つがいの薔薇 オメガは傲慢伯爵の溺愛に濡れる

沖田弥子

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発情 1

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「またそんなわがままを仰って……」
「そうだな。澪が叱られては困るな」
「僕はいいんです。でも若さまはお立場がありますから、使用人の僕にあまり構い過ぎては……ひゃあ!」

 言い終わらないうちに横抱きにされてしまう。晃久の腕に抱え上げられて、浴衣姿のまま外へ連れ出される。外気が風呂上がりの火照った頬を、ひんやりと冷やした。

「もういい。大人しく抱かれていろ」
「若さま、下ろしてください!」
「裸足じゃないか。下ろせないな」

 待機していた車に、抱きかかえたまま乗せられる。晃久の逞しい膝に乗り上げ、強靱な肩に掴まった状態で、車は屋敷に向けて走り出した。
 どうしよう。こんな格好で来てしまった。
 晃久は澪を困らせることが大好きなのだ。
 でもそれが不快ではないので、更に困ってしまう。
 しかも今日はなぜか、体が疼いて仕方ない。こんなことは初めてだ。どうしたというのだろう。
 晃久の膝の上で身を捩れば、力強い腕でしっかりと抱き竦められた。濡れた髪に顔を寄せられる。

「何だか良い匂いがするな……」
「石鹸の香りじゃないですか?」

 晃久は鼻先で辿るように澪の首筋を伝い下りていく。密着した体を意識して、呼吸が乱れないよう秘かに息を整えた。

「いや、違う。あの石鹸の匂いはおまえをいつも嗅いでいるから分かる。これは澪の体臭のようだな。甘い、良い香りだ」

 そんなにも匂う体臭が自分にあったのだろうかと不思議に思う。
 やがてふたりを乗せた車は屋敷の車寄せに辿り着いた。澪を抱き上げてエントランスをくぐった晃久は真っ直ぐに二階の自室へ向かう。深夜なのでホールのシャンデリアは明かりが消えていた。壁際のランプが仄かな灯火を揺らめかせている。
 部屋へ入った晃久は、ようやく澪の体をソファに下ろした。
 晃久の部屋は広々とした造りで、寝室と書斎、それに応接室と三部屋に分かれている。澪が座っているソファは応接室にあり、晃久がお茶を嗜んだり、親しい友人や家族と話をするところだ。更に寝室には専用の浴室が付いていた。まるで一軒の家が屋敷の中に入っているようである。

「さて。薔薇の花弁を啄む約束だったな」

 澪の隣に腰を下ろした晃久は快活に笑う。仕事の疲れなど微塵も感じさせず、とても楽しそうだ。
 つん、と唇を指先で突かれた澪は、予期せぬ刺激にびくりと肩を跳ねさせた。
 下腹に熱が溜まっていく感覚に狼狽える。

「うん? 今日は反応が過剰だな。どうした?」

 晃久も驚いたらしい。
 澪は視線を彷徨わせながら、火照る頬に手を宛てた。

「あ、あの……何だか熱があるんです。もう帰ります」
「待て」

 立ち上がろうとしたが、当然のごとく腕を引かれる。晃久は澪の額に手を宛て、熱を確認した。その大きな手のひらの感触にも、未知の疼きを覚えてしまう。

「熱はないな。だが顔が赤い」

 額に置かれた手は滑り降りて、頬を撫で下ろし、首筋を辿る。
 晃久の強い眼差しが、いつも以上に雄の獰猛さを帯びている。
 澪は小さく肩を震わせた。

「若さま……もう、はなしてください……」

 そう訴えても聞き入れてはもらえないのだが、晃久に体の反応を知られたくなかった。
 澪の下肢は欲の兆しをみせていた。
 普段は自慰もほとんどしないのに、こんなときにどうして。
 必死に体を丸めてソファの上を尻で後ずさる。晃久から距離を取ろうとした。

「あっ……!」

 ぐい、と腰を引き寄せられて、晃久の腕の中に収められてしまう。
 否応もなく浴衣の中心を押し上げている膨らみが晒されて、彼の視線が下肢に注がれる。

「澪……おまえ、兆してるのか?」
「あの、これは……ごめんなさい。見ないでください」

 手のひらで覆い隠すが、にやりと口端を引き上げた晃久の大きな手が中心から退かす。

「見せてみろ。どんな色をしている」
「や……堪忍してください」

 易々と浴衣を割られて、下帯を剥かれる。晒された花芯は先端にとろりとした蜜を零していた。

「可愛らしいな。これが澪の花芯か。大人になってからは初めて見た」

 興奮したように上気している晃久は、花芯に手を伸ばしてきた。
 けれど、触れる寸前で踏み止まる。

「え……?」
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