白熊皇帝と伝説の妃

沖田弥子

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別荘の一夜 4

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「全部、入ったぞ。私のすべては、結羽の中にいる。分かるか?」

 隙間なく重なり合う身体は、鼓動までも溶け合うようだ。
 とくり、とくりとふたりの鼓動は同じリズムで脈動を刻んでいる。
 下腹には、みっちりと収められたレオニートの楔が息づいている。
 感じる。愛しい人が、自分の胎内にいてくれる。
 結羽は幸せの涙を流した。

「分かります……。僕の中に、レオニートが、います……」
「結羽……泣かないでくれ。痛いか?」

 かぶりを振ると、舞い散った涙が灯りに煌めいた。

「いいえ、僕、しあわせなんです。幸せすぎて、涙が零れるんです」

 愛する人が、自分のお腹の中にいる。
 それはとても奇蹟的で、得がたい幸福感をもたらしてくれた。
 唇で雫を吸い上げたレオニートは、結羽が落ち着くまで髪を撫でさすっていた。強靱な肩に縋りついて、呼吸を整えていると、彼の体温が次第に身体に馴染んでくる。

「馴染んできたな……。ゆっくり動くぞ」

 ずるりと腰を引かれれば、媚肉は充溢を惜しむように縋りついた。

「あっ……ぁ、ん……っ」

 肉環に太い先端を引っかけると、奥までひと息に押し込まれる。最奥を抉り、そしてまた引いては鋭く穿たれる。
 愉悦の波が広がり出す。
 逞しい楔に幾度も擦り上げられて、熟れた蜜壺は、きゅうと引き絞られる。唇から零れるのは甘い嬌声ばかり。

「あ、あん、あぁ、そこ……あっ、あっ」
「ここが感じるのか?」

 感じるところを探り当てられ、ずくずくと抉られる。立て続けにそこを突かれて、つま先まで甘い痺れに侵されていく。たまらない悦楽が腰奥から湧き上がり、甘く切なく身体中を駆け抜けた。

「あっ、あうぅ……レオニート……! からだが……あっ、あぁん、ふぁ」

 ぐちゅぐちゅと雄芯に擦られるたびに、濡れた肉筒は蠕動して、淫らに彼の形に変えられていく。
 縋るものを求めて伸ばした手は、大きな手のひらに掴まれた。互いの指が絡められ、しっかりと繫がれる。

「そのまま、いっていい」

 屈強な体躯が織り成す激しい抽挿に、腰骨は甘く軋む。ずっぷりとした突き上げに合わせて、声が弾んでしまう。
 きもちいい。
 好きな人と抱き合うのは、こんなにもきもちのいいことなんだ。
 背を撓らせながら、両脚を曲げて逞しい腰に脚を絡める。
 重い衝撃が背筋を駆け抜けた瞬間、熱に浮かされるような浮遊感に囚われた。

「あっ……あぁ、んぁ、あっ、あ――……」

 爆ぜた雄芯から迸る熱い奔流が、身体の奥深くに注がれた。絶頂に戦慄く花筒をしっとりと濡らし、たっぷりと満たしていく。濃厚な神獣の精は、結羽の身体の隅々にまで浸透していくようだった。
 僕の身体は、作り替えられた……。
 昨日まで知ることのなかった悦びを初めて味わい、結羽の心は幸福に満たされた。汗の滲んだ広い背に腕を回して抱きしめる。
 きつく抱き合いながらも、レオニートに耳朶を軽く啄まれた。

「あ……ん、くすぐったい」
「最高だ……。まだ、止まらない。私の楔も心も、愛しい人を抱いた悦びに打ち震えている」

 どくり、どくりと、熱い精は楔から迸り続けている。
 結羽はレオニートとひとつになれた悦びを噛み締めながら、彼の迸らせるすべての精をその身に受け止めた。
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