59 / 111
隣国 アンリー
隣国 アンリー⑥
しおりを挟む
「待ってください」
シャリングが言う。
「俺も騎士団入ります。ちょうど興味をもっていたので」
「本当か?!」
サンザリカは嬉しそうに喜ぶ。カナリヤはシャリングを睨む。ハーネストも驚いている。
「そしたら一ヶ月後に騎士団に来るといい。待っているよ。第一試験から第三試験まである。まあ君たちはクリアできるだろう。私の推薦だからな。集合は九時からね。遅れないように。それじゃあな。引き止めて悪かった」
サンザリカはそのまま行ってしまった。
サンザリカが見えなくなったあとカナリヤはシャリングを睨んだ。
「お前正気か?騎士団は危険なんだぞ?軽い気持ちで行くと潰されるぞ!」
「そんなのカナリヤだって一緒だろ?危険なら尚更カナリヤ一人に行かせられないよ」
「私は大丈夫だ。それに騎士団に入るのは大変だ。お前みたいなのに入れるわけないだろ」
きつい言葉をシャリングに放つ。カナリヤはそのまま門の方へ歩いていってしまった。
「あいつがお前にきつい言葉を言うのはお前を巻き込みたくないんだろう。分かってやれ」
「だったらなんで関係な人達を今まで巻き込んだんですか」
シャリングの肩にのっていた手がするりと落ちる。
「それに、俺は関係あります。俺の父さんがあの建物に加担していたのだから俺にだって関係があることです」
ハーネストは何も言い返してこない。
「俺は大丈夫です。カナリヤを…守ってやりたいんです」
『私はカナリヤのことを守ってあげたいな』
ハーネストはシャリングをルリスに重ねた。ルリスと同じような言葉を言っている。
「……そうか……」
シャリングは先に門へと歩いていく。その後ろ姿を見てボソッと言う。
「ルリス…」
『ルリスはどうしてそこまでカナリヤにこだわるの?』
『……カナリヤは小さい頃に私の親に引き取られて、本当の親の顔を知らないんだよね。だから、少しでも寄り添ってあげたいの。カナリヤはいい子なんだけど、いっつも一人で悩みとか抱え込んじゃうの。それで一人でどうにかしようとして、苦しんでいるの。だから、私が少しでも力になってあげたいの。だからハーネストも私がいない時はカナリヤに寄り添ってあげてね』
ルリスはニコッと笑う。
『だから私はカナリヤを守ってあげたいな』
「ルリス……僕じゃあカナリヤを守れないけど…あいつならカナリヤを守ってくれそうだよ……ごめんね…僕では守れないよ…」
シャリングが言う。
「俺も騎士団入ります。ちょうど興味をもっていたので」
「本当か?!」
サンザリカは嬉しそうに喜ぶ。カナリヤはシャリングを睨む。ハーネストも驚いている。
「そしたら一ヶ月後に騎士団に来るといい。待っているよ。第一試験から第三試験まである。まあ君たちはクリアできるだろう。私の推薦だからな。集合は九時からね。遅れないように。それじゃあな。引き止めて悪かった」
サンザリカはそのまま行ってしまった。
サンザリカが見えなくなったあとカナリヤはシャリングを睨んだ。
「お前正気か?騎士団は危険なんだぞ?軽い気持ちで行くと潰されるぞ!」
「そんなのカナリヤだって一緒だろ?危険なら尚更カナリヤ一人に行かせられないよ」
「私は大丈夫だ。それに騎士団に入るのは大変だ。お前みたいなのに入れるわけないだろ」
きつい言葉をシャリングに放つ。カナリヤはそのまま門の方へ歩いていってしまった。
「あいつがお前にきつい言葉を言うのはお前を巻き込みたくないんだろう。分かってやれ」
「だったらなんで関係な人達を今まで巻き込んだんですか」
シャリングの肩にのっていた手がするりと落ちる。
「それに、俺は関係あります。俺の父さんがあの建物に加担していたのだから俺にだって関係があることです」
ハーネストは何も言い返してこない。
「俺は大丈夫です。カナリヤを…守ってやりたいんです」
『私はカナリヤのことを守ってあげたいな』
ハーネストはシャリングをルリスに重ねた。ルリスと同じような言葉を言っている。
「……そうか……」
シャリングは先に門へと歩いていく。その後ろ姿を見てボソッと言う。
「ルリス…」
『ルリスはどうしてそこまでカナリヤにこだわるの?』
