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第一章
少年期23
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どうやらこの将校は、アドルフの相手をする意志は微塵もないらしい。子供だから仕方ないものの、彼は当然不満を抱く。
しかしくり返しになるが、反抗すれば何をされるかわからない。ただの役人ではなく、軍人が現れたことの意味は明瞭である。魔人族は自分たちの命令「亜人族を集めろ」という指示を、武力でなし遂げようとしているのだ。
こうした動きに歯向かうには、こちらにも武力がなければいけないが、そんな余力はアドルフにはない。
だがたったひとり、魔人族を前にして微動だにしない者がいた。あのディアナですら、子分を連れてこの場を離れていったのに、銀髪をはためかせたフリーデだけが背の高い将校を睨みあげている。
「文句があるのかい? 子供のくせに生意気だな」
将校はフリーデの視線に気づいたのか、右手を顔のほうに振りあげると、勢いよく下に降ろした。
その瞬間、肉をむちで打ったような音が鳴り響いた。将校の手がフリーデの頬を叩いたのだ。
「そこの君、この子を連れていきたまえ。これ以上一緒にいると殺してしまいそうだ」
将校は不穏な発言を添えて、アドルフによろめいたフリーデを押しつけた。
むろんアドルフは、フリーデが普通の女の子でなく、震え上がるほど気の強い性格だとを知っているため、承服しがたい命令を反射的に拒んでしまったのだろうと察しをつけていた。
それに彼は、最近の共闘を通じてフリーデの信頼を得ている。だからアドルフは、迷わずフリーデの手をとり、歳の離れた兄を思わせる声でこう言った。
「冷静に考えろ。軍人と我らでは、ネズミが猫に喧嘩を売るようなものだ」
「窮鼠猫を噛むと言うじゃないか」
「あれは例外的なケースだ。それに猫に噛みついたネズミも、最後はべつの猫に食われるのだ」
わずかに抵抗を見せたフリーデだが、理屈っぽいやり取りが功を奏し、アドルフに手を引かれるまま、小走りになって魔人族から離れていく。
それからふたりは、将校の命じたとおり、三〇分近くかけて町の亜人族たちを一軒ずつ訪ねてまわった。
急ごうと思えばもっと急げたはずだが、自分たちが慌てた動きを見せると、それを知った亜人族の混乱が大きくなると判じ、アドルフはまるで世間話でもするような態度で魔人族の下した命令を伝え、自分たちのいた場所へむかうよう話をつけていった。
そしてこれだけ落ち着き払っていると、フリーデにも良い影響を与えはじめる。
しばらくは興奮した様子を隠さなかった彼女だが、〈施設〉が近づくにつれ、気持ちが普段どおりに戻ってきたようで、「さっきは助かったよ」とアドルフに感謝の言葉を述べた。
この変化に、アドルフは安心する。親しく付き合ってわかったことだが、フリーデはどこか情緒不安定なところがある。さきほども魔人族に歯向かうような態度をとったし、大人しくして貰わないと命がいくつあっても足りないと彼は懸念していたのだ。
やがてふたりは〈施設〉の建物に到着し、隣接したニミッツ家の屋敷、院長先生の自宅に歩をむける。
アドルフはこのとき、飛来した魔人族と遭遇して以降、はじめてと言ってよいほど大きな息を吐いた。それまでは緊張で、呼吸が若干浅かったのである。
彼の心を落ち着かせたのは、やはり院長先生の存在だ。魔人族の軍人たちは、アドルフたちを子供扱いし、ちょっとでも反抗的な様子を見せればすぐに殺しかねない威圧感があった。
こんな状況では大人に存在感を発揮して貰うのが望ましい。その点、人間としての器の大きい院長先生なら、彼らと話をつけ、なぜ亜人族を一箇所に集めるような真似をしたのか聞き出すことができると思ったのだ。
情報がなければ戦えない。だがそれさえ聞き出せば、魔人族と交渉できる。
実際のところアドルフは、魔人族の行動を次のように解釈していた。すなわち、軍人が現れたということは、何らかの捜査がおこなわれているのではないか。イェドノタ連邦では警察機構の役割も軍人がこなすのはすでに新聞で把握していた。もし犯罪をおかした亜人族がビュクシから逃亡し、トルナバに逃げ込んだ可能性があるとしたら、犯人を追った警察が町民に事情聴取をしても違和感はない。
