上 下
9 / 10

色のついた世界

しおりを挟む
「初めましてお嬢様」

勇気をだして開いた世界にはとても優しい笑顔をした2人が映っていた。

何も見えずに、何も起こらずただただ2人の笑顔が見える。

ほらっといってジョエルが部屋の外を、公爵邸を案内してくれた。もちろんアルも一緒に。

すれ違う人達と目が合っても何も起きず、皆優しく挨拶をしてくれる。なんて暖かく優しい世界なのだろうか。



「…ここでは自分を偽ることも隠すこともなく気を使う必要も無いのですよお嬢様。」


何気ない一言にどこかしら心が軽くなった気がした。自由に生きていいと言われたみたいで。

『こんな……』


こんな幸せなことがあっていいのだろうか、前世でも今世でも自由には生きられないと思っていたのに、こんなに幸せな気持ちを抱いて良いのだろうか。


ポロポロ流れる涙を気づかれないように手で拭っていたが、ジョエルは私の背中を優しくさすってくれた。その優しさがとても嬉しく初めて、心の底から泣いた。
泣いて、泣いて、泣き疲れて眠ってもジョエルは優しく抱き締めてくれていた。
しおりを挟む
1 / 3

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

力を持ってる女王が嫌いなのでみんなで敵に寝返って倒したいと思います。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

ひみつのおと

青春 / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:1

夢だと思って食べられました。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:9

ヴァカロ王太子のおもてなし ~目には目を、婚約破棄には婚約破棄を~

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:24

BL短編集

BL / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:0

処理中です...