令和モラトリアム★ボーイ -貧乏性の御曹司は、DIYでリフォームした家で年下執事と暮らしながら、本当の自分を探す-

福守りん

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4.貧乏性の御曹司、パーティーに行く

≪護≫1

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 隼人さまが、死んでる。
 ゲームでいうと、ライフがゼロ、みたいな。
 明日は、パーティーに行くらしい。場所が赤坂のホテルと聞いて、すごいなと思った。
 でも、わからない。実際に行ったら、疲れるだけかもしれない。

 今日。帰ってきたら、髪型が変わっていた。
 黒い髪が、耳の上くらいの長さになっていた。めちゃくちゃ、かっこよく見えた。

「モデルになろうとか、思わなかったですか」
「は? どうしたの? 頭でも打った?」
「打ってないです。ご自分でも、わかってますよね? かっこいいの」
「かっこよくないよ」
「そういえば、隼人さまのご両親に、お会いしたことがないです」
「そうなの?」
「はい。あちらには、一日しか、いなかったんで」
「そうだったのか。あんまり、似てないと思う」
「え。そうなんですか?」
「うん。実際に会えば、分かると思う」

 隼人さまは、僕が作った夕ごはんを食べて、早めに風呂に入った。
 居間に戻ってきた時には、プラモデルの箱を抱えていた。
「作るんですか」
「うん。護もやる?」
「やらないです」
「だよな」

 単色のパーツに、銀色の、ステンレス製っぽい道具で、塗装をしていた。
 エアーブラシというらしい。白いマスクをつけていた。なぜか、僕もつけさせられた。

「もういいよ。外して」
「はい」
 マスクを外して、座卓に置いた。
「どのプラモも、同じに見えます」
「それは、残念だな」
「楽しいですか? それ」
「うん。護も、なにか、趣味を作ったら」
「趣味いー?」
 ばかにしたみたいな返事になってしまった。
「自分が好きなものとか、ないの」
「漫画とか、ゲームとかは、好きですけど」
「アニメは?」
「あんまり……」
「そうか」
 がっかりしたような顔をしていた。嘘でも、「好きです」と言った方がよかったんだろうか。
「ロボットばっかりですね」
「うん。プラモデルだし。ロボとか、飛行機とか。あとは戦車とか、かな」

 午後九時くらいに、おひらきになった。
 歯みがきをしに、お風呂のまえにある脱衣所に行ったら、隼人さまが鏡を見ていた。
 悲しそうな顔をしていた。
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