社畜の彗星は銀髪の妖精と3つの難題(クエスト)に挑む

木蔦空

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第1章──Captive World──

第11話 神の子(ギフテッド) 後編

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「アタシ達神の子ギフテッドは7人で1つ…誰も欠けてはならない。だけど黒色ノワールが殺害された。最早この世界はアタシ達が調和させていた様なものだから、黒色ノワールが死んで色々な弊害へいがいが起こり始めたわ」

「…例えばどの様な…?」

「ある街の住人が一晩にして全員消えたり、暖かい地域に突然大寒波が襲って氷漬けになったりです」

「統一した少年は……?」

「神の子を守護者ガーディアンに任命してすぐ、忽然こつぜんと消えてしまったわ。だから今までアタシ達が守って来た。そうですよね兄様」

「その通りですルキ。でもある時を境にその超常現象ちょうじょうげんしょうはパタリと止んだのです」

「え、それはいつなんですか…?」

「昨日の正午ピッタリです」

心臓が激しく鼓動を刻んでいる。昨日の正午は僕達がこの世界に来た頃では無いか。

「貴方…何か心当たりでもあるの?」

早速心を読まれた様で更に心臓がドクドクと鳴る。

「そう言えば貴方、この世界の住人では無いと言ってましたね。この世界の基本的な事を知らなかったのなら、来て日は浅いはず。」

完全に2人は僕を疑っているが、何なら僕も自分が原因では無いかと思っている。

「…確かに僕は昨日の正午にこの世界に来ました。でも正直それが原因なのかは分かりません」

正直に言った。だが2人の反応が怖くて目が開けられない。

「「貴方でしたか」」

重なった2人の声に導かれるように目を開けると、2人は席を立っていた。

黒色ノワールが死んで世界がおかしくなったのなら、世界が調和したその時は新たな黒色ノワールが現れたと言う事。」

「それってどういう…」

「貴方が欠けた黒色ノワールだと言う事よ」

「つまり、キミがこの世界の守護者ガーディアンとしての資格を得たのですよ」

「これは衝撃の展開だね…」

僕自身は驚きでしばらく放心状態だったが、傍に居たナツメも目を見開いて答える。

「貴方達の名前を聞いていなかったわね」

「僕はテバットです。お二人の言う通りこことは違う世界から来ました」

「私はナツメです。私の事が見える人に会うのは初めてなので少しびっくりしてます!」

「テバット君にナツメちゃんですか…良い名ですね。良い機会ですから、我々の事について少し詳しい説明をしておきましょうか。」

「兄様、ここはアタシにお任せ下さい。…さっき兄様も言った通り、アタシ達2人は双子だけど違う能力アビリティを持ってるわ。兄様は精神攪乱能力ディスターバンスアビリティで、アタシは変身能力メタモルフォーゼアビリティよ。」

「一見似ている様で全然違います。ボクは特定の相手の精神状態をあやつりますが、ルキは特定の相手にだけ自分の姿を変えて見せる事が出来るのです。」

「何か敵に回したら一番厄介な組み合わせですね…」

「良く言われますよ」

マキは笑顔で言っているが、内心震えが止まらなかった。2度目だが絶対余計な事はしてはいけないと固く誓う。

「テバット、ここまでで何か質問はある?」

「何個かありますが、まず…キコルはお爺さんと過ごしているらしいのですが、あの子も白色ブランの器を持った2代目か何かなんですか…?」

「いいえ、キコルはれっきとした初代白色ブランよ。あの子、一度本気で殺されかけて一命は取り留めたけど、代わりに記憶を無くしたの。お世話してるお爺さんはアスィダージって名の慈善事業家で血は繋がってない。アタシ達程ひっそりと暮らしてる訳では無いから余計殺されそうになるのよ…。本当に危なっかしくて怖いわ」

「それでも記憶を失う前から交流していた我々の事は覚えていてくれたので嬉しい限りです。キミ達も我々の居場所はキコルに教えて貰って来たのでしょう?」

「ええ…キコルが居なかったら出会えてなかったと思います」

「キコル…久々に会ってみたいわね……。…他に質問は?」

黒色ノワールの能力は何だったのかという事と、本当に僕が能力者なら技能スキルは無くても良い気がするのですが、どういう事なのですか?」

「黒色の能力は妖精使役能力フェアリーコーザティヴアビリティです。技能スキルを習得する理由は能力向上が主ですね」

「能力向上?」

「そうよ。簡単に言えば、能力の幅を広げるって事ね。一口に妖精使役ようせいしえきと言っても、自分を強化させる為に使うか、妖精自体に命令を下すかという大きな違いがあるのよ。黒色の技能の中でもAccelerate加速する five minutes5秒間は前者の自身強化ね。使役している妖精が近くに居るっていう簡単な発動条件なんだけど、の能力者から額に接吻せっぷんして貰うってのが発現条件だから凄く難易度高いのよ」

「なるほど…でもそれならさっき言ってた刻印とかは…?」

「あれは嘘よ」

「え?」

「兄様よくふざけるのよね…」

「あはは、すみません。とても緊張していらしたので和らげようと…」

「「余計緊張しましたけどね!?」」

僕とナツメは口を揃えて反論した。

「本当にごめんなさいね。実際はアタシ達のどっちかがテバットの額に接吻するだけで技能は習得出来るわ」

「マキにはボク以外の男性に触れて欲しくないので今回はボクが接吻させて頂きますね」

ツッコミどころ満載だが、早くしないとキコルが危ないため早く終わらせて欲しい所だ。

「それではいきますね。目をつぶってください」

言われた通りに目を閉じると、額に柔らかい感触を感じ、段々身体の内側から熱くなり意識が朦朧もうろうとし始める。…これが能力の発現なのだろうか。意識を保つのが限界を超えた時、僕はマキに支えられながら眠りに堕ちた。
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