ここまで予測を深めていたからこそ、アドルフはもう普段の自分を取り戻していた。そんな彼はフリーデの手を引きつつ、院長先生の自宅の玄関にまわりこんだ。
しかし芝生に足を踏み入れた瞬間、彼は予想外なものを発見する。落ち着きを発揮していたから声を出すことはなかったが、かわりにフリーデが息をのむ音が聞こえた。
玄関のまえには、〈施設〉で働く大人たちが数人、折り重なって倒れていた。そのなかには院長夫人も混ざっていた。
彼女たちの背中は真っ赤に染まり、溢れ出した血はまだ固まっていなかった。何者かに斬りつけられた直後だと瞬時に判断できる。
見れば院長夫人のすぐそばに、ニミッツ家の従者たちが佇んでいた。アドルフが〈青い三連星〉というあだ名をつけた連中である。相変わらずふざけた外見だったが、三人とも顔は泣き崩れていた。涙を流すことしかできることはなかった。そう言いたげな痛ましい表情で。
「ごめんね、アドルフ……」
「ワイら、何の役にも立てなかってん」
オカマのマクロと、道化師のブローカーが声を絞り出し、それを聞いて感極まったのか、オペラ男優のバリュウが激しく嗚咽する。
そんな残虐きわまる光景を見て、フリーデが目を見開き、口許を手で押さえていた。一瞥すれば、瞳にみるみる涙がたまっていく。
このときアドルフは、フリーデとは逆に、目の前の光景をそのまま受け入れた。魔人族の現れた理由のあたりをつけたとはいえ、どうやらそれは的外れかもしれないと悟ったのだ。
けれど目的もなく彼らは人を殺すだろうか。その答えはすぐには出なかったが、直感にすぐれているアドルフはこれは虐殺の跡であることをすぐに感じとった。そして〈施設〉の子供たちや従者が危害をくわえられなかったことから、院長夫人たちは何か個人的な理由で殺されるに値したのだろうと察した。
その見立ての真偽を確かめるべく、彼はマクロにたいして問うた。
「何があった?」
マクロはオカマにしては低い声で、声をしゃくり上げながら答えた。
「子供たちを連れて行くと言うから、先生たちが抵抗したの。それに財産も没収するから金庫の鍵の在り処を教えろと言われて、院長先生が……」
そこまで言うと、マクロは声を失い、その場に崩れ落ちた。
もっともアドルフは冷静さをまったく失わず、殺害の様子を頭のなかで再現し、次になすべきことを直ちに判じた。
「院長先生はどこへ行った?」
素早く問うアドルフに、マクロがかすれた声で答えた。
「むこうの建物の裏手のほうに……」
彼女は〈施設〉の裏庭を指差し、落ち着き払ったアドルフを頼るように言った。
「お願い、何とかして」
「……ああ、わかった。任せておけ」
子供でありながら、彼はこの場の責任を一手に引き受けて、〈施設〉の裏庭に小走りでむかう。彼の動きに追いすがりながら、必死な形相でフリーデも後をついてくる。
一瞬彼は、フリーデに「ついてくるな」と命じようと思ったが、いまはその時間すら惜しかった。泰然としていたアドルフだが、マクロの話を聞いた途端、嫌なものを感じたのだ。
そんな彼の予想は見事に的中してしまう。
アドルフがフリーデと裏庭に飛び込んだとき、そこには先回りしていたかのように三人の軍人が立っていた。ふたりは黄土色の軍服、もうひとりは灰色の士官服。そう、後者の一名はさきほどアドルフとやりあった魔人族の将校に他ならない。
「フン、また会ったな」
鼻を鳴らした将校はアドルフに目をむけ、腰に手をあてながら隣に立つ部下へ声をかけた。
「鍵の在り処は聞き出せたな。すぐに接収しろ」
「了解です、カフカ隊長」
命じられた部下は機敏に敬礼し、カフカと呼ばれた将校の傍を離れ、アドルフの横を小走りに通り過ぎていった。
彼はここで、いまさっきマクロが言ったことを思い出した。魔人族たちは、院長先生の金庫の鍵を欲しがっているようだったという話。いまのやりとりを読み解けば、彼らは狙いどおりの答えを手に入れ、軍人をその場に差し向けたのだろう。
だとすれば、彼らの目的は、院長先生の財産を奪うことだったのか?
