最強九尾は異世界を満喫する。

ラキレスト

文字の大きさ
67 / 82
第二章 エウクラトア聖王国

44話 お届け物です!

しおりを挟む

 突然聞こえた女性の声に私達は驚く。それに私がもっと驚いたのは聞き覚えのある声だったから。

 その声が聞こえる方へと視線を向けるとそこにいたのは……。

「エメ!! どうしてここにいるの!?」

 突然現れたのは聖域に居るはずのエメ。エメはニッコリ笑うとこう言った。

「アマネ様のお世話をするのは当然この私です!!」

 えっへんと胸を張って堂々と言っているが答えになっていない。

「いやいや! どうしてエメがここにいるのか教えてよ! それに、エメ本体から離れても大丈夫なの!?」

 それが一番聞きたい。エメは木の精だ。聖域内なら自由に移動できるのは知っている。エメ以外の木の精も自由に移動していたからね。

 だけど、ここは聖域から遥かに離れている。こんなに本体から離れても大丈夫なのだろうか?そして、離れられるの?という疑問が湧き上がってくる。

 私の驚きと心配をよそにエメは笑っている。

「アマネ様、私は進化したようです」

「進化……?」

 なんだ進化って……?

「ええ、進化してアマネ様のお側なら聖域以外の場所でもこうして姿を見せて活動することが可能になりました!」

 嬉しそうにニッコリ笑って言うエメ。

 私の側ならどこでも活動出来るってことだけど、一体なんで進化したの?

 私の気持ちが顔に出ていたのかエメは説明する。

「アリーシア様がおっしゃるには、アマネ様が私に名付けをして下さいましたのでそれで進化したのではないかと言うことです」

 まじか……!でも確かに、あの時エメ光ってたもんな……。

 思い返すとあの時にはもう進化していたかもしれないと思いはじめた私。

「だけど、エメは転移魔法で来たの?」

 そう、突然現れたから転移魔法で来たのは間違いないんだけど……。精霊達でも難しい転移魔法をエメは使ったのだろうか?そうすると大精霊並みということ?

 色んな疑問が出てくる。

「はい。 アマネ様のところなら一瞬で来れます! ただ、アマネ様がいらっしゃらない場所には行けません。 聖域の本体の場所には帰れますけど」

 エメが言うには私がいる場所には転移魔法で一瞬で来れるということ。だから基本聖域と私との行き来ができるって感じかな。

 それに私がどんなに聖域から離れた場所にいても転移することができるという。

 とりあえず、エメが本体から離れても大丈夫だということを知り安心する私。

 だけど、どうしてこのタイミングでエメが現れたのだろうか?

 そう思っているとナレスが問いかけてくる。

「アマネ様?」

「どうしたの? ナレス?」

「あの、この方はどなたでしょうか……? アマネ様のお知り合いだということは分かりましたが……」

 ナレス達はエメとは初対面だったね。ナレス達は精霊だから、なんとなくエメの正体に気づいているだろうから驚きはしていない。そして、ロリーナやナディアもさすがリュミエール公爵家、精霊に仕えているだけあって冷静だ。

 私はエメのことをみんなに紹介する。

「みんな紹介するね! こちらはエメ。 聖域内の木の精だよ。 この世界に来て一番最初に出会ったのがエメだったの。 それから聖域内にいる時は私のお世話をエメがしてくれていたの」

 私がそういうとエメが続けて言う。

「皆様、はじめまして。 私は、エメと申します。 大変光栄なことにアマネ様からお名前をいただき、アマネ様の侍女のような役割をしております」

 貴族的な感じでいえば確かにエメは私の侍女だね。

 エメの自己紹介にナレス達もそれぞれが自己紹介をした。みんなの自己紹介が終わるとエメは今日私のところへ訪れた理由をやっと話してくれた。

「アマネ様、本日私がこちらへ来たのはお届け物を届けに訪れたのです」

「お届け物??」

 はて?誰からのお届け物?アリーシアかな?

 私がそう思っていると、エメは何処から出したのか三着のドレスを出してきた。

「アマネ様にパーティー用のドレスにとウーラノス様からお預かりいたしました。 エスコートは出来ないけどこちらを着て欲しいとのことです」

 ひとつはシャンパンゴールドのような色合いのドレス。どこかキラキラと綺麗に光っているように見える生地。ふんわりとしたプリンセスラインのドレス。繊細なレース使いとウエストのサッシュベルトは後ろでリボンになっているのが特徴。

 お次はブルーのドレス。胸元は薄いブルーで足元にいくにつれて濃いブルーになっているグラデーションカラーのドレス。Aラインのドレスで、シンプルながらも綺麗なドレス。

 もうひとつはグリーンのドレス。濃いグリーンの色合いに大人っぽい総レースのマーメイドドレス。だけど、腰元からふわりとオーガンジーあしらっている。とても素敵なシルエットのドレスだ。

 三着ともどれも息を呑むような素敵なドレス。

 ナレス達もドレスの美しさに目が釘付けだ。

「ウーラノス様は悩みに悩んでこちらの三着に絞りました。 こちら以外のドレスは聖域のアマネ様のクローゼットにありますので」

 この三着以外にもドレスがあるのか!と驚く。その驚きのままにエメはもうひとつ驚くことを言う。

「アマネ様のドレスを贈りたいとウーラノス様から聞いた時、アマネ様のドレスならぜひ私達が!と言って聖域の者達みんなで作りました!」

 なんとドレスはみんなの力作だった。デザインはウーラノスが、ドレスの生地の調達はアリーシアが、そして、それらを作り上げたのが聖域に住む者手分けして作ったという。

 私はみんなが私の為にドレスを作ってくれたことがとても嬉しかった……。


 


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る

ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。 異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。 一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。 娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。 そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。 異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。 娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。 そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。 3人と1匹の冒険が、今始まる。 ※小説家になろうでも投稿しています ※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!  よろしくお願いします!

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。

棚から現ナマ
ファンタジー
スーはペットとして飼われているレベル2のスライムだ。この世界のスライムはレベル2までしか存在しない。それなのにスーは偶然にもワイバーンを食べてレベルアップをしてしまう。スーはこの世界で唯一のレベル2を超えた存在となり、スライムではあり得ない能力を身に付けてしまう。体力や攻撃力は勿論、知能も高くなった。だから自我やプライドも出てきたのだが、自分がペットだということを嫌がるどころか誇りとしている。なんならご主人様LOVEが加速してしまった。そんなスーを飼っているティナは、ひょんなことから王立魔法学園に入学することになってしまう。『違いますっ。私は学園に入学するために来たんじゃありません。下働きとして働くために来たんです!』『はぁ? 俺が従魔だってぇ、馬鹿にするなっ! 俺はご主人様に愛されているペットなんだっ。そこいらの野良と一緒にするんじゃねぇ!』最高レベルのテイマーだと勘違いされてしまうティナと、自分の持てる全ての能力をもって、大好きなご主人様のために頑張る最強スライムスーの物語。他サイトにも投稿しています。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

処理中です...