66 / 82
第二章 エウクラトア聖王国
43話 パーティー準備
しおりを挟むクロスウェル公爵と夫人がリュミエール邸に来た翌日のこと。
私はナレスとイーセス、ラネスに呼ばれていた。
「ナレス~、イーセス~、ラネス~、きたよー」
私は軽~い感じでナレスに指定された部屋へと入る。私がこんな態度なのはあらかじめ精霊達しかいないと言われていたから。
だから、私は気が緩んでいた。
「アマネ様! ようこそいらっしゃいませ!」
笑顔で出迎えてくれる三人。だけど、その笑みがなんとなく胡散臭い……。
「なんか企んでいる笑みだね……。 何かな? 私に用って……?」
「ふふふっ! そんな……企んでいるなんて……」
「そうですわ! ただ、一番大切なことをお忘れではありませんか?」
ナレスとイーセスがふふふっと笑いながら言ってくる。
「一番大切なこと……?」
私はそう言われて、はて?何かな?と考える。
お披露目パーティーは目前だけど、今回は教皇側の観察目的だし……。お仕置きはそれからであって……。
私がうーん、思いつかないと悩んでいるとラネスが胸を張りながら高々と言う。ただ子供の姿のラネスだから可愛いの一言だけど。
「アマネ様!! ドレスです! ドレスのことを忘れています!!」
「あっ!」
ラネスは言ってやったぞ!的な感じでドヤっている。対しては私はドレスのことなどすっかり忘れていた為、ヤバっと思った。
「しまった……。 すっかり忘れていた……」
今着ている服、普段着とかはある程度用意してもらっていた。だけど、すっかりパーティー用のドレスを忘れてしまっていた……。
でも、今から仕立てる時間もないし、イーセスのドレスのおさがりとかでもいいような気もするが……。
「なら、イーセスのおさがり……」
「アマネ様それはいけませんわ!!」
くい気味に言ってきたイーセス。
「アマネ様、ドレスとは貴族女性の戦闘服なのですわ。 それをイーセスのおさがりを着ていくなんて我がリュミエール家が娘のドレスも買えないのかと侮られる一因になりますわ」
ナレスがドレスの大切さを語る。
確かにそれはそうだなと納得する私。だけど、時間が無いのも確かなこと……。
「ごめん……。 ドレスが大切なのは十分に分かったよ。 でも、忘れていてこんなこと言うのはおかしいけど、ドレスを用意する時間なんて無いよ……」
これは、ドレスの既製品とかは無いのだろうか?あったらそれで対処したいところ。
私がそんなことを思っていると、また三人はうふふと笑い始めた。
その様子に私は今度はなんだ?と思う。
「うふふっ! ご心配は無用ですわ!!」
「はじめからアマネ様のドレスはちゃんとご用意しておりますの」
「サプラーイズ!!」
三人はイタズラ成功みたいな顔をして笑っている。
「本当に!? ありがと~、助かるよ~」
私はホッとした。パーティーに潜入するぞ!と意気込んでいてまさかの初歩的なことで躓くところだった。
だけど、ここで安心してはいけなかった……。
私が三人にお礼を言うと三人はうふふっという笑いを止めない。それどころか心なしか目がギラギラしているような……。
気づいた私は少し後ずさる。
「えっ……? 何、その目……?」
こちらは引き攣りそうになる顔を隠せない。
「さぁ!! アマネ様!」
「こちらのドレスを……」
「ぜーんぶ着てみてね!!」
その言葉を聞き、ロリーナとナディアが沢山のドレスを次から次へと部屋の中へと持ってくる。
私はその様子をポカン……といった顔で見ていた。
何着くらいあるのかな……?一体いつこんなにドレスを用意していたのだろうか……?
私は色とりどりのドレスの山を見ている。
「アマネ様、お気に召したドレスから着てみましょう!!」
ナレスのその言葉をはじまりに私の試着祭りは開幕した……。
まずは、コルセットをこれでもか!というほどに締められ、それだけで瀕死の状態になる私。
「もう、無理~。 それ以上締めないで!!」
「アマネ様、綺麗なボディーラインは必須ですのよ! 頑張って下さいまし!」
「アマネ様! 頑張れっ!」
そんなこと言われても苦しいものは苦しいよ!!それに自慢している訳ではないけど、このウーラノスが作ってくれた体はめっちゃスタイル抜群だよ!!それこそコルセットなんて必要ない!!
私は心の中でそう叫んでいた。
ドレスを自分で用意しなかった自分の自業自得なのだから文句は言えないけど……。
だけど、コルセットはもう嫌だ!!そんな思いでいっぱいだった……。
さて、きっついコルセットをしながらドレスを試着していく。
ピンクのドレス、ブルーのドレス、パープルのドレス、グリーンのドレスなどなど……。
とにかくさまざまな色と形のドレスを試着した。
私は一瞬着せ替え人形になったのかな?と錯覚する程に……。
だけど、三人はテンション高めで盛り上がっている。
「どれもこれもぜーんぶお似合いですわ!!」
「全部似合い過ぎてて全然決まりませんわ!!」
「ラネス、これと、これと、これと、これがいいと思う!!」
みんなそれぞれ言っているけど、私……もう……ヘトヘト……。
正直言って、私も最初はノリノリで着ていたけど(コルセットがなければもっとノリノリだった)、流石にもうヘトヘト……。何十着着た?
だけど、まだまだこだわりがあるのかナレスとイーセスは納得していない……。
「うーん……、どれもお似合いですけど……」
「そうですわね……。 こう!アマネ様の神々しさがイマイチ表現出来ていないというか……」
「ラネスこれがいい~!」
ラネス以外は悩み顔。ラネスはもうきっとただ遊んでいるに違いない。
いったいこの試着祭りはいつ終わるのかと思ったその時……。
「アマネ様のドレスはわたくしにお任せあれ!!」
突然聞こえたその声に私は驚いた……。
21
あなたにおすすめの小説
娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る
ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。
異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。
一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。
娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。
そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。
異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。
娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。
そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。
3人と1匹の冒険が、今始まる。
※小説家になろうでも投稿しています
※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!
よろしくお願いします!
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【読切短編】処刑前夜、地下牢に現れた王女は言った。「お前でなければ駄目なんだ」滅びの未来を覆す、騎士との契約
Lihito
ファンタジー
王国騎士団の副長ヴェルドは、無実の罪で投獄され、明日処刑される運命にあった。
腐敗した国に絶望し、静かに死を待つ夜。
地下牢に現れたのは、実権を持たない「傀儡」と噂されるイゾルデ王女。
彼女はヴェルドに仮死毒を渡し、こう告げた。
「死んで、私の影になれ」
彼女は知っていた。
この国が三年後に滅ぶこと。誰が裏切り者か。
そして——ヴェルドこそが、国を救うための唯一の「切り札」であることを。
これは、滅びの未来を知る孤独な王女と、一度死んで生まれ変わった騎士が、裏から国を救う「共犯」の物語。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる