腹黒薬師は復讐するために生きている

怜來

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隣国 アンリー

隣国 アンリー⑥

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「待ってください」

シャリングが言う。

「俺も騎士団入ります。ちょうど興味をもっていたので」

「本当か?!」

サンザリカは嬉しそうに喜ぶ。カナリヤはシャリングを睨む。ハーネストも驚いている。

「そしたら一ヶ月後に騎士団に来るといい。待っているよ。第一試験から第三試験まである。まあ君たちはクリアできるだろう。私の推薦だからな。集合は九時からね。遅れないように。それじゃあな。引き止めて悪かった」

サンザリカはそのまま行ってしまった。

サンザリカが見えなくなったあとカナリヤはシャリングを睨んだ。 

「お前正気か?騎士団は危険なんだぞ?軽い気持ちで行くと潰されるぞ!」

「そんなのカナリヤだって一緒だろ?危険なら尚更カナリヤ一人に行かせられないよ」

「私は大丈夫だ。それに騎士団に入るのは大変だ。お前みたいなのに入れるわけないだろ」

きつい言葉をシャリングに放つ。カナリヤはそのまま門の方へ歩いていってしまった。

「あいつがお前にきつい言葉を言うのはお前を巻き込みたくないんだろう。分かってやれ」

「だったらなんで関係な人達を今まで巻き込んだんですか」

シャリングの肩にのっていた手がするりと落ちる。

「それに、俺は関係あります。俺の父さんがあの建物に加担していたのだから俺にだって関係があることです」

ハーネストは何も言い返してこない。

「俺は大丈夫です。カナリヤを…守ってやりたいんです」

『私はカナリヤのことを守ってあげたいな』

ハーネストはシャリングをルリスに重ねた。ルリスと同じような言葉を言っている。

「……そうか……」

シャリングは先に門へと歩いていく。その後ろ姿を見てボソッと言う。

「ルリス…」



『ルリスはどうしてそこまでカナリヤにこだわるの?』

『……カナリヤは小さい頃に私の親に引き取られて、本当の親の顔を知らないんだよね。だから、少しでも寄り添ってあげたいの。カナリヤはいい子なんだけど、いっつも一人で悩みとか抱え込んじゃうの。それで一人でどうにかしようとして、苦しんでいるの。だから、私が少しでも力になってあげたいの。だからハーネストも私がいない時はカナリヤに寄り添ってあげてね』

ルリスはニコッと笑う。

『だから私はカナリヤを守ってあげたいな』



「ルリス……僕じゃあカナリヤを守れないけど…あいつならカナリヤを守ってくれそうだよ……ごめんね…僕では守れないよ…」
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