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Prologue
Prologue
真夏だというのに、洞窟の中は酷く冷え込む。隣で息を整える彼にぴたりと身を寄せれば、一呼吸止まったあとで、優しく頭を撫でられた。安堵して、思わず腑抜けた声が漏れる。
「ぼくらは、正しかったのかな」
ずっと言いたくて、言えなかった言葉を、まだ乱れる息に載せて運ぶ。すると、僅かに苛立った音波が戻ってきた。
「知るかよ。勝手に人様連れ出しといて、散々振り回した挙句今更その台詞か?」
「うん。そうなんだけどさ」
実に彼らしい返答だ。ぼくの口元は自然と緩んだ。良かった。どんなに世界が変わっても、彼は彼のままだった。
「何だよ、今日は嫌にしおらしいな」
苛立ちから心配へ、滑らかにグラデーションしてゆく声色。音を被せるようにして、ぼくは尋ねる。
「……。ねぇ、ほんとうのしあわせとは、一体なんだと思う?」
身を寄せた半身とは反対側に負った傷が、生温い血を吐き出している。不思議と痛みは感じなかった。きっともう、手遅れなんだろう。ぼくは、もうすぐ死ぬ。
だから最期に聞いてみた。こんな時じゃなきゃとてもじゃないが話せない問いかけを。戦うために生まれてきたぼくが、それでも生きていて良かったと確信するために。
これから彼が何を紡ぐのか、分かるような気もするし、まったく未知のような気もした。けれど、帰ってきた答えがどんなものでも、きっと、ぼくは──
「ぼくらは、正しかったのかな」
ずっと言いたくて、言えなかった言葉を、まだ乱れる息に載せて運ぶ。すると、僅かに苛立った音波が戻ってきた。
「知るかよ。勝手に人様連れ出しといて、散々振り回した挙句今更その台詞か?」
「うん。そうなんだけどさ」
実に彼らしい返答だ。ぼくの口元は自然と緩んだ。良かった。どんなに世界が変わっても、彼は彼のままだった。
「何だよ、今日は嫌にしおらしいな」
苛立ちから心配へ、滑らかにグラデーションしてゆく声色。音を被せるようにして、ぼくは尋ねる。
「……。ねぇ、ほんとうのしあわせとは、一体なんだと思う?」
身を寄せた半身とは反対側に負った傷が、生温い血を吐き出している。不思議と痛みは感じなかった。きっともう、手遅れなんだろう。ぼくは、もうすぐ死ぬ。
だから最期に聞いてみた。こんな時じゃなきゃとてもじゃないが話せない問いかけを。戦うために生まれてきたぼくが、それでも生きていて良かったと確信するために。
これから彼が何を紡ぐのか、分かるような気もするし、まったく未知のような気もした。けれど、帰ってきた答えがどんなものでも、きっと、ぼくは──
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