緋い棺

万雪 マリア

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桜の棺

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 __余談ではあるが、桜田杏樹の持論を最後に添えようと思う。

 ヒトは、自らに仇なす存在を悪魔とし、自らに祝福を与える存在を神とした。

 その本質は見極めず、むしろ、その本質が全く同じであると気付かなかったのだ。

 そのヒトがソレを悪魔なのだと思えば、ソレは悪魔になるし、天使だと思えば、ソレは天使になる。ようするに、気の持ちようと思いようしだいなのだ。

 そういう傲岸不遜さが、人間らしいのではないか、と桜田杏樹は考える。

 __サクラダ・アンジュ。

 その名前の意味するところを、だれも、だぁれも知らずに、彼を悪魔だと決めたのなら、桜田杏樹はきっと最低最悪の代名詞第一号の悪魔なのだろう。

 (花は桜木人は武士 だけど私は桜にはなれないのだから)

 (人の心は人にしかわからない 誰にも精神こころなどわかりはしない)

 (山桜のが美しいと言われても 染井吉野は接ぎ木で増える)
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