『……カナリヤは小さい頃に私の親に引き取られて、本当の親の顔を知らないんだよね。だから、少しでも寄り添ってあげたいの。カナリヤはいい子なんだけど、いっつも一人で悩みとか抱え込んじゃうの。それで一人でどうにかしようとして、苦しんでいるの。だから、私が少しでも力になってあげたいの。だからハーネストも私がいない時はカナリヤに寄り添ってあげてね』
ルリスはニコッと笑う。
『だから私はカナリヤを守ってあげたいな』
「ルリス……僕じゃあカナリヤを守れないけど…あいつならカナリヤを守ってくれそうだよ……ごめんね…僕では守れないよ…」
0
あなたにおすすめの小説
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
【受賞&書籍化】先視の王女の謀(さきみのおうじょのはかりごと)
神宮寺 あおい
恋愛
謎解き×恋愛
女神の愛し子は神託の謎を解き明かす。
月の女神に愛された国、フォルトゥーナの第二王女ディアナ。
ある日ディアナは女神の神託により隣国のウィクトル帝国皇帝イーサンの元へ嫁ぐことになった。
そして閉鎖的と言われるくらい国外との交流のないフォルトゥーナからウィクトル帝国へ行ってみれば、イーサンは男爵令嬢のフィリアを溺愛している。
さらにディアナは仮初の皇后であり、いずれ離縁してフィリアを皇后にすると言い出す始末。
味方の少ない中ディアナは女神の神託にそって行動を起こすが、それにより事態は思わぬ方向に転がっていく。
誰が敵で誰が味方なのか。
そして白日の下に晒された事実を前に、ディアナの取った行動はーー。
カクヨムコンテスト10 ファンタジー恋愛部門 特別賞受賞。
悪役令嬢は手加減無しに復讐する
田舎の沼
恋愛
公爵令嬢イザベラ・フォックストーンは、王太子アレクサンドルの婚約者として完璧な人生を送っていたはずだった。しかし、華やかな誕生日パーティーで突然の婚約破棄を宣告される。
理由は、聖女の力を持つ男爵令嬢エマ・リンドンへの愛。イザベラは「嫉妬深く陰険な悪役令嬢」として糾弾され、名誉を失う。
婚約破棄をされたことで彼女の心の中で何かが弾けた。彼女の心に燃え上がるのは、容赦のない復讐の炎。フォックストーン家の膨大なネットワークと経済力を武器に、裏切り者たちを次々と追い詰めていく。アレクサンドルとエマの秘密を暴き、貴族社会を揺るがす陰謀を巡らせ、手加減なしの報復を繰り広げる。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
甘そうな話は甘くない
ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
「君には失望したよ。ミレイ傷つけるなんて酷いことを! 婚約解消の通知は君の両親にさせて貰うから、もう会うこともないだろうな!」
言い捨てるような突然の婚約解消に、困惑しかないアマリリス・クライド公爵令嬢。
「ミレイ様とは、どなたのことでしょうか? 私(わたくし)には分かりかねますわ」
「とぼけるのも程ほどにしろっ。まったくこれだから気位の高い女は好かんのだ」
先程から散々不満を並べ立てるのが、アマリリスの婚約者のデバン・クラッチ侯爵令息だ。煌めく碧眼と艶々の長い金髪を腰まで伸ばした長身の全身筋肉。
彼の家門は武に長けた者が多く輩出され、彼もそれに漏れないのだが脳筋過ぎた。
だけど顔は普通。
10人に1人くらいは見かける顔である。
そして自分とは真逆の、大人しくか弱い女性が好みなのだ。
前述のアマリリス・クライド公爵令嬢は猫目で菫色、銀糸のサラサラ髪を持つ美しい令嬢だ。祖母似の容姿の為、特に父方の祖父母に溺愛されている。
そんな彼女は言葉が通じない婚約者に、些かの疲労感を覚えた。
「ミレイ様のことは覚えがないのですが、お話は両親に伝えますわ。それでは」
彼女(アマリリス)が淑女の礼の最中に、それを見終えることなく歩き出したデバンの足取りは軽やかだった。
(漸くだ。あいつの有責で、やっと婚約解消が出来る。こちらに非がなければ、父上も同意するだろう)
この婚約はデバン・クラッチの父親、グラナス・クラッチ侯爵からの申し込みであった。クライド公爵家はアマリリスの兄が継ぐので、侯爵家を継ぐデバンは嫁入り先として丁度良いと整ったものだった。
カクヨムさん、小説家になろうさんにも載せています。
退屈令嬢のフィクサーな日々
ユウキ
恋愛
完璧と評される公爵令嬢のエレノアは、順風満帆な学園生活を送っていたのだが、自身の婚約者がどこぞの女生徒に夢中で有るなどと、宜しくない噂話を耳にする。
直接関わりがなければと放置していたのだが、ある日件の女生徒と遭遇することになる。
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ化企画進行中「妹に全てを奪われた元最高聖女は隣国の皇太子に溺愛される」完結
まほりろ
恋愛
第12回ネット小説大賞コミック部門入賞・コミカライズ企画進行中。
コミカライズ化がスタートしましたらこちらの作品は非公開にします。
部屋にこもって絵ばかり描いていた私は、聖女の仕事を果たさない役立たずとして、王太子殿下に婚約破棄を言い渡されました。
絵を描くことは国王陛下の許可を得ていましたし、国中に結界を張る仕事はきちんとこなしていたのですが……。
王太子殿下は私の話に聞く耳を持たず、腹違い妹のミラに最高聖女の地位を与え、自身の婚約者になさいました。
最高聖女の地位を追われ無一文で追い出された私は、幼なじみを頼り海を越えて隣国へ。
私の描いた絵には神や精霊の加護が宿るようで、ハルシュタイン国は私の描いた絵の力で発展したようなのです。
えっ? 私がいなくなって精霊の加護がなくなった? 妹のミラでは魔力量が足りなくて国中に結界を張れない?
私は隣国の皇太子様に溺愛されているので今更そんなこと言われても困ります。
というより海が荒れて祖国との国交が途絶えたので、祖国が危機的状況にあることすら知りません。
小説家になろう、アルファポリス、pixivに投稿しています。
「Copyright(C)2021-九十九沢まほろ」
表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
小説家になろうランキング、異世界恋愛/日間2位、日間総合2位。週間総合3位。
pixivオリジナル小説ウィークリーランキング5位に入った小説です。
【改稿版について】
コミカライズ化にあたり、作中の矛盾点などを修正しようと思い全文改稿しました。
ですが……改稿する必要はなかったようです。
おそらくコミカライズの「原作」は、改稿前のものになるんじゃないのかなぁ………多分。その辺良くわかりません。
なので、改稿版と差し替えではなく、改稿前のデータと、改稿後のデータを分けて投稿します。
小説家になろうさんに問い合わせたところ、改稿版をアップすることは問題ないようです。
よろしければこちらも読んでいただければ幸いです。
※改稿版は以下の3人の名前を変更しています。
・一人目(ヒロイン)
✕リーゼロッテ・ニクラス(変更前)
◯リアーナ・ニクラス(変更後)
・二人目(鍛冶屋)
✕デリー(変更前)
◯ドミニク(変更後)
・三人目(お針子)
✕ゲレ(変更前)
◯ゲルダ(変更後)
※下記二人の一人称を変更
へーウィットの一人称→✕僕◯俺
アルドリックの一人称→✕私◯僕
※コミカライズ化がスタートする前に規約に従いこちらの先品は削除します。
悪役令嬢まさかの『家出』
にとこん。
恋愛
王国の侯爵令嬢ルゥナ=フェリシェは、些細なすれ違いから突発的に家出をする。本人にとっては軽いお散歩のつもりだったが、方向音痴の彼女はそのまま隣国の帝国に迷い込み、なぜか牢獄に収監される羽目に。しかし無自覚な怪力と天然ぶりで脱獄してしまい、道に迷うたびに騒動を巻き起こす。
一方、婚約破棄を告げようとした王子レオニスは、当日にルゥナが失踪したことで騒然。王宮も侯爵家も大混乱となり、レオニス自身が捜索に出るが、恐らく最後まで彼女とは一度も出会えない。
ルゥナは道に迷っただけなのに、なぜか人助けを繰り返し、帝国の各地で英雄視されていく。そして気づけば彼女を慕う男たちが集まり始め、逆ハーレムの中心に。だが本人は一切自覚がなく、むしろ全員の好意に対して煙たがっている。
帰るつもりもなく、目的もなく、ただ好奇心のままに彷徨う“無害で最強な天然令嬢”による、帝国大騒動ギャグ恋愛コメディ、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる