90 / 111
見習い騎士
見習い騎士 ⑪
しおりを挟む
「全くいったい何していたんだ」
練習が終わったあとカナリヤはサンザリカの元へ行くのを拒んだがルーセルにしつこく言われ嫌々来た。
サンザリカは呆れてカナリヤを見ていた。カナリヤは目を合わせようともしなかった。
後ろで組んでいた手がさっきからピクピクと動いているのがわかる。
「君なんてすぐにここから追い出せるんだぞ」
「だったら追い出せばいいだろ」
「意外とあっさり諦めるんだな」
「お前は口だけだろ。どうせ私を追い出さない」
「なぜ言いきれる?」
「追い出すならとっくのとう追い出してるだろ。私を追い出せない理由でもあんだろ」
めんどくさそうに喋った。サンザリカはジーッとカナリヤを見て笑った。
「そうかそうか。俺が君をここに置いてる理由は、君なら俺を楽しませてくれると思ってな」
「…」
「君みたいな性格あんまいないからな。どんな仕打ちがくるのか楽しみなんだよ」
「…あのさ、今すぐにここでお前を殺してもいいんだよ?」
肩にかけていた剣を抜こうとする。サンザリカは動揺せず言った。
「いいや。君は私を殺さないだろ」
剣を抜くの止めたままサンザリカを見た。
「君は僕に相当なさっきも言ったように恨みを持ってるだろ?そんなやつが簡単に殺すわけないと思うな。僕でもそうする」
「…私はただあんたみたいなのにはなりたくないからよ。あんたみたいに人を殺したりはしないわ」
「権力を持つにはそれぐらいやらなきゃいけないんだよ」
「私には権力なんて必要ない。‥話は終わりですか?もう行きたいのですが」
急にカナリヤは敬語になった。サンザリカは笑みを浮かべ
「どうぞ。あ、あと、変装は禁忌だぞ?」
「あっそうですか」
棒読みしてから部屋を出た。
「楽しみだと‥?へぇ…随分と自信あるのか」
フフッと笑って自分の部屋へと戻った。
部屋に入るとシャリングが心配そうにドアをチラチラ見てカナリヤに気づくと
「だ、大丈夫だったか?」
「大丈夫だし。さわんないで」
カナリヤの肩に手を置くとカナリヤがそれをはらった。
「サイルス。ルーセルは?」
「え?散歩に行くと言って帰ってきてないな」
「いつ?いつでた?」
「リオンネが出てから五分後くらいかな」
…ルーセル、最初から思ってたけどなんか隠していることがある。気のせいだと見ていなかったが気のせいではないようだ。
「私はもう支度して寝るから起こさないで」
「ああ、分かった」
「…やはりあの二人は繋がっていたか…けれど、仲がいいわけではなさそうだ…」
練習が終わったあとカナリヤはサンザリカの元へ行くのを拒んだがルーセルにしつこく言われ嫌々来た。
サンザリカは呆れてカナリヤを見ていた。カナリヤは目を合わせようともしなかった。
後ろで組んでいた手がさっきからピクピクと動いているのがわかる。
「君なんてすぐにここから追い出せるんだぞ」
「だったら追い出せばいいだろ」
「意外とあっさり諦めるんだな」
「お前は口だけだろ。どうせ私を追い出さない」
「なぜ言いきれる?」
「追い出すならとっくのとう追い出してるだろ。私を追い出せない理由でもあんだろ」
めんどくさそうに喋った。サンザリカはジーッとカナリヤを見て笑った。
「そうかそうか。俺が君をここに置いてる理由は、君なら俺を楽しませてくれると思ってな」
「…」
「君みたいな性格あんまいないからな。どんな仕打ちがくるのか楽しみなんだよ」
「…あのさ、今すぐにここでお前を殺してもいいんだよ?」
肩にかけていた剣を抜こうとする。サンザリカは動揺せず言った。
「いいや。君は私を殺さないだろ」
剣を抜くの止めたままサンザリカを見た。
「君は僕に相当なさっきも言ったように恨みを持ってるだろ?そんなやつが簡単に殺すわけないと思うな。僕でもそうする」
「…私はただあんたみたいなのにはなりたくないからよ。あんたみたいに人を殺したりはしないわ」
「権力を持つにはそれぐらいやらなきゃいけないんだよ」
「私には権力なんて必要ない。‥話は終わりですか?もう行きたいのですが」
急にカナリヤは敬語になった。サンザリカは笑みを浮かべ
「どうぞ。あ、あと、変装は禁忌だぞ?」
「あっそうですか」
棒読みしてから部屋を出た。
「楽しみだと‥?へぇ…随分と自信あるのか」
フフッと笑って自分の部屋へと戻った。
部屋に入るとシャリングが心配そうにドアをチラチラ見てカナリヤに気づくと
「だ、大丈夫だったか?」
「大丈夫だし。さわんないで」
カナリヤの肩に手を置くとカナリヤがそれをはらった。
「サイルス。ルーセルは?」
「え?散歩に行くと言って帰ってきてないな」
「いつ?いつでた?」
「リオンネが出てから五分後くらいかな」
…ルーセル、最初から思ってたけどなんか隠していることがある。気のせいだと見ていなかったが気のせいではないようだ。
「私はもう支度して寝るから起こさないで」
「ああ、分かった」
「…やはりあの二人は繋がっていたか…けれど、仲がいいわけではなさそうだ…」
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。
潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
【受賞&書籍化】先視の王女の謀(さきみのおうじょのはかりごと)
神宮寺 あおい
恋愛
謎解き×恋愛
女神の愛し子は神託の謎を解き明かす。
月の女神に愛された国、フォルトゥーナの第二王女ディアナ。
ある日ディアナは女神の神託により隣国のウィクトル帝国皇帝イーサンの元へ嫁ぐことになった。
そして閉鎖的と言われるくらい国外との交流のないフォルトゥーナからウィクトル帝国へ行ってみれば、イーサンは男爵令嬢のフィリアを溺愛している。
さらにディアナは仮初の皇后であり、いずれ離縁してフィリアを皇后にすると言い出す始末。
味方の少ない中ディアナは女神の神託にそって行動を起こすが、それにより事態は思わぬ方向に転がっていく。
誰が敵で誰が味方なのか。
そして白日の下に晒された事実を前に、ディアナの取った行動はーー。
カクヨムコンテスト10 ファンタジー恋愛部門 特別賞受賞。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる