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第一章 はじまり

17話 お供兼護衛です①

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 アリーシアの家は世界樹の中にあるだけあってウッド調のナチュラルな雰囲気。所々緑が生えていて家の中なのに自然に囲まれている見たい。大樹の中の空間だということにちょっと前世のアニメ映画を思い出す……。

 まさにファンタジー満載のアリーシアの家は大変居心地がよろしい。なんの素材で作られているのか不明なふわっふわっなソファーに座る。

 座ったところでアリーシアが自慢のアップルパイを出してくれた。お供の紅茶はエメが淹れてくれた。

「どうぞ、アマネ様。 今回も自信作ですよ!」

 アリーシアは誇らしげにアップルパイの出来を言った。

「アリーシアありがとう! うーんいい匂い!」

 早速アップルパイを食べた。一言で言うとすごく美味しい。それ以外の感想は無し!サクサクパイ生地にちょうどいい甘さのリンゴ。最高だわ。

「アリーシア! 美味しい!」

「それは良かったです!」

 アリーシアは満足そうに笑った。

 私はパクパクとアップルパイを食べ進める。アリーシアもエメもアップルパイを食べていた。アリーシアは満足そうに食べ、エメは幸せそうに食べていた。

 アリーシアが作るお菓子は美味しいから今度は森のフルーツを使ったタルトが食べたいな……。今度頼んでみようかな~。

 そんなことを考えながら食べていたらすぐにアップルパイがなくなってしまった。もう一つアリーシアにもらおうかと悩んでいたらそれはできなかった……。

「来ましたね」

 アリーシアがそう言って扉の方へ向かった。

 そう、今日の本題である私のお供候補を連れて精霊王達がやってきたのだった。

 流石に昨日とは違い、目の前に突然現れたりはしなかった。というかできない。アリーシアの家は世界樹の中。世界樹の中へにはいくら精霊王達といえどできない。弾かれて終わりと言った感じ。

 それと世界樹の中じゃなくてもアリーシアがいる時はちゃんと扉から入ってくる。じゃないとお説教コースになることを精霊王達は知っているようだ。あのシルフィーネも……。

 だから今回はお行儀良く扉から入ってくるだろう。

 そして、アリーシアが出迎えて中に入ってきたのはネレウスだった。今日最初に来た精霊王はネレウスで他はまだ来ていないみたい。

 にこやかに入ってきたネレウス。そして私の視線はネレウスの方へと向いていた。

 ネレウスの右肩には手乗りサイズよりは一回り大きい可愛いお猿さんが乗っていたからだ。

 クリクリの青いお目目をしていて綺麗な水色の毛。可愛いけど美しいお猿さんだと思った。

「アマネ様、こんにちは」

「こんにちは、ネレウス」

「今日は私が一番のようですね!」

 ネレウスは楽しそうに笑う。大変ご機嫌のようだ。一番に来れたことが余程嬉しいみたい……。

「ネレウスもまだまだ子供ですね~。 そんな姿をしておいて……」

 アリーシアは困った子ね~みたいな感じで言っている。そうだよね、普段はちゃんと頼れる大人!って感じで見た目もイケオジなネレウスなのに、困ったことに私が絡むと子供に戻るみたい……。

 イケオジはイケオジのままでいて欲しいと私の願望です、ハイ。

「ネレウス、嬉しいのは分かりましたからその子を早くアマネ様に紹介して」

 アリーシアが催促しちゃったよ。

「おっと、失礼致しました……。 さあ、ご挨拶して」

「はい!」

 ネレウスは肩からお猿さんを降ろすと、てけてけてけ~と私に近づいてきた。

「はじめまして、アマネ様。 この度アマネ様のお供を探しているということを知り、ネレウス様に立候補した水の精霊です! 一応上級精霊です!!」

 キラキラの青いお目目で私を見上げるお猿さん。うん、すっごく可愛い!!!!

 ちなみに精霊は階級があって上から……
 精霊王
 大精霊
 上級精霊
 中級精霊
 下級精霊
 という感じに分かれている。

「はじめまして、可愛い水の精霊さん。 私の為に会いに来てくれてありがとう。 水の精霊さんお名前は??」

 私が名前を聞くと困ったようになったお猿さん。

 あれ?名前を聞いちゃダメだった!?

 少し焦る私。すると、アリーシアが教えてくれた。

「アマネ様、精霊は名を持ってない者がほとんどなのですよ。 名を必ず持っているのが精霊王たちだけです」

「そうなんだ……」

 ここでもう一つ精霊情報。なんと精霊王はいつもの四人だけではない。他に色んな精霊王たちがいる。ただ原初の精霊王達がいつもの四人だから、精霊王の中でも格が違う。

 話を元へと戻すが、名前がないのは不便だ。もし、私のお供になることが決定したら名前を考えなきゃね!!

 とりあえず、不安そうにしている目の前のお猿さんを抱っこして私の膝の上へ乗せた。

「ア、ア、アマネ様!?」

 お猿さんは暴れることはなく大人しくしていたけど、私の膝の上にいることで焦っている。

 いつの間にか私の隣に座っているネレウスは穏やかに微笑んでいる。

「大丈夫ですよ。 アマネ様がご自分のお膝にお前を乗せてくれたんだ。 幸せを噛み締めなさい……」

 だけど今だにオロオロと落ち着かないお猿さん。だから私はそっと撫でた。

「大丈夫よ。 水の精霊さんに聞きたいことがあるんだけど、私のお供になることは嫌じゃないの??」

 するとお猿さんは長い尻尾をピーンと立てて言った。

「私はアマネ様のお供になりたくてネレウス様に立候補したのです!! 他の大精霊様の方が強くてお役に立つかもしれませんがどうしてもアマネ様のお役に立ちたかったのです!!」

 お猿さんは今度は力強い目で私に訴えた。どうして私のお役に立ちたいのか分からないけど、熱意はあるみたいだ。

 そこまで言われたらもうお供にするしかないよね!

「なら、私のお供になってくれるのね?」

「もちろんです!!」

 お猿さんは力強く答えてくれた。

「じゃあこれからよろしくね!」

「こちらこそよろしくお願いします!!」

 そう言ってお猿さんはぺこりと頭を下げた。


 
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