5 / 24
第一章
第一章 4
しおりを挟む
「人間ってなんで人をいじめたりするんだろう」
ふと神谷が言った。
「相手の人のことが気に食わないからじゃない?」
僕はそう答えた。けれど神谷は不服そうに僕を見た。
「相手が気に食わなくても、放っておけばいいじゃない。どうして虐めてくるのかな」
そんなこと聞かれてもまだ小さい僕には分からない。そんなことを考えたこともなかった。
「だってさ、虐められた人達はその過去を忘れない、虐めが原因で亡くなる人もいる。それなのに虐めた人達はそんなこと忘れて悠々と生きているんだよ。理不尽な世界よね」
神谷は難しいことを考えている。僕と同じ歳とは思えないほど、しっかりとしている。
「どうしたの?急に」
「ううん。少し気になったんだ」
「そっか」
「もし透夜君が虐められていたら私が助けてあげるからね」
ーーーーーーー
「とう…とうや…透夜君!」
ハッ
びっくりして目を開ける。目の前には心配そうに僕を見ている。今のは夢だったんだ。小さい頃に神谷と話していたことがリピートして夢にまででてきた。
「大丈夫?」
頭を抱えていると神谷が聞いてきた。僕は寝ていたんだ。なんて失礼なんだ。僕は目の前にある空になったコップを掴みながらため息をつく。
「ごめん、まさか寝るとは思わなくて」
「大丈夫よ。疲れていたんでしょう。そろそろ帰ったほうがいいよね」
鞄を手に持ち玄関へと向かう。最初よりも荷物が軽く感じた。
「今日はありがとう。また明日、学校で」
「…うん」
家に帰ると家全体が暗かった。電気を一つずつ付けていく。冷たい空気が漂っている。机の上にラップがかかったお皿が置いてある。
『温めて食べて』
見覚えのある字。母親だろう。両親は共働きで帰ってくるのは夜中。僕が寝ている時に帰ってきて学校に行ってる時に起きてくる。だから滅多に顔を合わせない。
いつもこうやって机の上にご飯を置いといてくれる。まだお腹は空いていないので一旦自分の部屋に戻って着替えてからリビングにまた戻る。
テレビをつけても面白い番組はやっていない。仕方なくスマホを開く。何日か前見つけたサイトにを開いた。
名前は雛菊。あの時の僕はこのサイトを開いた時、アカウントだけ登録してお風呂に入り、その後このサイトのことを忘れていた。久しぶりに開いてみよう、そう思いログインしなおす。
「なんだろう…」
画面が真っ暗になり文字が浮かんできた。
『初めまして。
ここはあなたのお悩みを解決するところです。
この私と話をして気の合う方とマッチングすることも可能です。
また、当事者の私ともお悩み相談が可能です。
何か嫌なこと悩んでることがありましたら、お気軽にご連絡ください』
虐められている子達を助けたりする会みたいなものだろう。一度もこのような所に相談したことがなかった。正直いうと信用できないから。特に話を聞いてほしいわけじゃないし、助けてほしいわけでもない。
助けて、と言っても結局何もしてくれないだろうから。
『ここを信用していなくても大丈夫です。
一度相談してみてください』
僕の心を読んだかのような文章も書かれている。
そして[相談がある]というボタンを押した。少し興味が湧いてきたのだ。
名前は匿名でいいと書いてあったので登録をする時に霞と名乗っておいた。
すると早速メッセージがきた。
『初めまして』
ふと神谷が言った。
「相手の人のことが気に食わないからじゃない?」
僕はそう答えた。けれど神谷は不服そうに僕を見た。
「相手が気に食わなくても、放っておけばいいじゃない。どうして虐めてくるのかな」
そんなこと聞かれてもまだ小さい僕には分からない。そんなことを考えたこともなかった。
「だってさ、虐められた人達はその過去を忘れない、虐めが原因で亡くなる人もいる。それなのに虐めた人達はそんなこと忘れて悠々と生きているんだよ。理不尽な世界よね」
神谷は難しいことを考えている。僕と同じ歳とは思えないほど、しっかりとしている。
「どうしたの?急に」
「ううん。少し気になったんだ」
「そっか」
「もし透夜君が虐められていたら私が助けてあげるからね」
ーーーーーーー
「とう…とうや…透夜君!」
ハッ
びっくりして目を開ける。目の前には心配そうに僕を見ている。今のは夢だったんだ。小さい頃に神谷と話していたことがリピートして夢にまででてきた。
「大丈夫?」
頭を抱えていると神谷が聞いてきた。僕は寝ていたんだ。なんて失礼なんだ。僕は目の前にある空になったコップを掴みながらため息をつく。
