腹黒薬師は復讐するために生きている

怜來

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マリヤとカナリヤ

マリヤとカナリヤー②

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「よくぞ、いらしてくださいました」

「誘っていただき光栄です」

カナリヤは真っ黒なドレスを着飾り国王のもとへ行った。カナリヤのドレス姿を初めて見たシャリングは

(綺麗だな)

と心の中で褒めていた。言葉に出すとまたカナリヤに気持ち悪いと言われる。だから、口には出さなかった。

「そのドレス綺麗ですね。似合っています」

「ありがとうございます」

「そろそろマリヤも来る頃かと」

皇太子が扉の方をチラチラと見ながら行った。

(そんなにマリヤが待ち遠しいのか)

シャリングは皇太子を見る。ずっとソワソワしていた。

そこへマリヤが入ってきた。水色と白色のドレスを着ている。カナリヤとは正反対の色。

「おお、来たか。そのドレス似合ってるな」

「あ、ありがとうございます」

マリヤは照れている。

(この二人できてるんじゃないか…?)

聖女として現れたマリヤとこの国の皇太子。お似合いだろう。国王も分かってマリヤを呼んだのだろう。

それなのに何故カナリヤを呼ぶ必要があった?

(あんま考えないようにしよ。最近考えてばっかで頭が痛い)

「それじゃあ集まったということで乾杯をしようではないか」

それぞれ前にあったグラスを手に取り飲んだ。マリヤとカナリヤ、皇太子は未成年のためお酒ではなかった。

シャリングはカナリヤをずっと見ていた。もしかしたらそこに毒が盛ってあるのかもしれない。

いつでも危機感を忘れないようにした。

「しかし、この国はとても恵まれていますね」

「なぜです?」

「あなた達のような優秀な方がおられるからですよ」

「そ、そんな優秀では無いですよ。カナリヤ様に比べたら私はまだまだですよ」

マリヤが言う。皇太子はいやいやと首を振った。

「あなたがいたおかげで私は今ここにいるんです。マリヤも十分凄いですよ」

皇太子とマリヤが二人で話している。

カナリヤを見るとずっとフォークを持っている手がぴくぴくとしていた。目の前でいちゃつかれてはムカつくだろう。

シャリングにもその気持ちはわかる。

「あ、そうだ。私の誕生日パーティーの招待状受け取りましたか?」

「はい、ご招待して下さりありがとうございます」

カナリヤが頭を下げる。

「いえいえ、是非来てくださいね」

「はい、行かせてもらいます」

笑いかけている。

「皇太子様は今度のお誕生日でいくつになられるのですか?」

「今年で17だ」

「そうなんですか。私よりも二つ上ですね」

マリヤが言う。

(という事は同い年だ。まさか歳も同じとは)

シャリングはため息を着く。十五というものは危険なことばかりする歳なのか…?
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