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Gドラゴン討伐
戦う理由は
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俺ってヒマそうに見えるだろうか?
リリィの奴には「団長っていつも暇そうですね」とか言われてたから暇そうな顔なんだろうな。
こう見えてやらなければいけないことは山積みだ。
一応、自分の頭のなかで整理しておこうと思う。
まずは金の確保だな。
なにより金がないと当面の生活もままならない。
路銀程度のはした金は懐にあるが、財産のほとんどはランドブルムに置いてきた。
幸いペンフィールド領主代理のロザリーナに気に入られ屋敷は貸してもらえたので、住む場所だけはなんとかなりそうだ。
金を稼ぐ手段といっても、俺に出来ることは限られている。
ギルドがあるなら登録して、そこで魔物を狩って金を稼ぐことになるだろう。
……妻と娘を殺したドラゴンを追うにしても、それが一番近いやり方だと思うしな。
ヤパン国へとやってきた理由がある。
俺が今持っている武器は『サーペント』。魔法を使える剣士が最初に渡されるレベルの、バランスのとれた短剣だ。
魔法を使える剣士のほとんどは、魔力を剣に込めることを想定して戦闘を行う。そのための、魔力の通り道が剣に刻まれる。
サーペントはその点教科書通りの剣だ。
だがそれじゃダメだ。脆い、脆すぎる。ドラゴンの装甲には届かない。
ヤパン国に伝わるという、秘伝の錬鉄技術。
特別な技術で作成された、俺専用の武器が必要だ。鍛冶師を探さないと。
「待っていてくれ、俺はやりとげてみせる」
…………俺は生まれつき、魔力が無かった。
魔力が少ないとかじゃない、ゼロだった。
学校では落ちこぼれの烙印をおされ、幼い頃からの夢だった魔法騎士の夢は完全に絶たれるはずだった。
そんなときに救ってくれたのは、俺の妻だ。
彼女は落ち込む俺を元気づけ、方々を走り回ってくれた。
俺の魔法学院への進学へ反対する貴族を説き伏せ、仲間たちの協力をとりつけ。
ついに魔法学院への入学を果たしたのだ。
魔力が無くても魔法を使える。
それがどういう意味を持つのか、高名な魔法使いたちはすぐに理解した。
俺を否定する派、肯定する派真っ二つに別れた。
心底どうでもよかった。
俺は、俺を救ってくれた妻を愛していた。
魔法学院を卒業したらすぐにプロポーズした。
世界を救おうだとか、出世がどうだとか俺だけに適応される魔法の理屈なんざ興味がなかった。
俺は、俺を夢だった魔法騎士への道に導いてくれた妻に夢中だった。
頬を染めて、うつむいてうなづいた彼女の顔を今でも覚えている。
そしてすぐに、娘が誕生した。
俺は人類で一番の幸福者だった。
……どうしてなんだ。
わからない、わからないんだ。
妻の名前、娘の名前、なぜか思い出せない。
すべての記憶がぼんやりしてしまった。
あれは……そうだ、そうだよ。兵士に、俺の妻と娘が死んだと聞いたときからずっとそうだ。
頭にもやがかかったまま。
こんなに情けない男だったのか?
こんなに薄情な男だったのか?
俺はあんなにも愛していた妻と娘の名を、思い出せないでいる。
狂ったように泣き叫び、地面に崩れ落ちたとき、ぷつんと何かが切れてしまった。
奴だ。
金色のドラゴン。
俺の妻と娘を殺した、怨念の仇。
奴の息の根を止めるまでは死ぬことは許されない。
あいつを殺した後にだけ、俺は妻と娘の名を呼ぶことを許される。
そうしたら許してもらえるのか?
わからない、わからないんだ……。
「ごしゅじんさま?」
風呂に入ったラナは、泥や汚れを落として綺麗になった。
その姿を見た俺は息を呑んだんだ。
(……にている)
娘の面影が、首をかしげたラナの表情と重なった。
種族も違えば年齢も違う。それなのに、どうして。
どうして俺の元にこの娘はやってきた。
理由があるなら、たったひとつだろう。
____ドラゴンどもを根絶やしにするために、決まっている。
リリィの奴には「団長っていつも暇そうですね」とか言われてたから暇そうな顔なんだろうな。
こう見えてやらなければいけないことは山積みだ。
一応、自分の頭のなかで整理しておこうと思う。
まずは金の確保だな。
なにより金がないと当面の生活もままならない。
路銀程度のはした金は懐にあるが、財産のほとんどはランドブルムに置いてきた。
幸いペンフィールド領主代理のロザリーナに気に入られ屋敷は貸してもらえたので、住む場所だけはなんとかなりそうだ。
金を稼ぐ手段といっても、俺に出来ることは限られている。
ギルドがあるなら登録して、そこで魔物を狩って金を稼ぐことになるだろう。
……妻と娘を殺したドラゴンを追うにしても、それが一番近いやり方だと思うしな。
ヤパン国へとやってきた理由がある。
俺が今持っている武器は『サーペント』。魔法を使える剣士が最初に渡されるレベルの、バランスのとれた短剣だ。
魔法を使える剣士のほとんどは、魔力を剣に込めることを想定して戦闘を行う。そのための、魔力の通り道が剣に刻まれる。
サーペントはその点教科書通りの剣だ。
だがそれじゃダメだ。脆い、脆すぎる。ドラゴンの装甲には届かない。
ヤパン国に伝わるという、秘伝の錬鉄技術。
特別な技術で作成された、俺専用の武器が必要だ。鍛冶師を探さないと。
「待っていてくれ、俺はやりとげてみせる」
…………俺は生まれつき、魔力が無かった。
魔力が少ないとかじゃない、ゼロだった。
学校では落ちこぼれの烙印をおされ、幼い頃からの夢だった魔法騎士の夢は完全に絶たれるはずだった。
そんなときに救ってくれたのは、俺の妻だ。
彼女は落ち込む俺を元気づけ、方々を走り回ってくれた。
俺の魔法学院への進学へ反対する貴族を説き伏せ、仲間たちの協力をとりつけ。
ついに魔法学院への入学を果たしたのだ。
魔力が無くても魔法を使える。
それがどういう意味を持つのか、高名な魔法使いたちはすぐに理解した。
俺を否定する派、肯定する派真っ二つに別れた。
心底どうでもよかった。
俺は、俺を救ってくれた妻を愛していた。
魔法学院を卒業したらすぐにプロポーズした。
世界を救おうだとか、出世がどうだとか俺だけに適応される魔法の理屈なんざ興味がなかった。
俺は、俺を夢だった魔法騎士への道に導いてくれた妻に夢中だった。
頬を染めて、うつむいてうなづいた彼女の顔を今でも覚えている。
そしてすぐに、娘が誕生した。
俺は人類で一番の幸福者だった。
……どうしてなんだ。
わからない、わからないんだ。
妻の名前、娘の名前、なぜか思い出せない。
すべての記憶がぼんやりしてしまった。
あれは……そうだ、そうだよ。兵士に、俺の妻と娘が死んだと聞いたときからずっとそうだ。
頭にもやがかかったまま。
こんなに情けない男だったのか?
こんなに薄情な男だったのか?
俺はあんなにも愛していた妻と娘の名を、思い出せないでいる。
狂ったように泣き叫び、地面に崩れ落ちたとき、ぷつんと何かが切れてしまった。
奴だ。
金色のドラゴン。
俺の妻と娘を殺した、怨念の仇。
奴の息の根を止めるまでは死ぬことは許されない。
あいつを殺した後にだけ、俺は妻と娘の名を呼ぶことを許される。
そうしたら許してもらえるのか?
わからない、わからないんだ……。
「ごしゅじんさま?」
風呂に入ったラナは、泥や汚れを落として綺麗になった。
その姿を見た俺は息を呑んだんだ。
(……にている)
娘の面影が、首をかしげたラナの表情と重なった。
種族も違えば年齢も違う。それなのに、どうして。
どうして俺の元にこの娘はやってきた。
理由があるなら、たったひとつだろう。
____ドラゴンどもを根絶やしにするために、決まっている。
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