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カナリヤの真相
カナリヤの真相ー⑥
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気づいた時には目の前でルリスが倒れていた。何が起こったのか分からずルリスを見た。
「ルリ……ス?」
カナリヤが呼んでも返事は返ってこなかった。
「ルリス……ルリス!」
カナリヤはルリスをさすった。けれど反応はなかった。
「なんで……ルリス嫌だよ……死んじゃダメ」
「…………カナ……リヤ……」
「ルリス!」
「ごめんね……これ…以上一緒……にいてあげられなくて……」
「ううん。これからも一緒だよ。大丈夫。すぐに治すから」
カナリヤは必死になってルリスの体に布を巻き、血を止めようとした。けれど、剣で切られたルリスの体から出る血は大量で止まる気配はなかった。
「カナリヤ……あなただけでも生きて。幸せになって……」
ルリスはカナリヤの顔に手を当てた。少しフッと笑いながらルリスの手はスルスルと落ちていった。
「ルリス!!」
もう返事をしても返ってくることはなかった。カナリヤは目から大粒の涙を流した。
「お、死んだのか」
サンザリカがカナリヤに近づいてくる。カナリヤはサンザリカの言葉を無視していた。
何も考えることが出来ず、ただただ今、目の前の現実を受け入れるのに必死だった。
「そいつの名前ルリスなのか」
「……黙れ」
「ん?」
「その汚い口でルリスの名前を呼ぶな」
カナリヤは今までに見た事のない目でサンザリカを見た。怒りで頭はいっぱいだった。
立ち上がりサンザリカの目の前にたった。
「よくも……よくもルリスを……!」
サンザリカの胸もとを掴んだ。すると周りの男たちがカナリヤを掴んだ。
「ったく、せっかく綺麗にした服を汚さないでもらえるか?」
サンザリカは服を整えながらカナリヤを見た。
「一つ言っておくがこいつが死んだのはお前のせいだ。こいつはお前を庇って死んだんだぞ?」
その時カナリヤの怒りは止まった。
そうだ、自分のせいでルリスは死んだ。自分のせいだ。自分のせいだ。
カナリヤはずっと自分を攻めた。サンザリカの言う通りだ。
「まあ、お前は殺そうと思ったが殺さないでおこう。こいつはお前のせいで死んだ。その罪を一生持ったまま生きてるんだな。行くぞ」
そのままサンザリカと男たちは去っていった。カナリヤは力が抜けその場で座り込んだ。
光がない目から涙が出てきた。そんなカナリヤの姿を一人の男が見ていた。
「ルリ……ス?」
カナリヤが呼んでも返事は返ってこなかった。
「ルリス……ルリス!」
カナリヤはルリスをさすった。けれど反応はなかった。
「なんで……ルリス嫌だよ……死んじゃダメ」
「…………カナ……リヤ……」
「ルリス!」
「ごめんね……これ…以上一緒……にいてあげられなくて……」
「ううん。これからも一緒だよ。大丈夫。すぐに治すから」
カナリヤは必死になってルリスの体に布を巻き、血を止めようとした。けれど、剣で切られたルリスの体から出る血は大量で止まる気配はなかった。
「カナリヤ……あなただけでも生きて。幸せになって……」
ルリスはカナリヤの顔に手を当てた。少しフッと笑いながらルリスの手はスルスルと落ちていった。
「ルリス!!」
もう返事をしても返ってくることはなかった。カナリヤは目から大粒の涙を流した。
「お、死んだのか」
サンザリカがカナリヤに近づいてくる。カナリヤはサンザリカの言葉を無視していた。
何も考えることが出来ず、ただただ今、目の前の現実を受け入れるのに必死だった。
「そいつの名前ルリスなのか」
「……黙れ」
「ん?」
「その汚い口でルリスの名前を呼ぶな」
カナリヤは今までに見た事のない目でサンザリカを見た。怒りで頭はいっぱいだった。
立ち上がりサンザリカの目の前にたった。
「よくも……よくもルリスを……!」
サンザリカの胸もとを掴んだ。すると周りの男たちがカナリヤを掴んだ。
「ったく、せっかく綺麗にした服を汚さないでもらえるか?」
サンザリカは服を整えながらカナリヤを見た。
「一つ言っておくがこいつが死んだのはお前のせいだ。こいつはお前を庇って死んだんだぞ?」
その時カナリヤの怒りは止まった。
そうだ、自分のせいでルリスは死んだ。自分のせいだ。自分のせいだ。
カナリヤはずっと自分を攻めた。サンザリカの言う通りだ。
「まあ、お前は殺そうと思ったが殺さないでおこう。こいつはお前のせいで死んだ。その罪を一生持ったまま生きてるんだな。行くぞ」
そのままサンザリカと男たちは去っていった。カナリヤは力が抜けその場で座り込んだ。
光がない目から涙が出てきた。そんなカナリヤの姿を一人の男が見ていた。
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