっぱり分からない。いや、何故か分かりたくもない。分かってしまったらカナリヤが離れていく気がする。
自分がカナリヤを避けるかもしれない。
それほどカナリヤがしようとしていることは大きいものなのだと感じた。
「君は何がしたいんだ…」
カナリヤの頭を撫でながら小さな声で言った。
「コンコン」
ドアをノックする音がした。カナリヤはシャリングに出てといい自分はソファに座った。
「はい」
「あ、こんにちは…マリヤです。カナリヤ様いらっしゃいますか?」
「はい。待っててください」
一度ドアを閉めカナリヤを見た。カナリヤは目をつぶって天井を見上げている。
「どうする?」
「はぁ、通して」
面倒くさそうに言った。
「どうぞ、入ってください」
「あ、ありがとうございます」
お辞儀をしてマリヤは入ってきた。カナリヤを見るとさっきの面倒くさそうな顔は消えニコニコしている。
シャリングはなにかゾワっとした。
「こんにちは。どうされました?」
「あ、あの、私異世界から来たと申しましたよね?」
「はい」
「それで…何故か私魔法が使えて、皇太子様の病気を治しました。けれどこの魔法はどういったものなのか調べられますかね…?」
「あー、難しいですね。私も異世界についてはよく分からず…その魔法も稀に生まれたものなのか…分からないことがありすぎて私にも分かりません」
「そうですか…」
「お力になれなくてすみません」
「いえいえ!大丈夫ですよ。私が聞きたいことはこれだけなので…それでは」
マリヤはサッサと出ていった。
「分からないことがありすぎて分からないってどういうことだよ」
チラッとカナリヤを見て言った。
「さあ、適当に言ったらそうなった」
目を細めながら机の上にあった本たちを読んだ。
その時カナリヤの手が震えだした。手に持っていた本が落ち、カナリヤは痙攣をおこした。
「大丈夫か?!今医師連れてくるから」
シャリングが呼びに行こうとカナリヤが止めた。
声が出ないのか横に首を振っているだけだ。
「だけど、そうしなきゃお前死ぬぞ?!」
言ってもカナリヤは首を振るだけだ。シャリングもカナリヤが何を考えているのか分からないためどうすればいいのか判断を下せなかった。
一旦カナリヤをベッドに寝かせた。痙攣もすぐに止みカナリヤは寝てしまった。
シャリングはカナリヤの頭に冷えたタオルを被せた。
カナリヤはいつもこんなことをしていたのか。この城に来る前までもこんな危険なことをしてきたのか。
自分のことはどうでもいいから、こんなことも普通にしているのか。そこまでして何をしたいのだろう。
さっぱり分からない。いや、何故か分かりたくもない。分かってしまったらカナリヤが離れていく気がする。
自分がカナリヤを避けるかもしれない。
それほどカナリヤがしようとしていることは大きいものなのだと感じた。
「君は何がしたいんだ…」
カナリヤの頭を撫でながら小さな声で言った。
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