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幼少期編
22 応接室に呼ばれまして
しおりを挟むパーティーがおひらきになった後、控え室に戻った僕たちのところに王城の執事さんが来た。父と母は何かわかっていたようで僕たちを連れて執事さんの後をついて行く。
「失礼致します。デルヴィーニュ公爵家の皆様をお連れしました」
「ああ。入ってくれ」
「失礼します」
父を先頭に部屋に入る。ロココ調のめちゃくちゃ豪華な応接室みたいなところ。中には国王陛下と王妃様、それから第2王子と第1王女のサラ殿下がいた。
おさらいしつつ紹介しよう。
まずは国王陛下のエーブラム・ティスデイル。
ブロンドの髪にエメラルドグリーンの瞳。イケメンだけど冷たい印象の顔をしてる。
次に王妃様のジョリー・ゲルマン・ティスデイル。
元ゲルマン公爵家のご令嬢で薄紫色の髪に黄色の瞳の優しい顔つき。平民からの評判も良い人。
第2王子のケイレブ・ティスデイル。薄紫色の髪に青に近い緑色の瞳で兄弟の中で1番頭のいい人。顔もなかなかイケメン。どちらかと言えば王妃様に似ている。5歳上で今年9歳になる。
第1王女のサラ・ティスデイル。ブロンドの髪にルビーのような赤い瞳で縦巻きカール…あ、ロールか!縦巻きロールで猫目で悪役令嬢っぽい感じのお顔。兄と姉と同い年で今日成人式に出てた子。
ふぅ……。他の王子もついでに紹介しちゃおうかな。
第1王子のバージル・ティスデイル。薄紫色の髪に黄色っぽい橙色の瞳。国王陛下と瓜二つなんだとか。7歳上で今年11歳だね。
第3王子のカミール・ティスデイル。ブロンドの髪に蒼い瞳のザ王子という容姿で両親のどちらにもあまり似ていないらしい。ちなみに彼とは同い年になる。
以上王家の紹介でした。話に戻ろう!あと面倒くさいから国王陛下→王様に変えるね。言いにくいもん。
「そろそろ本題に入ったらどうだ?」
父の一言で今まで雑談していた王様が苦笑した。入ってから10分くらいかな?王様が姿勢を正したから僕らも姿勢を正す。
「まあ、シルとデルヴィーニュ公爵夫人はわかっていると思うが……ケイレブはトリルビィ公爵令嬢。サラはレイナード卿と婚約させようと思う」
「やはりな。成人の儀が終わったら来ると思っていたよ」
「デルヴィーニュ公爵家は王家より資金があるからな。これでも7年ちゃんと待ったんだ。文句を言われる筋合いはない」
「わかってるさ。4年前にうちに来た時、本当は婚約させたかったんだろ?」
「ああ、そうだ。変なしきたりがなかったら生まれた時から婚約させていた」
父は面白そうにククッと笑う。王様は少し拗ねた子供のような顔をして続ける。
「基本公爵の君たちに拒否権はない。が、デルヴィーニュ公爵家にそっぽを向かれるのも困る。君たちの意思は聞こう」
兄と姉はそれぞれ考え込む。意思は聞こうって言ったけど、尊重する気は無いんだね……子供じゃ気づかない罠だなぁ。やっぱり王様は苦手。
「私たちに意見を聞いてくださいましたが、拒否させる気はありませんよね?」
兄が王様に言うと少し驚いた顔をした。兄の隣で姉もコクコクと頷いている。
「いや、そ、まあ…コホン……そうだな。こちらとしては逃したく無い魚だ」
まあまあ動揺したみたいだけどなんとか取り繕った。父は吹き出しそうになっている。母は淑女スマイルでみんなを見守ってる。
「ですよね。私たちはそれで構いません」
兄と姉を見る。兄はちゃんと王様の方をしっかり見ている。何も問題ない。問題は姉。王様を見てる顔が問題。もう完全にバカにしたような顔で見てる。不敬にされてもおかしくない顔だよそれ……その顔に気づいた父が顔を反対側にグルンと向けて口を手で押さえる。
「あ、ああ。そうか…では婚約の手続きをし「しませんわ!!」」
それまで静かにしていたサラが立ち上がった。
「何を言ってるんだ」
王様の威厳を最大限に出した声でサラ殿下に聞く。父も姉も真顔でスンってなった。これはサラ殿下の声で正気に戻ったわけではなくて、笑うのを堪えれなくなって心の中で爆笑している時の顔。2人とも癖で人前じゃなくても爆笑する時はいつもああなってる。急にスンってなるから初めて見たときは爆笑した。もちろん赤ん坊の頃の話。今は堪えられるようになった。
「私がこのかたに嫁いだらリュサリネラが妹になるのでしょう?自分より可愛い人がいるところに誰が嫁ぎたいと思うのですか?」
わぁ。さっきもだったけどまた呼び捨てにされちゃった。これが乙女ゲームなら悪役令嬢並みだね。本当のところは知らないけど。
「発言いいですか?」
「ああ」
「サラ殿下、僕は男です」
「は?」
「リュサリネラ・デルヴィーニュは男です」
「何言ってるの?その顔で男のわけないじゃない!」
「この顔で男です」
「はぁああ?!なおさら嫌だわ!お父様。私はこの方と婚姻も婚約もしませんわ。ぜっっったいに!!」
そう言うとバンッと出て行ってしまった。これって僕のせい…?
「僕は構わないよ。トリルビィ公爵令嬢」
ケイレブ殿下はふわりと笑って姉を見る。姉も母直伝の淑女スマイルで笑い返す。
「わかった。では、この場ではケイレブとトリルビィ公爵令嬢のみ婚約の手続きを行う。レイナード卿はサラを説得するまで待っていてほしい」
「いえ、リュサリネラがわたしの弟である限りサラ殿下は首を縦に振らないと思いますので、諦めた方がよろしいかと」
兄がにこやかに笑う。王様はその笑顔に当てられたのか少し引き攣った顔をして父を見る。
「私もレイナードと同じ意見だ」
王様は渋々といった感じで「そうか…」とだけ呟いた。
そのあとは洋紙に色々書き込んで帰ってきた。姉はケイレブ殿下が気に入ったようで…いや、ケイレブ殿下の【雷】が気に入ったようでもっといろんな実験ができるとグヘヘと笑っていた。姉の本性を見たらケイレブ殿下は失神するんじゃないかな……。
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