それと同時にアドルフは、目の前の光景を奇異に感じた。鍵の在り処を聞き出したというわりに、肝心の院長先生の姿がどこにもなかったからだ。
それを察知した瞬間、疑問が胸の奥から迫りあがり、無駄口を叩くだけで危険に思われる状況でありながら、アドルフはその勢いを押し止めることができなかった。
「貴公らの目的は何だ? 院長先生はどこにいる?」
じりじりと焼けつく焦燥感を覚えながら、アドルフは低い声で問うた。するとその視線の先で将校は、士官服のポケットに片手を突っ込みながら、首を傾けこう答えた。
「質問すれば何でも答えて貰えると思っているのか? 世間知らずの子供め」
深い意味もない切り返しに聞こえたが、子供の体に大人の頭をもつアドルフは瞬時に心を怒りで染めた。一度ならず、二度も子供扱いされたことに途方もない不快感を催したのだ。
彼はこぶしを握り締め、もう片方の手で杖の柄を握る。心拍数が徐々にあがっていくが、そのことに何とも思わなかった。
「ふむ、子供のわりに良い目つきだな。君の勇気に敬意を表して、さっきの問いに答えてやろうか」
将校は、余裕たっぷりに微笑み、指を二本立てた。
しかしくり返しになるが、反抗すれば何をされるかわからない。ただの役人ではなく、軍人が現れたことの意味は明瞭である。魔人族は自分たちの命令「亜人族を集めろ」という指示を、武力でなし遂げようとしているのだ。
こうした動きに歯向かうには、こちらにも武力がなければいけないが、そんな余力はアドルフにはない。
だがたったひとり、魔人族を前にして微動だにしない者がいた。あのディアナですら、子分を連れてこの場を離れていったのに、銀髪をはためかせたフリーデだけが背の高い将校を睨みあげている。
「文句があるのかい? 子供のくせに生意気だな」
将校はフリーデの視線に気づいたのか、右手を顔のほうに振りあげると、勢いよく下に降ろした。
その瞬間、肉をむちで打ったような音が鳴り響いた。将校の手がフリーデの頬を叩いたのだ。
「そこの君、この子を連れていきたまえ。これ以上一緒にいると殺してしまいそうだ」
将校は不穏な発言を添えて、アドルフによろめいたフリーデを押しつけた。
むろんアドルフは、フリーデが普通の女の子でなく、震え上がるほど気の強い性格だとを知っているため、承服しがたい命令を反射的に拒んでしまったのだろうと察しをつけていた。
それに彼は、最近の共闘を通じてフリーデの信頼を得ている。だからアドルフは、迷わずフリーデの手をとり、歳の離れた兄を思わせる声でこう言った。
「冷静に考えろ。軍人と我らでは、ネズミが猫に喧嘩を売るようなものだ」
「窮鼠猫を噛むと言うじゃないか」
「あれは例外的なケースだ。それに猫に噛みついたネズミも、最後はべつの猫に食われるのだ」
わずかに抵抗を見せたフリーデだが、理屈っぽいやり取りが功を奏し、アドルフに手を引かれるまま、小走りになって魔人族から離れていく。
それからふたりは、将校の命じたとおり、三〇分近くかけて町の亜人族たちを一軒ずつ訪ねてまわった。
急ごうと思えばもっと急げたはずだが、自分たちが慌てた動きを見せると、それを知った亜人族の混乱が大きくなると判じ、アドルフはまるで世間話でもするような態度で魔人族の下した命令を伝え、自分たちのいた場所へむかうよう話をつけていった。
そしてこれだけ落ち着き払っていると、フリーデにも良い影響を与えはじめる。
