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第二章 エウクラトア聖王国

44話 お届け物です!

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 突然聞こえた女性の声に私達は驚く。それに私がもっと驚いたのは聞き覚えのある声だったから。

 その声が聞こえる方へと視線を向けるとそこにいたのは……。

「エメ!! どうしてここにいるの!?」

 突然現れたのは聖域に居るはずのエメ。エメはニッコリ笑うとこう言った。

「アマネ様のお世話をするのは当然この私です!!」

 えっへんと胸を張って堂々と言っているが答えになっていない。

「いやいや! どうしてエメがここにいるのか教えてよ! それに、エメ本体から離れても大丈夫なの!?」

 それが一番聞きたい。エメは木の精だ。聖域内なら自由に移動できるのは知っている。エメ以外の木の精も自由に移動していたからね。

 だけど、ここは聖域から遥かに離れている。こんなに本体から離れても大丈夫なのだろうか?そして、離れられるの?という疑問が湧き上がってくる。

 私の驚きと心配をよそにエメは笑っている。

「アマネ様、私は進化したようです」

「進化……?」

 なんだ進化って……?

「ええ、進化してアマネ様のお側なら聖域以外の場所でもこうして姿を見せて活動することが可能になりました!」

 嬉しそうにニッコリ笑って言うエメ。

 私の側ならどこでも活動出来るってことだけど、一体なんで進化したの?

 私の気持ちが顔に出ていたのかエメは説明する。

「アリーシア様がおっしゃるには、アマネ様が私に名付けをして下さいましたのでそれで進化したのではないかと言うことです」

 まじか……!でも確かに、あの時エメ光ってたもんな……。

 思い返すとあの時にはもう進化していたかもしれないと思いはじめた私。

「だけど、エメは転移魔法で来たの?」

 そう、突然現れたから転移魔法で来たのは間違いないんだけど……。精霊達でも難しい転移魔法をエメは使ったのだろうか?そうすると大精霊並みということ?

 色んな疑問が出てくる。

「はい。 アマネ様のところなら一瞬で来れます! ただ、アマネ様がいらっしゃらない場所には行けません。 聖域の本体の場所には帰れますけど」

 エメが言うには私がいる場所には転移魔法で一瞬で来れるということ。だから基本聖域と私との行き来ができるって感じかな。

 それに私がどんなに聖域から離れた場所にいても転移することができるという。

 とりあえず、エメが本体から離れても大丈夫だということを知り安心する私。

 だけど、どうしてこのタイミングでエメが現れたのだろうか?

 そう思っているとナレスが問いかけてくる。

「アマネ様?」

「どうしたの? ナレス?」

「あの、この方はどなたでしょうか……? アマネ様のお知り合いだということは分かりましたが……」

 ナレス達はエメとは初対面だったね。ナレス達は精霊だから、なんとなくエメの正体に気づいているだろうから驚きはしていない。そして、ロリーナやナディアもさすがリュミエール公爵家、精霊に仕えているだけあって冷静だ。

 私はエメのことをみんなに紹介する。

「みんな紹介するね! こちらはエメ。 聖域内の木の精だよ。 この世界に来て一番最初に出会ったのがエメだったの。 それから聖域内にいる時は私のお世話をエメがしてくれていたの」

 私がそういうとエメが続けて言う。

「皆様、はじめまして。 私は、エメと申します。 大変光栄なことにアマネ様からお名前をいただき、アマネ様の侍女のような役割をしております」

 貴族的な感じでいえば確かにエメは私の侍女だね。

 エメの自己紹介にナレス達もそれぞれが自己紹介をした。みんなの自己紹介が終わるとエメは今日私のところへ訪れた理由をやっと話してくれた。

「アマネ様、本日私がこちらへ来たのはお届け物を届けに訪れたのです」

「お届け物??」

 はて?誰からのお届け物?アリーシアかな?

 私がそう思っていると、エメは何処から出したのか三着のドレスを出してきた。

「アマネ様にパーティー用のドレスにとウーラノス様からお預かりいたしました。 エスコートは出来ないけどこちらを着て欲しいとのことです」

 ひとつはシャンパンゴールドのような色合いのドレス。どこかキラキラと綺麗に光っているように見える生地。ふんわりとしたプリンセスラインのドレス。繊細なレース使いとウエストのサッシュベルトは後ろでリボンになっているのが特徴。

 お次はブルーのドレス。胸元は薄いブルーで足元にいくにつれて濃いブルーになっているグラデーションカラーのドレス。Aラインのドレスで、シンプルながらも綺麗なドレス。

 もうひとつはグリーンのドレス。濃いグリーンの色合いに大人っぽい総レースのマーメイドドレス。だけど、腰元からふわりとオーガンジーあしらっている。とても素敵なシルエットのドレスだ。

 三着ともどれも息を呑むような素敵なドレス。

 ナレス達もドレスの美しさに目が釘付けだ。

「ウーラノス様は悩みに悩んでこちらの三着に絞りました。 こちら以外のドレスは聖域のアマネ様のクローゼットにありますので」

 この三着以外にもドレスがあるのか!と驚く。その驚きのままにエメはもうひとつ驚くことを言う。

「アマネ様のドレスを贈りたいとウーラノス様から聞いた時、アマネ様のドレスならぜひ私達が!と言って聖域の者達みんなで作りました!」

 なんとドレスはみんなの力作だった。デザインはウーラノスが、ドレスの生地の調達はアリーシアが、そして、それらを作り上げたのが聖域に住む者手分けして作ったという。

 私はみんなが私の為にドレスを作ってくれたことがとても嬉しかった……。


 


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