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初恋の成就 4
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「んぁ……っ、あ、は、……ぁん、あっ、あ、アレク、きもちい……」
「私も……とても心地良い。たまらないな……」
力強く突き上げられ、快楽に乱される体は高みへ上り詰める。花芯が蜜を迸らせるのと同時に、体の奥深くに埋め込まれた雄芯が爆ぜた。熱い飛沫に内壁が濡らされて、その刺激にまた小さく達する。
「あぁ、……すごい……たくさん、でてる……」
体の深いところにまで、アレクの精が満たしていく。充足感に酔いしれて、ほうと息を吐いた。
「最高だ……。私のものだ。可愛らしい、感じやすい体だ。最後の一滴まで味わうがいい」
すべてを注いだアレクは繋がりを解かなかった。惜しむように腰を回し、余韻を味わう。
荒い息を継ぐアレクに抱きしめられながら、シーツに体を沈めた。
愛しい人の温かな肩を撫でる。顔を上げたアレクの額には汗の粒が浮かび、金の前髪の一房を張り付かせていた。情事の跡を色濃く滲ませる姿に鼓動は休まることがない。掌を伸ばして掻き上げてあげると、どちらからともなく微笑みが零れる。
「今度こそ、私の花嫁になるのだ。よいな、キラ」
「僕は……アレクの妃になっても良いのですか?」
「もちろんだ。愛人などではなく、正式な私のパートナーであると内外に知らせる」
皇子の特別侍従とロマンシアの妃というふたつの身分を持つことになりそうだが、アレクとユーリイの傍にいられることに変わりはないのだから、喜んで享受しよう。
「アレクが望んでくれるのなら、僕は何にでもなります。どうか、お側にいさせてください」
「キラ……愛している」
柔らかな口づけを交わす。幾度も唇と体を重ねながら、星の瞬く夜は緩やかに時を紡いでいった。
煌は壁にひとつだけ残された真紅の宝石に見入る。
かつてルビーに埋め尽くされていた紅の間は、一点のみを残して宝石は取り払われた。空洞となった壁は塗り直されて、簡素なものに作り替えられている。部屋の中央には小型のテーブルと椅子が二脚置かれている。
紅宮殿は再び煌が住めるようにアレクが手配してくれたのだが、それに際して煌はお願いをした。
自分は男であり、本来は妃として優遇されるべき身分ではない。最低限の質素な暮らしを営めれば満足なので、高価なルビーは国民のために役立ててほしい。
望みは叶えられた。
記念として一個のみを残して他のルビーは売却され、そのお金は貧しい人々に寄付された。ロマンシアに居させてもらえるのだから、国民のために少しでも寄与したい。煌の想いを汲んでくれたアレクと、紅の間で鳳凰木を思わせる小さなルビーを鑑賞しながらお茶をするのが日課となっている。
礼装を纏った志音がやってきて、慇懃にお辞儀をする。
「煌さま。お時間でございます」
純白のサラファンの裾を翻す。扇状に開いたココシュニクから垂れる銀の飾りが、しゃらりと鳴った。
ロマンシア伝統の婚礼衣装に身を包む煌は本日、アレクと婚姻を結び正式な妻になる。
瑠璃国の紗綾姫と婚約を破棄した皇帝が、その兄である煌王子と結婚するという告知は国民を驚かせて様々な憶測を呼んだ。身代わり花嫁だったことは宮廷の一部の人間にしか知らされていないが、街では煌王子が女装して紗綾姫の身代わりを務めていたので元々同一人物という創作小説が売り出され、話題になっている。国民の鋭さには完敗だ。
いかに瑠璃国の王子とはいえ男であるので、ロマンシアの新たな妃として国民に受け入れてもらえるのか不安だが、アレクとユーリイを支えていきたいという気持ちに嘘偽りはない。大切な人と国のために、精一杯努めさせてもらおうと心に決めた。
志音に付き添われて紅宮殿を出れば、宮廷の馬車寄せには婚礼用の壮麗な馬車が待機していた。微笑んで見送りに出るメイドたちとミハイルの傍には、真紅の燕尾服を纏うアレクが凜と佇んでいる。
「さあ、参ろう。私の花嫁」
華麗な仕草で掌を差し出される。幾度このように、アレクから手を差し伸べられただろうか。
「はい。アレク」
もう彼の手を拒むことはない。その手に未来ごと、自らの手を預ける。
妹の身代わりとして始めたことだったが、祖国から遠く離れたロマンシアの地でついに煌は初恋の人と巡り会えた。運命を切り拓くことができたのも、アレクが傍にいてくれたからこそ。
感慨深い思いで手を取り合い、ふたりは馬車へ乗り込む。
