腹黒薬師は復讐するために生きている

怜來

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マリヤとカナリヤ

マリヤとカナリヤー①

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「はい、完成です」

「へぇ、これが毒ですか?」

「ええ、ちょっと待っててください。瓶に入れますね」

「ありがとうございます」

毒作りを初めてから四時間くらいが経過しただろう。その間二人は真剣に毒を作っていた。

シャリングはずっと二人を見守っていた。暇すぎて仕方がなく、カナリヤに許可を貰い瓶をいじっていた。

すると部屋の奥のにあった棚に箱が置いてあった。
気になって開けてみるとそこには一冊の薄っぺらい本とシャーレが二つ、スポイト一つに顕微鏡一台が入っていた。

滅多に見ないものが多くあり見とれていた。一冊の本を手に取りそれをパラパラとめくった。それを見たシャリングはパタッと本を落とした。






カナリヤは瓶に毒を詰めマリヤに渡した。

「はいどうぞ」

「ありがとうございます。難しかったけど楽しかったです。お忙しい中ありがとうございます。これを使って色々と研究していこうと思います!」

「頑張って」

明るく振る舞いマリヤを見送った。カナリヤは調合室で片付けを始めた。シャリングはさっきの箱を元あった場所に戻しカナリヤの元へ行った。

何も無かったかのように平然と偽った。

「おつかれ、カナリヤ」
 
カナリヤは何も言わない。ただ、黙々と片付けをしている。しかし大丈夫なのだろうか。あの毒をマリヤに渡して。

また何か考えているのだろうとシャリングは分かっていても不安で仕方なかった。

「本当にあの毒渡してよかったのか?」

「いいから渡したんでしょ」

「そうか…」

シャリングはカナリヤの後片付けを手伝った。するとドアを誰かがノックした。

シャリングが開けると侍女がいた。

「急に申し訳ございません。皇太子様からカナリヤ様にお言葉を預かりまして」

「私ですか?なんでしょう」 

「これをどうぞ…皇太子様の誕生日パーティーの招待状です。皇太子様がカナリヤ様をご招待なされました」

「…そうですか。ありがとうございます」

「あと、皇太子様と国王様がカナリヤ様を今夜の食卓にご招待なされましたよ」

カナリヤは一度考えていた。

「分かりました。行くとお伝えして貰ってもいいですか?」

「かしこまりました。失礼しました」

侍女はそう告げ出ていった。

「行くのか…?」

「当たり前でしょ」

カナリヤは準備をしだした。シャリングはさっき見た箱のことを聞こうと思ったが聞いちゃいけない気がして言わなかった。

なんであそこにあんなものが置いてあったのだろう。いかにも意図的に置かれている感じがした。

シャリングはカナリヤを見た。いつもと変わらず冷ややかな目をしている。

溜息をつく。
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