最強九尾は異世界を満喫する。

ラキレスト

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第二章 エウクラトア聖王国

37話 きっかけは

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 ――レイナード視点

「レイナード? もう身体は大丈夫? 無理していない?」

 そう僕に話しかけてきたのは小さい小鳥の姿のキーラ。このキーラは光の精霊である。

 僕がキーラの問いに答えようとした時、コンコンッと音がした。それは扉をノックする音。キーラへの返事は待ってもらい、僕は来客へと対応する。

「どうぞ」

「レイナード、こんにちは! 体調はどう?」

 そう言って現れたのはアマネ様。僕の胸が大きくドクンッと音が鳴ったような気がする。それから、どんどん速くなっていくような感じもする。

 だけど、僕のそんな状態にはつゆ知らずアマネ様は輝く笑顔で話しかけてくるから困る。僕もそんな状態をバレないように笑いながら話す。

「もう大丈夫ですよ。 アマネ様から回復してもらいましたから」

 僕はキーラにも先程問われたことに対して答えた。丁度アマネ様と同じような質問だったからね。

 すると、アマネ様は更に笑顔を見せてくれてまた胸が大きく鳴る。

「そう! 良かった!! いや~みんなにも会ってきたけどみんな元気そうでなにより!!」

 うんうん、良かった!と笑うアマネ様は大変可愛いらしい……。

 僕はアマネ様の笑顔を見ながら少しだけ過去に思いを馳せた。



 僕はレイナード・クロスウェル。クロスウェル公爵家の次男としてこの世に生を受けた。父上と母上、兄上の四人家族。貴族には珍しいくらいに家族仲が良い方だと思う。

 だから、僕がこの家に生まれたのは幸いだった。僕には赤ちゃんの頃から不思議な動物達がいつも側にいた。

 さすがに赤ちゃんの頃の記憶はないけど、両親から聞くところによるとある日突然に現れたそうだ。僕の側へ寄り添う赤い犬と黄緑のウサギと小さい小鳥。

 驚きはしたけど、すぐにその存在が精霊だと分かったらしい。

 精霊の力は強大で利用する者がいる中で、僕の両親は僕のことを特別扱いすることなく兄上と同様に厳しくもあったが愛情豊かに育ててくれた。

 兄上も精霊使いである僕のことを邪険に扱うことなく接してくれた。まあ今思うと、兄上の方が僕よりも何倍も上手だから精霊とか関係ないんだろうなって思うけど。

 そんな恵まれた環境で僕は育っていき、成人を迎えた。

 成人を機に僕は旅をすることにした。クロスウェル家は公爵家でありながら商人の家でもある。見聞を深める為に旅をしたりするのは当たり前のこと。現に兄上も数年旅に出ていた。僕の成人を機に帰ってきて僕は入れ違うように旅に出た。

 僕の旅には当然精霊達がついて来た。精霊達がいることで随分と心強かった。

 それから、数年は周辺の国々を旅して回った。何事もなく数年間旅を続けられた油断が出てしまったのだろうか、僕は思いがけない場所でまんまと捕らわれてしまう……。

 まだ、あと二、三年は旅を続けたいかなと思っていることを一度帰郷して家族に直接話そうかとエウクラトア聖王国に帰った時のことだった。

 実家に帰る途中で教会の近くを通った時一人の神官から話しかけられた。

「こんにちは、旅の途中なら神に旅路の安全を祈りませんか……?」

 僕は神官にそう言われてふと思う。神に祈りを捧げたのは果たしていつだったかな?と。

 思い出せないくらいに昔だったことに今気づく。そして昔、母上が言っていたことを思い出す。

『神様は私達のことをずっと見ているわ。 だから、決して悪いことはしないことよ。 そして、いつも神様への感謝を忘れずにお祈りするのよ』

 母上はウーラ教の信徒。元々母上の実家である侯爵家がウーラ教の信徒一族。確かキーラン大司教と仲が良い。それに僕も何回かキーラン大司教とお会いしたことがある。

 ここで話しかけられたことも何かの縁だし、キーラン大司教に挨拶でもして神に祈りを捧げてから実家に帰るとしますか!

 そう思い僕は神官と共に教会へと向かった。

 この時に気づけば良かった。ピンポイントに僕に話しかけてきたことに怪しいと疑えばよかったと思うのは割とすぐだった……。

 礼拝堂に入ってウーラノス神に祈りを捧げた後、神官にキーラン大司教に会いたいと言った。

 突然訪れたから会えなくても仕方がないとダメ元で言ってみたけどキーラン大司教に会えると言われた。僕は何も疑問に思うことなく神官の後をついて行った。

 ここの部屋でお待ちくださいと言われて待っていると、何かおかしな感覚がした。

 こう体の中を乱されているような感覚。これは魔力に干渉されている?そう気づいた時には遅かった。もう思うように体は動かなくなっていた。精霊達がかなり心配している。

 助けを呼ぶと言ってキーラが窓から出て行こうとしたけど、出られなかった。キーラ自身もアレノとフメリも何故?と言ったような顔をしていた。

 それから僕はいつの間にか意識を失っていた……。

 気づいた時にはもう何処かの地下のような場所で牢屋に入れられていた。僕の精霊達も一緒に……。

 見たところ僕以外に人はいなさそうだった。

 一体何故教会が僕のことを捕らえたのかがさっぱりわからない。そもそも教会に対して悪いことなどしていない……と思ったが、僕の実家クロスウェル公爵家は歴代の教皇と折り合いが悪いんだった。

 同じ神を崇拝していても私達クロスウェル家は教皇派ではないキーラン大司教の方についている。

 でも、それだけでこんな強硬に出るのかと思った。こんなことをしてしまえば教会とクロスウェル家の全面戦争だぞ?

 どうしても動機が分からない……。

 だけど、それについてはすぐに答えが見つかった……。



 
 
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