行く先は帝都の大聖堂だ。皇帝と新しい花嫁を乗せた馬車は早春のロマンシアを駆けていく。
街の広場に近づくと、大歓声に出迎えられた。
「私も……とても心地良い。たまらないな……」
力強く突き上げられ、快楽に乱される体は高みへ上り詰める。花芯が蜜を迸らせるのと同時に、体の奥深くに埋め込まれた雄芯が爆ぜた。熱い飛沫に内壁が濡らされて、その刺激にまた小さく達する。
「あぁ、……すごい……たくさん、でてる……」
体の深いところにまで、アレクの精が満たしていく。充足感に酔いしれて、ほうと息を吐いた。
「最高だ……。私のものだ。可愛らしい、感じやすい体だ。最後の一滴まで味わうがいい」
すべてを注いだアレクは繋がりを解かなかった。惜しむように腰を回し、余韻を味わう。
荒い息を継ぐアレクに抱きしめられながら、シーツに体を沈めた。
愛しい人の温かな肩を撫でる。顔を上げたアレクの額には汗の粒が浮かび、金の前髪の一房を張り付かせていた。情事の跡を色濃く滲ませる姿に鼓動は休まることがない。掌を伸ばして掻き上げてあげると、どちらからともなく微笑みが零れる。
「今度こそ、私の花嫁になるのだ。よいな、キラ」
「僕は……アレクの妃になっても良いのですか?」
「もちろんだ。愛人などではなく、正式な私のパートナーであると内外に知らせる」
皇子の特別侍従とロマンシアの妃というふたつの身分を持つことになりそうだが、アレクとユーリイの傍にいられることに変わりはないのだから、喜んで享受しよう。
「アレクが望んでくれるのなら、僕は何にでもなります。どうか、お側にいさせてください」
「キラ……愛している」
柔らかな口づけを交わす。幾度も唇と体を重ねながら、星の瞬く夜は緩やかに時を紡いでいった。
煌は壁にひとつだけ残された真紅の宝石に見入る。
かつてルビーに埋め尽くされていた紅の間は、一点のみを残して宝石は取り払われた。空洞となった壁は塗り直されて、簡素なものに作り替えられている。部屋の中央には小型のテーブルと椅子が二脚置かれている。
紅宮殿は再び煌が住めるようにアレクが手配してくれたのだが、それに際して煌はお願いをした。
自分は男であり、本来は妃として優遇されるべき身分ではない。最低限の質素な暮らしを営めれば満足なので、高価なルビーは国民のために役立ててほしい。
望みは叶えられた。
記念として一個のみを残して他のルビーは売却され、そのお金は貧しい人々に寄付された。ロマンシアに居させてもらえるのだから、国民のために少しでも寄与したい。煌の想いを汲んでくれたアレクと、紅の間で鳳凰木を思わせる小さなルビーを鑑賞しながらお茶をするのが日課となっている。
礼装を纏った志音がやってきて、慇懃にお辞儀をする。
「煌さま。お時間でございます」
純白のサラファンの裾を翻す。扇状に開いたココシュニクから垂れる銀の飾りが、しゃらりと鳴った。
ロマンシア伝統の婚礼衣装に身を包む煌は本日、アレクと婚姻を結び正式な妻になる。
瑠璃国の紗綾姫と婚約を破棄した皇帝が、その兄である煌王子と結婚するという告知は国民を驚かせて様々な憶測を呼んだ。身代わり花嫁だったことは宮廷の一部の人間にしか知らされていないが、街では煌王子が女装して紗綾姫の身代わりを務めていたので元々同一人物という創作小説が売り出され、話題になっている。国民の鋭さには完敗だ。
いかに瑠璃国の王子とはいえ男であるので、ロマンシアの新たな妃として国民に受け入れてもらえるのか不安だが、アレクとユーリイを支えていきたいという気持ちに嘘偽りはない。大切な人と国のために、精一杯努めさせてもらおうと心に決めた。
志音に付き添われて紅宮殿を出れば、宮廷の馬車寄せには婚礼用の壮麗な馬車が待機していた。微笑んで見送りに出るメイドたちとミハイルの傍には、真紅の燕尾服を纏うアレクが凜と佇んでいる。
「さあ、参ろう。私の花嫁」
華麗な仕草で掌を差し出される。幾度このように、アレクから手を差し伸べられただろうか。
「はい。アレク」
もう彼の手を拒むことはない。その手に未来ごと、自らの手を預ける。
妹の身代わりとして始めたことだったが、祖国から遠く離れたロマンシアの地でついに煌は初恋の人と巡り会えた。運命を切り拓くことができたのも、アレクが傍にいてくれたからこそ。
感慨深い思いで手を取り合い、ふたりは馬車へ乗り込む。
行く先は帝都の大聖堂だ。皇帝と新しい花嫁を乗せた馬車は早春のロマンシアを駆けていく。
街の広場に近づくと、大歓声に出迎えられた。
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