つがいの薔薇 オメガは傲慢伯爵の溺愛に濡れる

沖田弥子

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発情 2

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 触ってほしいのに。
 どうしてやめてしまうのだろう。
 澪は己の思いに愕然とした。
 僕は今、何を願ったのだろう。
 
 晃久に花芯に触れて、あまつさえ達するのを手伝ってほしいとさえ期待した。
 こんなことはいけないのに。
 慌てて浴衣の裾を摘まみ花芯を覆い隠そうとしたが、手首を掴まれて制される。
 晃久は真摯な眸で覗き込んできた。

「俺が触っても、いいか?」

 一瞬、意味を掴みかねて、澪はひとつ瞬きをした。
 晃久はいつでも澪を好きなように扱っている。許可など求めたことはないし、そんなことをする必要もない。
 いつものように、彼の好きなように、触ってほしい。
 澪は濡れた眸で晃久を見上げた。

「触ってください、若さま。あなたに触れてほしいんです」
「澪……」

 晃久の大きな手のひらが蜜を滴らせている澪の花芯にそっと触れる。
 望んだ感触の到来に、ほうと甘い吐息が零れた。

「自慰はするのか? するよな」
「あ……そんなこと、言えません」

 ゆるゆると幹を扱かれながら、快感に溺れていく顔を間近から覗き込まれる。幼い頃から一緒にいる晃久にこんな淫らなことをされているなんて、とてもいけないことをしている気持ちになった。

「俺はするぞ。いつも澪の顔を思い浮かべて自慰をしている」
「若さま……!」

 うそだ。そんなのは冗談だ。
 晃久は綺麗に着飾った女の人とお付き合いをしているのだ。先日お屋敷で行われたパーティーでも、たくさんの華族の令嬢に囲まれていた。本人はすべてただの知り合いだと、あっさり言い放っているが、威風堂々としている晃久は女性から大変な人気がある。相手に困らないであろう晃久が澪を思い浮かべて自慰なんてするわけがない。

「んん……」

 親指が先端に滲んだ蜜を掬い上げ、ぬるりと塗り込む。そうすると滑りが良くなり、淫らな水音を立てて激しく擦られた。

「ああっ……ん、若さまぁ……っ」

 たまらずに晃久のスーツの襟に縋りつく。晃久の手で快感を与えられていると思うと、自分でするときとは比べものにならないほどの恍惚に包まれた。

「俺の手で達しろ。澪」

 命令に従うように射精感が高まる。括れを親指の腹で擦り上げられれば、たまらず嬌声が漏れた。ぶるりと身を震わせた澪は、晃久の手の中に白蜜を弾けさせる。

「あっ、……あ、ん……」
「上手に達したな。可愛いぞ」

 はっとして晃久の手元を覗く。彼の手を汚すなんて、とんでもない無礼を働いてしまった。

「あ……若さま。お許しください」

 晃久は澪の謝罪をどう取ったのか、手のひらの白濁を見せつけるようにして舌先で舐めた。その表情はとても淫靡で凶悪で、悪い男の顔だった。

「許さない」
「そんな……」
「許してほしいなら、浴衣をはだけてみろ」

 尊大に命じられる。
 己の出したものを舐められたのも衝撃的だったが、更に肌を見せることを要求されて、澪はなぜか体の奥を疼かせる。
 こんなこといけないと思うのに、体が抗えない。
 恥ずかしさに頬を染める澪を射貫くような双眸で晃久は見つめている。
 言うとおりにしないと許してくれないらしい。仕方なく、おずおずと浴衣の袷に手をかけて、ゆっくり左右に割り開いた。
 華奢な体つきで色白なので、人前に晒せるような体ではないから、あまり見せたくない。
 男の裸なんて見ても面白くはないだろうに、晃久は真摯な眼差しで、隠された肌が露わになっていくさまを凝視している。
 乳首が見えそうなところで、手が止まる。
 晃久は忘れていたかのように、大きく瞬きをした。

「どうした。もっと見せろ」
「もう……許してください。これ以上は……」

 浴衣の裾ははだけたままで、濡れそぼった花芯は晒されている。
 これ以上の羞恥は耐えられそうにない。
 けれど頭ではそう思うのに、体は澪の言うことを聞かず、放ったばかりの花芯は頭を擡げていた。それもすべて眼前の晃久には見られているのだ。

「体は悦んでいるじゃないか。また兆しているな」
「あ……これは、違います」
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