社畜の彗星は銀髪の妖精と3つの難題(クエスト)に挑む

木蔦空

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第1章──Captive World──

第12話 暫しの別れ

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目が覚めると僕はベッドに横になっていた。ここは寝室か何かだろうか。

「あら、思ったより早く目が覚めたみたいね。良かった」

近くにいたルキが椅子に腰掛けながら微笑んだ。

「兄様呼んでくるからちょっと待ってて」

「分かりました…」

そう言ってルキは寝室を出ていってしまった。

「テバット、大丈夫?」

「うん…何とか。頭が少し痛いけどな。それよりも僕どうやら妖精使役能力フェアリーコーザティヴアビリティってやつらしいんだけど、妖精ってどう考えてもナツメの事だよな…」

「そうだろうね。私も聞いててびっくりしたよ、まさか自分が使役されてる側だなんて」

「それは言えてる」

久しぶりにナツメと2人で談笑していると、ルキがマキを連れて戻って来た。

「テバット君おはようございます。…と言っても今は夕方ですが。…調子はどうですか?」

「ええ、大丈夫です。それよりも僕はこれで能力は使える様になったのでしょうか?」

「恐らくもう使えると思いますよ。使いこなせるかは別としても」

「テバット見た感じ不器用そうだものね…」

「アハハ…これでもあっちの世界じゃ何でもこなしてたんですよ」

「テバットの居た世界とこの世界は違うわ。それに能力を操るなんてほとんどセンスみたいなものだしね」

「そうなんですか?」

「ええ、これでもボクは能力を完璧に操るのに60年近く掛かってますからね……ルキは一瞬でコツを掴んだみたいですが」

「兄様意外と不器用だからね…」

「アハハ…」

マキの話を聞いて急に自信が無くなってきた。もしかしたら自分も長い年月かかるかもしれないと思うと少し萎える。

「でもルキさんは心を読めると言っていたのでてっきりそれが能力だと思っていたんですが、技能スキルか何かですか?」

「いいえ違うわ、心を読めるようになったのは能力でも技能でも無くただ暇だったからよ。能力操れるようになったら何もすることがないからね。能力使ってバレないように人間観察してたらいつの間にか読めるようになってたわ」

「次元違い過ぎませんかね…」

「本当ですよ…ボクの妹か疑いたくなるほどルキは器用なんです…」

「でも、見た所ナツメさんと仲良くされてる様だから、技能だけじゃなくて能力もすぐに使えるようになると思うわ」

「そういうものですかね……」

「ええ、テバット君なら大丈夫だと思います。それよりももうすぐで日が暮れてしまいますがこの後どうしますか?良ければ一晩泊めますよ」

僕はそこで今日の夜にキコルが殺害される可能性がある事を思い出し、2人に話した。

「冗談なら許しませんが、事実なら大変だ」

「兄様、テバットは嘘はついてないわ」

「そうですか……何処どこからその話を仕入れたのかは知りませんが、あの子が狙われてるのなら我々も同行致します」

「…いえ、ここは僕とナツメだけで行きます。お2人が街に出てしまったら助ける所ではなくなりそうですし…」

「アタシ達の存在自体が伝説化されてる様なものだから否定は出来ないけど…」

「本当に我々はついて行かなくても大丈夫ですか?」

「大丈夫です。これは僕が…いや、俺が止めないといけないんです。キコルを必ず守るって決めたので」

「…やはりキミは黒色ノワールとしての器を持っているようですね。その心意気に免じて我々は余計な事はしない様にしましょう。テバット君もナツメちゃんも信じていますからね。ルキはそれでも大丈夫ですか?」

「ええ、大丈夫ですわ兄様。アタシもテバットとナツメさんを信じます」

「「キコルを頼みます」」

「分かりました…!」

「私もテバットの技能スキルのサポートを致します」

「技能発動する時は必ず『技能展開ディプロイスキル』と言ってから技能名を言ってね。そうしないと自分の身体がちゃんと機能してくれなくなるから。まぁ詠唱えいしょうみたいなものよ」

「我々が長話し過ぎてしまった所為せいでこんな時間になってしまって申し訳ないです。キコルの無事を祈ることしかできませんが、どうかあの子を助けてあげて下さい」

勿論もちろんです。そしたらキコルを連れてまた戻って来ます」

「……アタシ達は何時までもここであなた達の帰りを待ってる。だから絶対にキコルを死なせたりしないでね」

半ば声をうるませながら2人は姿が見えなくなるまで手を振って見送ってくれた。

世界の守護者ガーディアン様とお近づきになれたのは想定内だったが、まさか自分がその守護者になるとは思ってもいなかったからまだ実感が持てない。だが、与えられたこの能力アビリティでこの世界を平穏へと導き、黒幕に1発入れてやりたいと強く思えた。
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