魔法使いは旅に出る!

のん

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危険な幕開け!?

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「髪型OK!制服OK!よし…笑顔!………OK…?」
私、市川アカネは、鏡の前で数秒自分の姿を見つめて、にぃっとぎこちない笑顔を作る。
自分の指で唇を押し上げてみても、にぃっというぎこちない笑顔は変わらない。
「久しぶりの学校だからなあ…ちょっと緊張…かも…」
一人で呟くその声は次第に小さくなっていく。
ストーップ!私、いつもはほーんっとに明るいんだよ!?
緊張とかほんとに全然しないはずなの!!
でもね、今のこれには理由があって…。
昨日まで夏休みだった、わたしが通う学校、海野学園。たっのしー夏休みだったはずなのに…ママに無理矢理離れの別送まで連れていかれて、強制的に勉強漬けにされていたの…。
だから友達と遊ぶ時間なんて全然無くて…皆と会うのも、ほんっとに久しぶりなわけで!ちょっと…緊張かなってところ。
「でも…久しぶりに皆と会えると思うと楽しみだな」
次にそう呟くと、だんだんと声が元気を取り戻してきて。
「よし!これなら大丈夫!」
もう1度私は鏡の前で笑顔を作る。
私の中でぺかぁっという明るい音がして、笑顔もそれにつられ、明るくなっていく。
「笑顔OK!!」

心の中で「合格!」と言いながら、私は「あ」と声を漏らす。
そのまま動きを止めた私に、ある不安がドッと押し寄せてきた。

まだ新学期の不安が残ってるの?違う違う。
宿題やり忘れたの?それも危なかったけど…違う違う。

コホンコホン。いきなりだけどここで私に自己紹介をさせてください。

市川アカネ、海野学園に通う中学2年生!
好きな教科は体育!長所は走るのが速いこと!短所は……

私は、いつの間にか戻っていたぎこちない笑顔で、恐る恐る時計を見る。

8時25分。

時計の針はピッタリと5を指していた。
まずいですね…まずいです。
海野学園のHRが始まる時間は8時半。よって、私に残された時間はあと5分。

コホンコホン。もう一度だけ自己紹介を。
私の短所は………
時間に!ルーズ過ぎるところです!!!
いわばマイペース!!

「うあー!!!!新学期そうそう遅刻なんて嫌だよーーー!!」

私はそう叫びながら、食べかけだったパンを無理矢理口に詰め込んで、玄関へとかけた。
おいしいパンを味わう余韻も感じられないまま、私、市川アカネは長所である足をここぞとばかりに活かしながら、学校へと猛ダッシュで走っていった。


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