しばらくは興奮した様子を隠さなかった彼女だが、〈施設〉が近づくにつれ、気持ちが普段どおりに戻ってきたようで、「さっきは助かったよ」とアドルフに感謝の言葉を述べた。
この変化に、アドルフは安心する。親しく付き合ってわかったことだが、フリーデはどこか情緒不安定なところがある。さきほども魔人族に歯向かうような態度をとったし、大人しくして貰わないと命がいくつあっても足りないと彼は懸念していたのだ。
やがてふたりは〈施設〉の建物に到着し、隣接したニミッツ家の屋敷、院長先生の自宅に歩をむける。
アドルフはこのとき、飛来した魔人族と遭遇して以降、はじめてと言ってよいほど大きな息を吐いた。それまでは緊張で、呼吸が若干浅かったのである。
彼の心を落ち着かせたのは、やはり院長先生の存在だ。魔人族の軍人たちは、アドルフたちを子供扱いし、ちょっとでも反抗的な様子を見せればすぐに殺しかねない威圧感があった。
こんな状況では大人に存在感を発揮して貰うのが望ましい。その点、人間としての器の大きい院長先生なら、彼らと話をつけ、なぜ亜人族を一箇所に集めるような真似をしたのか聞き出すことができると思ったのだ。
情報がなければ戦えない。だがそれさえ聞き出せば、魔人族と交渉できる。
実際のところアドルフは、魔人族の行動を次のように解釈していた。すなわち、軍人が現れたということは、何らかの捜査がおこなわれているのではないか。イェドノタ連邦では警察機構の役割も軍人がこなすのはすでに新聞で把握していた。もし犯罪をおかした亜人族がビュクシから逃亡し、トルナバに逃げ込んだ可能性があるとしたら、犯人を追った警察が町民に事情聴取をしても違和感はない。
ここまで予測を深めていたからこそ、アドルフはもう普段の自分を取り戻していた。そんな彼はフリーデの手を引きつつ、院長先生の自宅の玄関にまわりこんだ。
しかし芝生に足を踏み入れた瞬間、彼は予想外なものを発見する。落ち着きを発揮していたから声を出すことはなかったが、かわりにフリーデが息をのむ音が聞こえた。
玄関のまえには、〈施設〉で働く大人たちが数人、折り重なって倒れていた。そのなかには院長夫人も混ざっていた。
彼女たちの背中は真っ赤に染まり、溢れ出した血はまだ固まっていなかった。何者かに斬りつけられた直後だと瞬時に判断できる。
見れば院長夫人のすぐそばに、ニミッツ家の従者たちが佇んでいた。アドルフが〈青い三連星〉というあだ名をつけた連中である。相変わらずふざけた外見だったが、三人とも顔は泣き崩れていた。涙を流すことしかできることはなかった。そう言いたげな痛ましい表情で。
「ごめんね、アドルフ……」
「ワイら、何の役にも立てなかってん」
オカマのマクロと、道化師のブローカーが声を絞り出し、それを聞いて感極まったのか、オペラ男優のバリュウが激しく嗚咽する。
そんな残虐きわまる光景を見て、フリーデが目を見開き、口許を手で押さえていた。一瞥すれば、瞳にみるみる涙がたまっていく。
このときアドルフは、フリーデとは逆に、目の前の光景をそのまま受け入れた。魔人族の現れた理由のあたりをつけたとはいえ、どうやらそれは的外れかもしれないと悟ったのだ。
けれど目的もなく彼らは人を殺すだろうか。その答えはすぐには出なかったが、直感にすぐれているアドルフはこれは虐殺の跡であることをすぐに感じとった。そして〈施設〉の子供たちや従者が危害をくわえられなかったことから、院長夫人たちは何か個人的な理由で殺されるに値したのだろうと察した。
