「叉雷の鱗」は、なぜエタったのか? -自作のエターナル小説について語る-

福守りん

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六章 本能

☆【2】叉雷の選択

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※このへんから、クライマックスです。

祠の中で、陸糸と出会う叉雷

「あなたは、この方を真実助けたいと思っているのか」
「当然だ!」

「あなたの血が必要だ」
「分かった」

「これでいいか?」
「充分です」

「では、杯を口元へ」
「飲ませるのか?」
「飲んで頂きましょう。この方を失う訳には行かない」

「……!」
 叉雷は息を呑んだ。陸糸の爪が、千鶴の手首の内側を切り裂いてゆく。
「やめろ。こんなに弱っているのに。なぜ、この人から血を採る必要がある?」
「あなたにも飲んでもらう」
 咄嗟に拒絶の言葉が唇から出そうになり、叉雷はぐっと口を引き結んだ。他者と血のやり取りをする人種がいるということは、風の便りに聞いた記憶がある。だが、実際に己が同じ行為を千鶴と交わすのだと考えると、禁忌の二文字が強烈に胸に迫って来る。

「これを飲めば、あなたは、ただ一つのものだけを残して、それ以外の全てを失う」
「……ただ一つ?」
「それが、この方であれば僥倖なのですが」

「これを飲めば、この人は助かるんだな」
 叉雷は強く念を押した。
「私は、己の出る幕は永遠に無いであろうと思っていました。私が今ここにいるいうことは、私にとっても大変に喜ばしいことなのです」
「何だかよく分からないけど、おれは飲むよ」
「後悔することはないと?」
「……たぶんね」
 冗談めかして応える。叉雷の顔に迷いは無かった。
 一息に杯を呷る。

「あ、っぐゥ」

「なん、だ、これは――ッ」

 眼の裏が炎のような朱に染まっている。

(あぁ――体が熱い!)
「が、ァあッ、ぁ」


「あ、ぐぁああァ――ッ!」
「やはり……。生粋の人では、血が合わないか」


※この時は、モノローグに()を使ってますが、今だったら、たぶん一人称で書いたと思うので、()は使わないんじゃないかと。
 当時は、「小説らしくすること」に腐心していたような気がします。小説としての体裁よりも、心で書くのが一番だと、今は思っています。
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