腹黒薬師は復讐するために生きている

カナリヤの真相

カナリヤの真相ー⑤

「そこにはムチで背中を叩かれる人や牢屋に閉じこまれている人達。どこからか聞こえてくる人々の悲鳴。やせ細って今にも折れそうな人々。しかも……人も……殺していた……ルリスも隣でそれを見ていた。ルリスは危険だと言ってすぐにここを離れようって言ったの。私もすぐにその光景を見て感知して木から降りて村に戻ろうとした。その時だった。いつの間にか周りにたくさんの男たちがいて囲まれていた……そしてら、こちらに一人の男が歩いてきた」





「あらら、見てしまったか……しかし、よくこんな森深くに来たな」

カナリヤは恐怖と驚きでその場で立ち尽くした。恐る恐る振り向くとそこには男たちが沢山いた。

ルリスはすぐさまカナリヤの前に立った。

「まあ、見てしまったならしょうがない。君たちを始末しなきゃな」

その言葉と同時に周りにいた男たちは剣を取り出した。カナリヤは怖くてその場に座り込んでしまった。ルリスは男に話しかけた。

「ここはなんなんですか？あなたたちは一体誰ですか？」

「知りたいか？ここはな、人々を集めて実験したりしてるんだよ。まあ、いわゆる人体実験をする場所だ。私はそのリーダーのサンザリカ･アルファだ」

サンザリカと名乗る男は浅く頭を下げた。

「まあ、名乗ったところで君たちはここでおさらばだけどな」

サンザリカは剣を取り出した。

「待って」

ルリスがカナリヤの前に出た。

「……私はどうなってもいい。だから、カナリヤだけは見逃してあげて」

「ほう、自分を捨ててそいつを守るってか？笑えるな」

「ええ、そうよ」

サンザリカはカナリヤを見た。カナリヤはサンザリカと目があった。サンザリカは不気味な笑みを浮かべた。

「だが、そいつがこのことをバラすかもしれない。生かすわけにはいかねぇな」

「別にバラしても私たち子供のことを信じる大人なんていないでしょ」

「それは分かんないぞ」

サンザリカはカナリヤの方を見ながら言う。カナリヤは落ち着きを失っていた。
雨が次第に強くなっていった。

「そろそろこの話を終わりにしようか」

「お願いだからこの子だけでもいいから帰らせてあげて」

必死にルリスが言っている。カナリヤは震える足を踏ん張って立ち上がった。そしてルリスを見た。

ルリスの手は震えていた。

（やめて……ルリスダメだよ……死なないで…）

声を出そうとしても恐怖で出なかった。

「こいつを生かすか、殺すかはお前を殺したあとだ」

サンザリカは剣を奮った。