「ごめん、まさか寝るとは思わなくて」
「大丈夫よ。疲れていたんでしょう。そろそろ帰ったほうがいいよね」
鞄を手に持ち玄関へと向かう。最初よりも荷物が軽く感じた。
「今日はありがとう。また明日、学校で」
「…うん」
家に帰ると家全体が暗かった。電気を一つずつ付けていく。冷たい空気が漂っている。机の上にラップがかかったお皿が置いてある。
『温めて食べて』
見覚えのある字。母親だろう。両親は共働きで帰ってくるのは夜中。僕が寝ている時に帰ってきて学校に行ってる時に起きてくる。だから滅多に顔を合わせない。
いつもこうやって机の上にご飯を置いといてくれる。まだお腹は空いていないので一旦自分の部屋に戻って着替えてからリビングにまた戻る。
テレビをつけても面白い番組はやっていない。仕方なくスマホを開く。何日か前見つけたサイトにを開いた。
名前は雛菊。あの時の僕はこのサイトを開いた時、アカウントだけ登録してお風呂に入り、その後このサイトのことを忘れていた。久しぶりに開いてみよう、そう思いログインしなおす。
「なんだろう…」
画面が真っ暗になり文字が浮かんできた。
『初めまして。
ここはあなたのお悩みを解決するところです。
この私と話をして気の合う方とマッチングすることも可能です。
また、当事者の私ともお悩み相談が可能です。
何か嫌なこと悩んでることがありましたら、お気軽にご連絡ください』
虐められている子達を助けたりする会みたいなものだろう。一度もこのような所に相談したことがなかった。正直いうと信用できないから。特に話を聞いてほしいわけじゃないし、助けてほしいわけでもない。
助けて、と言っても結局何もしてくれないだろうから。
『ここを信用していなくても大丈夫です。
一度相談してみてください』
僕の心を読んだかのような文章も書かれている。
そして[相談がある]というボタンを押した。少し興味が湧いてきたのだ。
名前は匿名でいいと書いてあったので登録をする時に霞と名乗っておいた。
すると早速メッセージがきた。
『初めまして』
0
あなたにおすすめの小説
誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
悪役令嬢の長所はスタイルだけってあんまりですのよ!
神楽坂ゆい
恋愛
伯爵令嬢のレナータは、“悪役令嬢”として王都中で噂の的。公爵令嬢であるヒロインをいびり、婚約者である王太子の心を掴めずに振り回し――いつか破滅する運命にある……と言われ続けていた。
あんなにわかりやすく魅了にかかってる人初めて見た
しがついつか
恋愛
ミクシー・ラヴィ―が学園に入学してからたった一か月で、彼女の周囲には常に男子生徒が侍るようになっていた。
学年問わず、多くの男子生徒が彼女の虜となっていた。
彼女の周りを男子生徒が侍ることも、女子生徒達が冷ややかな目で遠巻きに見ていることも、最近では日常の風景となっていた。
そんな中、ナンシーの恋人であるレオナルドが、2か月の短期留学を終えて帰ってきた。
わたしのことがお嫌いなら、離縁してください~冷遇された妻は、過小評価されている~
絹乃
恋愛
伯爵夫人のフロレンシアは、夫からもメイドからも使用人以下の扱いを受けていた。どんなに離婚してほしいと夫に訴えても、認めてもらえない。夫は自分の愛人を屋敷に迎え、生まれてくる子供の世話すらもフロレンシアに押しつけようと画策する。地味で目立たないフロレンシアに、どんな価値があるか夫もメイドも知らずに。彼女を正しく理解しているのは騎士団の副団長エミリオと、王女のモニカだけだった。※番外編が別にあります。
王妃は涙を流さない〜ただあなたを守りたかっただけでした〜
矢野りと
恋愛
理不尽な理由を掲げて大国に攻め入った母国は、数カ月後には敗戦国となった。
王政を廃するか、それとも王妃を人質として差し出すかと大国は選択を迫ってくる。
『…本当にすまない、ジュンリヤ』
『謝らないで、覚悟はできています』
敗戦後、王位を継いだばかりの夫には私を守るだけの力はなかった。
――たった三年間の別れ…。
三年後に帰国した私を待っていたのは国王である夫の変わらない眼差し。……とその隣で微笑む側妃だった。
『王妃様、シャンナアンナと申します』
もう私の居場所はなくなっていた…。
※設定はゆるいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる