腹黒薬師は復讐するために生きている

怜來

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隣国 アンリー

隣国 アンリー⑤

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集合時間より早めにシャリングは集合場所に着いた。日は少しずつ落ちている。カナリヤ達はまだ来る気配はない。

近くにあったベンチに座り空を見上げる。雲は一つもない。周りを見渡す。誰もいない。

溜息をつき目をつぶる。すると後ろから誰かに声をかけられた。

「君、ここで何しているんだい?」

振り向くとそこにはサンザリカがいた。シャリングは大きく目を見開きすぐにサンザリカから離れる。

「あ、びっくりさせちゃったよね?ごめんごめん」

サンザリカはシャリングに謝ってきた。シャリングは警戒心を緩めずサンザリカを見る。

「何の用ですか?」

「君に話があってね。どうだい?私の騎士団に入らないかい?」

衝撃な言葉に驚き呆然とサンザリカを見る。

「あなたは俺と会ったの初めてじゃないですか。それなのになんで俺に言うんですか?」

「君と目が合っただろ?その時確信したんだよ。君は優秀な騎士になれるとね」

「はぁ?」

呆れて言う。

「何してんの?」

背後からカナリヤの声がした。カナリヤはシャリングを見てからサンザリカを見る。一瞬で表情が変わった。

殺意の目をしている。

「おや、友達かい?」

「あ、えっと、」

「はい、そうですよ。えっとあなたは確かサンザリカさんですよね?」

ハーネストがカナリヤとシャリングの前に立ち言う。

「僕のことを知っているのか!ありがたい。サンザリカ・アルファだ。よろしく」

「カルセレ・エバーネです」

二人は握手をする。ハーネストは偽名を使った。確かにここは偽名の方がいいだろう。

「それで、後ろの二人の名前も聞いてもいいかい?」

「あ、えっと…」

なんて言えばいいだろうと迷っているとハーネストが

「こっちの女の子がリオンネ・ニースで、こちらがサイルス・テミニウスです」

スラスラと言う。よくこんな短時間で名前を作れたな。元々考えていたのか。こうなることを予測していたのか。

それにしても凄い。シャリングが感心していると

「それでサイルスに何かようでしたか?」

「ああ、是非我々の騎士団に入らないかと勧誘していたところだ」

ハーネストはシャリングを見る。シャリングは何も言わずハーネストを見る。ハーネストはもう一度サンザリカを見て

「どうしてサイルスを?」

「いや、見た途端才能を感じてね。勧誘してみたんだ」

「せっかくですがすいません。サイルスはそういったものには興味が無いので」

ハーネストが丁寧に謝る。

「それは本人が言うことですよ」

サンザリカはシャリングを見る。

「君はどうしたいですか?」

シャリングは黙る。どうすればいいのか。ここは断った方がいいのか。すると隣にいたカナリヤが顔を上げた。

顔は笑顔だった。

「だったらサイルスの代わりに私が騎士団に入りますよ」

「え?」

シャリングがカナリヤを見る。カナリヤはニコニコしながらサンザリカを見る。

「ほう、女の子が騎士か…悪くないね」

(ちょっと待て。カナリヤ正気か?見つかったら何をされるか分からないぞ。危険すぎる)

シャリングは必死に目でカナリヤに訴える。カナリヤはずっとサンザリカを見てシャリングを見ない。

「けれど、騎士になるのは厳しいぞ?それでもやるかい?」

「はい、一応剣の扱いは慣れているので」
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