その見立ての真偽を確かめるべく、彼はマクロにたいして問うた。
「何があった?」
マクロはオカマにしては低い声で、声をしゃくり上げながら答えた。
「子供たちを連れて行くと言うから、先生たちが抵抗したの。それに財産も没収するから金庫の鍵の在り処を教えろと言われて、院長先生が……」
そこまで言うと、マクロは声を失い、その場に崩れ落ちた。
もっともアドルフは冷静さをまったく失わず、殺害の様子を頭のなかで再現し、次になすべきことを直ちに判じた。
「院長先生はどこへ行った?」
素早く問うアドルフに、マクロがかすれた声で答えた。
「むこうの建物の裏手のほうに……」
彼女は〈施設〉の裏庭を指差し、落ち着き払ったアドルフを頼るように言った。
「お願い、何とかして」
「……ああ、わかった。任せておけ」
子供でありながら、彼はこの場の責任を一手に引き受けて、〈施設〉の裏庭に小走りでむかう。彼の動きに追いすがりながら、必死な形相でフリーデも後をついてくる。
一瞬彼は、フリーデに「ついてくるな」と命じようと思ったが、いまはその時間すら惜しかった。泰然としていたアドルフだが、マクロの話を聞いた途端、嫌なものを感じたのだ。
そんな彼の予想は見事に的中してしまう。
アドルフがフリーデと裏庭に飛び込んだとき、そこには先回りしていたかのように三人の軍人が立っていた。ふたりは黄土色の軍服、もうひとりは灰色の士官服。そう、後者の一名はさきほどアドルフとやりあった魔人族の将校に他ならない。
「フン、また会ったな」
鼻を鳴らした将校はアドルフに目をむけ、腰に手をあてながら隣に立つ部下へ声をかけた。
「鍵の在り処は聞き出せたな。すぐに接収しろ」
「了解です、カフカ隊長」
命じられた部下は機敏に敬礼し、カフカと呼ばれた将校の傍を離れ、アドルフの横を小走りに通り過ぎていった。
彼はここで、いまさっきマクロが言ったことを思い出した。魔人族たちは、院長先生の金庫の鍵を欲しがっているようだったという話。いまのやりとりを読み解けば、彼らは狙いどおりの答えを手に入れ、軍人をその場に差し向けたのだろう。
だとすれば、彼らの目的は、院長先生の財産を奪うことだったのか?
それと同時にアドルフは、目の前の光景を奇異に感じた。鍵の在り処を聞き出したというわりに、肝心の院長先生の姿がどこにもなかったからだ。
それを察知した瞬間、疑問が胸の奥から迫りあがり、無駄口を叩くだけで危険に思われる状況でありながら、アドルフはその勢いを押し止めることができなかった。
「貴公らの目的は何だ? 院長先生はどこにいる?」
じりじりと焼けつく焦燥感を覚えながら、アドルフは低い声で問うた。するとその視線の先で将校は、士官服のポケットに片手を突っ込みながら、首を傾けこう答えた。
「質問すれば何でも答えて貰えると思っているのか? 世間知らずの子供め」
深い意味もない切り返しに聞こえたが、子供の体に大人の頭をもつアドルフは瞬時に心を怒りで染めた。一度ならず、二度も子供扱いされたことに途方もない不快感を催したのだ。
彼はこぶしを握り締め、もう片方の手で杖の柄を握る。心拍数が徐々にあがっていくが、そのことに何とも思わなかった。
「ふむ、子供のわりに良い目つきだな。君の勇気に敬意を表して、さっきの問いに答えてやろうか」
将校は、余裕たっぷりに微笑み、指を二本立てた。
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