最弱で最強の怠惰な魔法使い

とうか

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01,始まり

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目を開けば真っ先に目に映るのは豪華な天幕付きのベット
見慣れた使用人の顔を見ながら少しずつ頭が覚醒していく

「リリィ様、おはようございます。今日は待ちに待った魔法学園の入学式にございますよ!さぁさ、起きてくださいませ!」

使用人のミカが起こしに来るが毎度毎度こいつは煩くて適わない

『うるさいミカ、私は寝る』

「煩いとは何事ですか!そして目を閉じないでくださいませぇー!今日は楽しい入学式ですよ!?これから新しい学園ライフが始まるんですよ!!?」

「煩いミカ、だるい」

だるいとはなんですかぁー!!と叫んでるミカの隣を通り今日から通う学園の制服を着る
だって、ミカの相手をする方が学園に行くよりも数倍にめんどくさいから

長い廊下を歩けば、この家で一番でっかく飾られている肖像が見えてくる。

『おはよう母様』

肖像画に映る母様に言ったところで返事は返ってこない
分かっていてもなおこうしてしまうのは、もうずっと前からの癖だ

部屋の中に入ればテーブルの上には朝食が並ばり、一番奥の席に父様が座っていた。自分の席につき挨拶をする

「おはよう父様」

『おはようリリィ、今日から全寮制の学園に行ってしまうからとても父様は悲しいよ』

わざとらしく悲しんだ顔と涙を拭く動作をする父様、いい大人がやる光景には見えないがさすが父様だと感心する

「まぁそれは置いといて、どうして家名を名乗らずに入学したいのか教えてくれるかい?」

一週間前、急に学園にいけと父様に言われ、拒否権などないぞーと半ば強引に手続きをされた私が出した最低条件、それが家名を名乗らないこと。何故か、と聞かれればそれはただ一つ

『めんどくさいから』

父様のあんぐりと空いた口がどれだけ驚いているのか簡単に想像出来る。家名を隠すのにあれこれめんどくさい手続きをしなくてはならないことを知っていてもこれは譲れなかった。

「め、んどくさい…か。ま、まぁ良い。父は頑張ったからなめんどくさいが理由だとしても、父は頑張った」

父様の引きつった顔を見てもそんなに罪悪感が感じられないのは、その感情がめんどくさいと知っているからか

『では父様、私は行って参ります』

「も、もう行くのか。そうか、もうそんな時間か。ではリリィ、勉学に励み魔法の修練に励み、立派な女性として父様のところに帰って来ることを待っている」

『6年間、自分の実力を精一杯試してきたいと思います。』

父様との最後の会話を終え、16年過ごしてきた我が家を振り返り一礼してから、魔法陣を思い描く
まず最初は王都に行かないと。

では手始めに “テレポート”


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