君に贈る最後の言の葉

水瀬はるか

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春-2

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「ここらへん、出るって噂らしいぜ?」

「出るってなにがだよ?」

「幽霊に決まってんだろ?昔からこの町では有名な話さ。最近じゃ出ることも少なくなったらしいが昔はよく出てたらしいぜ。しかも姿は全く見せず声だけらしいんだ。」

「それじゃなんも怖くないじゃないか。」

「いや、怖いのはこっからだ。その声を聞いたやつはここをよく訪れるようになり、最後にはこの木の下で謎の死を遂げるらしいぜ。何でも木に命を吸い取られるらしい。それでこの木についた名は……。」

「名は?」

皆ゴクリと唾を飲んだ。

「命の木。」

「まんまじゃねぇか!!」

リオがツッコミを入れ奥野は怖い、怖いと繰り返す。

「ま、とにかくこの木には近寄らないことだ。じゃあ、一番最後に丘のふもとに着いたやつ、アイス奢りな!!」



そう言うと雪村は笑いながら走り出した。



「ずるいぞ!!」

「ずるいよ~」



二人も遅れて走り出す。少年たちが去ると辺りは突然静かになり、私はほっと一息つくと縮こまっていた手足を伸ばした。

「ほんと、騒がしい人達だったなぁ。」

「わたし幽霊になっちゃったのかなぁ。」

独り言を繰り返すと、それに答えるように風が吹き、花を少し散らした。

その花びらを眺めていると先程の少年、リオが頭の中に浮かんでくる。

私は会ったこともないはずの彼が無性に気になり始め、その名を口ずさんだ。リオ、リオ……その名を口にするたびに少し強めの風が吹き、薄桃色の花びらとその声を彼の元へと運んでくれるような、そんな感じがした。
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