君との約束を、僕は後悔する

怜來

文字の大きさ
6 / 24
第一章

第一章 5

しおりを挟む
『初めまして、霞さん。私は雛菊のマスター、アヤメ、と言います』

『初めまして』

『何かお悩みがあるのですよね。何でも聞きますよ』

『それじゃあ悩みを言う前に一つ聞いてもいいですか?』

『はい、どうぞ』

『虐めが起こる原因として、虐められる側に原因はあると思いますか?』

『簡潔に言うと、私は虐められる側に“原因”はあると思いますが、それは決してその人が悪いわけではありません。虐められる原因は容姿が綺麗だから、頭がいいから、気に食わないから、性格がウザイから、などといったその人の個性です。その個性がイジメの原因だったとしたら、それを“理由”として虐めてくる人が悪いんです』

 そっか。宮下もきっと僕の存在自体気に食わないのだろう。だから僕をいじめた。

  しかしそれは僕のせいでは無い。僕自身の個性を嫌ったあいつが悪い。

『答えてくださりありがとうございます』

『いえいえ』

 この人になら話しても大丈夫、そう思って相談してみた。

『あの、相談があるんですけど。僕、虐められていて』

『うん』

『虐めが始まったのは中学に入った頃からで特に何もしていないのに急に虐められました。しかし先程の話を聞いてわかりました。きっと僕みたいなインキャが気に食わないんでしょうね。だから僕はいじめっ子らと違う高校を選んだのに、運悪く同じになってしまいました。そしてそのイジメは高校にまで続いて、今でも暴力を振られたりしています』

 ざっと説明し終わる。それまでアヤメからの返信はなく黙っていた。画面越しだと相手がどう言う顔をしているのかがわからない。

 それがいい、と言う人もいるけれど。

『そうですか、それはひどい。周りの人達は何か助けてくれたりしたんですか?』

『いいえ。みんな、矛先が自分に向くのが怖いんでしょう。僕がその立場だったとしたらわかります。助けてあげたいけど、自分が虐められそうで、怖くて体が動かない。そんなの誰だってそうです』

『確かにそれはそうですけれど、私が貴方と一緒のクラスだったら助けてあげたい』

『あはは、ありがとうございます。そう言っていただけるだけでも嬉しいです。なんか少し楽になれました』

『いえいえ。少し重い話はこれで終わりにして、少し明るいお話をしましょう。私イチゴが好きなんですが、霞さんは好きなフルーツはありますか?』

『僕もイチゴ好きなんです。小さい頃よくイチゴ狩りに行ってました』

 懐かしい記憶が蘇る。小さい頃、両親が僕の誕生日の日に連れて行ってくれた。

  朝から車に乗って空を眺めながら高速道路を過ぎ去り、イチゴ農園についた。たくさんのイチゴを目にして、こんなにも種類があることをその日初めて知った。

『イチゴ狩り、いいですね。私はショートケーキが好きなんです』

『わかります。美味しいですよね』

 よく食べたな、ショートケーキ。お母さんがよく作ってくれていた。あれは、どこの店のケーキよりも美味しかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

エミリーと精霊

朝山みどり
恋愛
誰もが精霊と契約する国。エミリーの八歳の誕生日にやって来たのは、おもちゃのようなトカゲだった。 名門侯爵家の娘としてありえない恥。家族はエミリーをそう扱った。だからエミリーは居場所を得るために頑張った。役に立とうとした。

私の作るおにぎりが、騎士団の士気を異常に上げています(犯人は副団長)

星乃和花
恋愛
おにぎりを配っただけで、騎士団の士気が異常値になりました。 団長は警戒、監察部は呪術検査、国まで動きかけるのに――副団長だけが平然と断言。 副団長「彼女のご飯は軍事物資です」 私「えっ重い」 胃袋で落ちた策略家副団長の“最適化溺愛”に巻き込まれ、気づけば専属補給係(=婚約)寸前!? ほのぼの爆笑&甘々の騎士団ラブコメです。 (月水金21:00更新ー本編16話+後日談6話)

いつか優しく終わらせてあげるために。

イチイ アキラ
恋愛
 初夜の最中。王子は死んだ。  犯人は誰なのか。  妃となった妹を虐げていた姉か。それとも……。  12話くらいからが本編です。そこに至るまでもじっくりお楽しみください。

乙女ゲームの正しい進め方

みおな
恋愛
 乙女ゲームの世界に転生しました。 目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。  私はこの乙女ゲームが大好きでした。 心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。  だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。  彼らには幸せになってもらいたいですから。

【完結】恋の終焉~愛しさあまって憎さ1000倍~

つくも茄子
恋愛
五大侯爵家、ミネルヴァ・リゼ・ウォーカー侯爵令嬢は第二王子の婚約者候補。それと同時に、義兄とも婚約者候補の仲という複雑な環境に身を置いていた。 それも第二王子が恋に狂い「伯爵令嬢(恋人)を妻(正妃)に迎えたい」と言い出したせいで。 第二王子が恋を諦めるのが早いか。それとも臣籍降下するのが早いか。とにかく、選ばれた王子の婚約者候補の令嬢達にすれば迷惑極まりないものだった。 ミネルヴァは初恋の相手である義兄と結婚する事を夢見ていたというに、突然の王家からの横やりに怒り心頭。それでも臣下としてグッと堪えた。 そんな中での義兄の裏切り。 愛する女性がいる? その相手と結婚したい? 何を仰っているのでしょうか? 混乱するミネルヴァを置き去りに義兄はどんどん話を続ける。 「お義兄様、あなたは婿入りのための養子縁組ですよ」と言いたいのをグッと堪えたミネルヴァであった。義兄を許す?許さない?答えは一つ。

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

悪役令嬢は高らかに笑う。

アズやっこ
恋愛
エドワード第一王子の婚約者に選ばれたのは公爵令嬢の私、シャーロット。 エドワード王子を慕う公爵令嬢からは靴を隠されたり色々地味な嫌がらせをされ、エドワード王子からは男爵令嬢に、なぜ嫌がらせをした!と言われる。 たまたま決まっただけで望んで婚約者になったわけでもないのに。 男爵令嬢に教えてもらった。 この世界は乙女ゲームの世界みたい。 なら、私が乙女ゲームの世界を作ってあげるわ。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ ゆるい設定です。(話し方など)

何も言わずメイドとして働いてこい!とポイされたら、成り上がり令嬢になりました

さち姫
恋愛
シャーリー・サヴォワは伯爵家の双子の妹として産まれた 。実の父と双子の姉、継母に毎日いじめられ、辛い日々を送っていた。特に綺麗で要領のいい双子の姉のいつも比べられ、卑屈になる日々だった。 そんな事ある日、父が、 何も言わず、メイドして働いてこい、 と会ったこともないのにウインザー子爵家に、ポイされる。 そこで、やっと人として愛される事を知る。 ウインザー子爵家で、父のお酒のおつまみとして作っていた料理が素朴ながらも大人気となり、前向きな自分を取り戻していく。 そこで知り合った、ふたりの男性に戸惑いながらも、楽しい三角関係が出来上がっていく。 やっと人間らしく過ごし始めたのに、邪魔をする家族。 その中で、ウインザー子爵の本当の姿を知る。 前に書いていたいた小説に加筆を加えました。ほぼ同じですのでご了承ください。 また、料理については個人的に普段作っているのをある程度載せていますので、深く突っ込むのはやめてくださいm(*_ _)m 第1部の加筆が終わったので、ここから毎日投稿致しますm(_ _)m

処理中です...