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幼少期編
23 プレゼント
しおりを挟む姉の婚約が成立して婚約パーティーが行われることになった。王族との婚約だから王城でかなり盛大に行われるらしい。今日はそのパーティーで姉とケイレブ殿下に渡すプレゼントを買いに来た。もちろん兄と一緒。
王都は中世ヨーロッパみたいな感じで臭いのかなと思っていたけど平民でも魔法が使えるから貴族と同じ方法で処理してるみたい。【緑】の育成魔法に肥料化させる魔法があって、その魔法を付与したビー玉みたいなのをトイレの椅子の下に置く壺の中に入れておくだけ。壺に消臭魔法が付与されているから臭わないし、週に1回指定された場所に持って行けば小銅貨2枚貰えるから道に捨てる人もいなくて清潔に保ててる。魔法って便利だね。
「兄様は何を送るか決めましたか?」
今いるのは貴族たちが買い物する高級店が並ぶ通りにいる。
「一応ね。ルビーには研究材料になるものとアクセサリー。ケイレブ殿下は植物が好きだと聞いたから珍しい図鑑とかにしようと思ってる」
「そうですか。姉様はすぐ決まったのですが、ケイレブ殿下はよく知らなくて…」
「そうだね。一緒に選ぼうか」
「はい!ナード兄様」
最初に入ったのは宝石を使うアクセサリーのお店。色とりどりの宝石を見つつプレゼント用にいくつか見繕ってもらう。
「お勧めはこちらの大振りのダイヤモンドを散りばめたネックレスになります」
正直、そういうのは家に呼んだら必ず出てくる品物。それでは街に降りてきた意味がないんだよな。
「姉様はそういうの趣味じゃないんだよね。珍しい宝石を使ったものとかないの?」
「それでしたら……こちらのものはどうでしょうか?」
出てきたのは虫入りの琥珀。虫が苦手な僕は思わずウッとなってしまう。それを見た店主はやっぱりと顔をして仕舞おうとする。たぶん貴婦人たちも同じ反応をしたんだろうな。
「待って。それ貰うよ」
「え?あ、はい」
お前正気かという顔を一瞬された。
「加工はしなくていいよ。同じようなものがあれば僕も貰うよ」
他の商品を見ていた兄が横に来る。兄の従者のベニアルが袋を持っているからすでに何か買ったんだろう。
店主が出したのは全部で5個。どれも違う虫が入っている。僕は2個。兄が3個買った。
「他のお店も虫入りの琥珀を売ってたりする?」
「いえ、気色が悪いので全てこの店に流れてきます」
「そっか。ありがとう」
ここは姉の御用達のお店になるなと思いながら店を後にする。その後も本屋に行ったり、お菓子のお店でお茶したりしてプレゼントをたくさん買って帰ってきた。
「兄様、これどうぞ」
屋敷のサロンについてソファーに腰を下ろしたところで兄にプレゼントを渡す。
「少し先を越されたな。ベニアル」
ベニアルが袋を5個ほど持ってきた。ん?それ全部僕に?多くない?
「多くないよ。これでもかなり絞ったんだから」
そう言いながら僕の頭を撫でる。
「開けてもいい?」
「はい」
兄のプレゼントは洗練されたデザインのコップと黒革の手帳。無難かなと思ったけど、他にあげたいものは今の自分では無理なものが多くて断念した。魔法が使えたら作れるんだけどね……あと1年の我慢。
「コップと手帳…ありがとうリラン。よくわかったね」
(よくわかった?ん?)
「どういう事ですか?兄様」
「僕が欲しいなと思っていた物なんだよ。リランは第六感がいいのかな?」
「あひゃあ!」
兄にお腹や脇の下をくすぐられる。昔から弱くて笑い転げてしまう。
「や、やめ。にいさま、あは、ひゃぁー」
「ふふふ。可愛い」
「はぁはぁ、兄様、ひどいです」
「ごめんごめん。リランが可愛いからついね。そんなにむくれないで」
「むー。気に入ってくれました?」
「勿論。僕のも開けて欲しいな」
「はい」
兄からのプレゼントはオレンジっぽい黄色と紫色の宝石がついたネックレスと銀色の髪留め、植物とかのいろんなの図鑑一式、丸っこい魔道具だった。
「兄様、この宝石はなんですか?兄様と姉様の瞳と同じ色です」
「それはアメトリンっていう宝石らしよ。僕たちの弟ってわかりやすいから婚約パーティーの時はつけておいて」
「わかりました!」
ニコニコ笑ってたら兄にぎゅーっと抱きしめられました。僕もいつも通り抱きかえしたら「可愛すぎっ」って息が苦しくなるほど力を入れられてちょっと焦った。
あ、丸っこい魔道具が何の魔道具か聞くの忘れたな…ま、いっか。
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