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夢の話
「……琴美、起きなさい。こんなところで寝ちゃ駄目よ」
母さんだ。また夢? あまりにリアルな夢だったので琴美はどちらが夢か、一瞬分からなくなった。
「おはよ、母さん。今何時?」
「十時よ。下の階で呼んでも起きないから……。早くお風呂に入ってね。あら、そのノートは何? お勉強してたの?」
「これはいいの」琴美は慌ててノートを閉じた。誰にも見せてはいけない、というより、誰にも見せたくない、という気持ちが先に立ったのだ。『だれにも見せない』とライと約束した訳ではない。けれど、琴美にとってそれは秘密の世界への扉を開ける鍵だったのだ。
「早く、お風呂に入ってちょうだいね」
そういうと、母さんは部屋を出て行った。琴美は、ノートを鍵のかかる机の引き出しにしまい、小さな鍵をかけた。
これで、よし、と。
琴美はひとりつぶやくと、お風呂へと向かった。お風呂からあがると、父さんがキッチンで缶ビールを飲んでいた。
「勉強しながら寝てしまうなんて、珍しいじゃないか。今日の遠足がよっぽど疲れたのかな?」
琴美は都合の良い誤解を、あえて訂正しなかった。
「ねぇ、父さん。父さんは若い頃、何になりたかったの」
「どうしたんだ、急に。そうだなぁ、子どもの頃は野球選手になりたかったな」
そういうと、父さんはニュースの流れていたテレビの電源を切った。
「父さんは、機械いじりが好きだったから、大人になるにつれて、工業系の仕事に就きたくて、工学部に入ったんだ。なんだ、進路のことを考えているのか?」
「ううん、そうじゃない。人の人生って本当に色々なんだな、と思って」
「琴美は急に大人になった気がするな。好きな人でもできたのか? それなら、すぐに教えなさい。父さんが殴ってやるから」
「違うって!」琴美は都合の悪い誤解はすぐ解くことにした。そして琴美は少しためらったが、口を開いた。
「父さん、人生って何?」
父さんはビールを吹き出した。慌ててこぼれたビールを拭きつつ、口を開いた。
「そういうことは、母さんに聞きなさい」
そうよね。それは、自分で考えることだもの。安易に他の人に聞いちゃいけなかったんだ。でも、なんでみんな考えないのかな? こんなに大事なことなのに……。
「ごめんね、じゃましちゃって。おやすみなさい」
「おやすみ、琴美。今日は何だか変だな」
琴美は部屋へ戻ると、鍵を開けてノートを取り出し、また物語を書きはじめた。
母さんだ。また夢? あまりにリアルな夢だったので琴美はどちらが夢か、一瞬分からなくなった。
「おはよ、母さん。今何時?」
「十時よ。下の階で呼んでも起きないから……。早くお風呂に入ってね。あら、そのノートは何? お勉強してたの?」
「これはいいの」琴美は慌ててノートを閉じた。誰にも見せてはいけない、というより、誰にも見せたくない、という気持ちが先に立ったのだ。『だれにも見せない』とライと約束した訳ではない。けれど、琴美にとってそれは秘密の世界への扉を開ける鍵だったのだ。
「早く、お風呂に入ってちょうだいね」
そういうと、母さんは部屋を出て行った。琴美は、ノートを鍵のかかる机の引き出しにしまい、小さな鍵をかけた。
これで、よし、と。
琴美はひとりつぶやくと、お風呂へと向かった。お風呂からあがると、父さんがキッチンで缶ビールを飲んでいた。
「勉強しながら寝てしまうなんて、珍しいじゃないか。今日の遠足がよっぽど疲れたのかな?」
琴美は都合の良い誤解を、あえて訂正しなかった。
「ねぇ、父さん。父さんは若い頃、何になりたかったの」
「どうしたんだ、急に。そうだなぁ、子どもの頃は野球選手になりたかったな」
そういうと、父さんはニュースの流れていたテレビの電源を切った。
「父さんは、機械いじりが好きだったから、大人になるにつれて、工業系の仕事に就きたくて、工学部に入ったんだ。なんだ、進路のことを考えているのか?」
「ううん、そうじゃない。人の人生って本当に色々なんだな、と思って」
「琴美は急に大人になった気がするな。好きな人でもできたのか? それなら、すぐに教えなさい。父さんが殴ってやるから」
「違うって!」琴美は都合の悪い誤解はすぐ解くことにした。そして琴美は少しためらったが、口を開いた。
「父さん、人生って何?」
父さんはビールを吹き出した。慌ててこぼれたビールを拭きつつ、口を開いた。
「そういうことは、母さんに聞きなさい」
そうよね。それは、自分で考えることだもの。安易に他の人に聞いちゃいけなかったんだ。でも、なんでみんな考えないのかな? こんなに大事なことなのに……。
「ごめんね、じゃましちゃって。おやすみなさい」
「おやすみ、琴美。今日は何だか変だな」
琴美は部屋へ戻ると、鍵を開けてノートを取り出し、また物語を書きはじめた。
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