【完結】捨てられ令嬢は皇太子のお気に入り

怜來

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第十三章

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 その後は庭園の中を歩きさっき居た場所に戻って紅茶を飲んだ。するとナザリヤが質問してきた。
 
「あなた、両親はどういう方なの?」

 急な質問に戸惑った。リリーアネの両親はまだ本当かは分からないが今目の前にいるナザリヤがお母様かもしれない。しかし、確証はまだ無い。どう答えようか迷った末

「私小さい頃の記憶がないんです。だから親の顔もよくわからなくて。親は私が記憶喪失になった後一度も会ってなくて」

 それを聞き瞬きしたナザリヤは

「そうだったの…記憶喪失になったのは何歳くらいなの?」

「六歳の誕生日の日です」

 驚くような顔でナザリヤはリリーアネを見ていた。そりゃあ誰だって驚くだろう。そう思い特に気にしていなかった。

「ねぇ、あなた。過去の記憶を取り戻したいって思ったことはある?」

 リリーアネは

「はい、取り戻したいですね」

 と答えた。もし記憶が戻れば真実が分かるのだから。戻せるものなら戻したい。ずっとそう思ってきた。

「じゃあ記憶の取り戻し方教えてあげる」

 ナザリヤの言葉にリリーアネは驚き立った。

「ほ、本当ですか?!」

「ええ、だけどこれは上手くいく確証はないわよ?それでも聞く?」

「はい、是非教えて下さい」

 ナザリヤは少し笑っていた。

「風は記憶を持ってるわ。それをたどっていけばいつか真実がわかる。私が言えるのはここまで。じゃあ今日はここで終わりにしましょ。楽しかったわ。またいつでもいらしてください」

 リリーアネは城に戻りナザリヤが言っていたことを思い出した。

「風は記憶を持ってる…じゃあ風に聞けって言うこと?でもどうやって…」

「リリーアネ、帰っていたのか。どうだった?」

 フィークがリリーアネの部屋に入ってきた。どうやら仕事が少し片付いたようだ。

「はい、ナザリヤ様に記憶の取り戻し方を教えてもらいました」

「それは本当かる!それで試したのか?」

「それが…全くと言っていいほど分からず…」

 俯いたまま小さな声で言う。フィークは何があったのか聞いた。

「なんて言われたんだ?」

「風は記憶を持ってる。それをたどっていけばいつか真実が分かる。と言われました」

「風は記憶を持ってる…それは風の魔力でできるってことじゃないのか?」

「ああ!」

 早速試そうとする。が、周りに被害が及ぶことを恐れた。しかし、フィークが大丈夫だ、と言ってくれたため勇気をだしてやった。

 しかし、やり方が分からず苦戦していた。どうすれば風から記憶を教えてもらえるのか。頭をひねりながら考えた。

しかし一向に思いつかず二人で考え込んでいた。するとフィークがある提案をした。

「図書室に行ってみようよ。そうすれば何か載ってるかもしれないよ」

「そうですね…行ってみる価値はあるかもしれません」

 早速城の中にある図書室へ行った。そこは広々とした空間で落ち着く場所だった。

 着いてからすぐ魔力について書かれている本が置かれている場所を探した。そこから風の魔力について漁っていった。

 しかし風の魔力は珍しい分類であまりいい情報は載っていなかった。それでも必死に探しているとリリーアネが見ていた本の中から一枚の紙切れが落ちてきた。

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