三百字 -三百字の短編小説集-

福守りん

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三、四、五

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「気がついたのね」
 目が覚めると、瞼を赤く腫らした博士が僕を覗き込んでいた。
「びっくりした。突然倒れたのよ。あなた」
「夢を見ました」
「素晴らしいわ。どんな夢だった?」
「僕によく似た子がそばにいて、僕に云いました。『お前は三人目だろう? 僕は四人目だよ』と」
 すると博士は微笑んだ。
「違う。あなたは四人目よ。三人目は造っている途中で壊れたの」
 四人目。僕は三人目ですら無かったのか。とすれば、頬を涙で濡らして僕に掴みかかってきた「彼」は、自分を四人目だと思っているけれども、実際は五人目だという訳だ。遠くで鳴り響いているサイレンの音が、やけに煩い。
「なぜ、僕を造ったんです?」
 五人目の手が触れた、右の肩が熱い。
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