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第一章 はじまり
10話 私の姿
しおりを挟む「そうだー!!!! 思い出した!!」
アマネは自分の尻尾を一つ掴んだ。
もふもふの尻尾は触って気持ちが良いけどくすぐったさもある不思議な感覚だと私は思っている。
その私の様子を見ながらもアリーシアは微笑ましく見ることは続けている。
エメもニコニコと私のことを見守っている。
「これ!! なんで私に尻尾が生えているの!? しかも九つも!?」
そう、一番の驚きは九つも尻尾があること。一つだけでも驚きなのに九つだ。おかけで背中がモッフモフだ。
それにしても今頃気づくなんて……。その事実に少しだけ、なんでもっと早く気づかなかったのか……とへこむ私だった。
こんなに尻尾生えてたら普通は気づくよね……。本当に最初から生えていたのかな? この世界に来てからどんどん生えてきたんじゃないの? それはそれで怖いけど……。
眉間に皺を寄せて険しい顔をする私にアリーシアは尻尾について説明した。
「ウーラノス様がアマネ様が困らない容姿、それに力を授けるとなるとその九尾の狐の獣人の姿が一番いいとそう言われてごさいました」
「九尾の狐の獣人……」
……九尾の狐って前世じゃ妖狐じゃなかったけ?
「九尾の狐は神様であるとも言われてますよ」
アリーシアはニッコリと言うが心を読まないで欲しいと私は思った。というか心が読めるアリーシアに驚きだ。
一瞬アリーシアに気を取られるがそんなことはどうでもいい。今は尻尾について。
「それともう一つ言うなればウーラノス様がこの世界にお忍びで顕現する場合がありますがその時のお姿が狐の獣人なのでそのペアかと……」
「……」
思わず薄目になってしまった私。
それって完全にウーラノス様の好みじゃん!! 何? ウーラノス様って狐が好きなの!? それに顕現するってことは地上に降りてくるんじゃん!! 降りられないんじゃないの!?
今度ウーラノス様にあったら問い詰めなきゃ!と密かに思う私。
今はそんなことよりも……。
「と、とりあえ……ず、鏡が見たい!!」
尻尾は見えているけど全体の姿が見たい、そう思う私は鏡を求めた。
アリーシアは軽く胸の前で手を振った。
すると、私の目の前に水の膜が現れた。その水の膜はキラキラと輝きながら縦に長い長方形になった。あっという間に私の前には全身鏡のようなものができた。
「すごい!! これって魔法!?」
初めて見る魔法に驚く私。それで密かにテンションが上がる。
「水鏡ですよ。 魔法のことも気になるでしょうがまずはご自身のお姿を確認しては?」
おっと、そうだった。こんなに早く魔法が見られるとは思わなかったからはしゃいでしまった。
気になることが次々と出てきて子供のように気を取られたことに私は少し恥ずかしかった。
そして、気を取り直してアリーシアが出してくれた水鏡を見た。
すると写っていたのはとんでもなく美人なケモ耳の女性だった。
「えっ……。 これ、私?」
ありきたりな言葉が出た私。
私は本当に自分のなのか確かめるために、頬を触ってみたり、頭の上にあるふさふさの耳を触ってみたり、手を上げたりしてみた。
当然だが、水鏡に写る美人は同じ動きをした。
「ふふっ、アマネ様。 水鏡に写っているお姿は紛れなくアマネ様ですよ」
エメが笑いながら美人な人は私だと言った。
「……」
私は再び水鏡に写る自分らしき人を見た。
白銀の髪の毛は腰近くまで伸びていてストレートロング。顔は全てのパーツがバランスよくとても整っている。目は綺麗なアーモンドアイ、鼻筋もスッとしていて口もどことなくセクシーだ。その上小顔だ。そして、特徴的なのが瞳の色。黄金のような色をしているが光の加減なのか違う色に見える時もある。不思議な色合いだった。
そして、視線は体へと移っていく。全体的に一言で言うとスタイル抜群。出るとこ出ていて引き締まって欲しいところは引き締まっている。実に妖艶な体だった。あとは背後に写る九つの尻尾。白くてふわふわしている。ただ九つのボリュームある尻尾はまだ見慣れない。それに九つ全て同じ色かと思ったが尻尾の先の方がほのかに色づいていることに気づいた。
赤、青、緑、黄、金、銀、紫、白、黒。基本は白銀の毛の色だけど、うっすら尻尾の先だけがカラフルだ。
何故尻尾の先だけがカラフルなんだ?と私は思う。だけど、全身カラフルも遠慮したいところなのでこのくらいで済んで良かったのかな?とも思った。
くまなくチェックしているとアリーシアから声がかかる。
「どうですか? アマネ様。 そのお姿気に入りました?」
「気にいるも何も……」
私はあまりの自分の美し過ぎる姿に困惑していた。確かに美しい姿は理想的でなっては見たいと一度は思うと思う。だけど、いざそれが自分が体験するとなるとなんとも言い難い……。
「ウーラノス様の力作だそうです」
アリーシアはニッコリと言った。
私はウーラノスの力作だと知り、やっぱりねと思う。
「この姿はウーラノス様の好みなのね。すっごく美人がお好きなのね!」
少し嫌味も含まれている私の言い方にアリーシアは気づきウーラノスをフォローする。
「まあアマネ様。確かにそのお姿はとてつもなく美形ですが、神の使徒としては相応しいお姿なんですよ」
「……この姿が? ただウーラノス様の好みなんじゃないの?」
「それも否定はしませんが、そもそも神の使徒ならこの世界の人々から好まれるお姿ではなければなりません。美形は万人には好まれるお姿なので」
要するに見た目で好まれるように美形にしたと言うことね……。まあ、一理あるわね。人って見た目で判断する人もいるしね。それだけで信仰が得られるってこともあるでしょう。
まあ美形で困ることはきっと無いよね!と私は前向きに考えることにした。
自分でも見惚れる姿になったのだから楽しまなくちゃ!なりたくてもなれるような姿じゃないんだしね!
私は水鏡に写る自分に笑みを見せた。
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