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退屈な場所はいつも学校
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居心地は悪くはなかったが、決して好きで毎日通っているわけではない。自分以外のみんなもそんなものだろう。
学校っていうのは夢や希望と目標に向かって進む場所ではなく、反対にそういった意欲をすり減らし、友人や教師の機嫌をとって上手に生活するところだ。
城岩高等学校はそこそこ勉強できるやつが無難に進学するには都合のいい学校で、進学率も悪くない。だまって勉強をこなしておけば、県内の私立大学くらいは受かるだろう。受験の時にこの高校を選んだ理由はそんなところだ。
何も起こらなくて、退屈な高校生活もあっという間に過ぎてもうすぐ受験だ。成績が危ない時期もあったが、友達のおかげでなんとか進級できた。
夏がおどろくほど早く過ぎ去って、ずいぶん涼しくなった。
学校までの道のりは車通りが多く、風が抜けない二車線の道路で、歩行者が歩く道がやけに狭く、走り去る自動車が排気ガスをまき散らす。おかげで毎朝気分が悪い。
今日は週に一度の選択科目の授業があるのが憂鬱だった。好きな授業を選んでいいなんて担任は言うが、たいていの希望は通らない。
人気のあるクラスは希望者が集中し、そこから漏れた連中が人気のない授業に割り振られる。
移動教室の時もだいたい一緒に行動している楠木と川田に合わせて「英語」を選んだことを後悔していた。
女子にも人気のあるALTの先生がいるほうの「英語」を希望用紙に書いたはずなのに教室横の黒板に張り出された大判の印刷用紙には第三希望にすら書いていなかった授業が記されていた。
英語の授業は他にもいくつかあるのだが、一番避けたかった佐渡というくたびれた中年が担当するクラスになって、三人で頭を抱えた。普段はちがう先生だから授業を受けることはなかったが、いろんなやつから悪い評判を聞いている。大きな声で喋り、つばを飛ばしてくる。
自分の世界に入りこんでいて、話がぶれる。寒いギャグやボケもついている。確か後輩から聞いた話だ。
それ以上にきついのは英語でのコミュニケーションを目的とした会話をする授業内容だった。取りつかれたように板書する佐渡の後ろ姿を眺めるだけだと思っていたのに、余計にめんどうなことをしているのに自分では気づいてはいない。
ようするにイタイやつだ。
授業のつまらなさはピカイチだった。全員を席から立たせて順番に先生の読みあげる英文を復唱するだけの内容。
「いつもの英語の授業とは一味ちがう」なんて言った佐渡だが実際は普段の英語の授業とほぼ同じ。呪文をみたいに低い声で英語を復習する我々の声は整列させられた囚人ようだ。
学校は本来、生徒のために存在していて、授業もそうあるべきなのだが、教師と呼ばれるの人たちは形式のような型にはめて自己満足で授業を行っているように見える。
こっちの気持ちは完全に無視して、生徒が何を求めて、どんなことを学びたいかなんて、職員会議の議題にも上がらないのだろう。
やはりこれでは生徒たちはついてこない。
きっと先生たちも教職課程の授業を受けて、血の滲む思いで試験を突破したのだろうけど、人を相手にするのだからマニュアル通りのことをしても意味がないことをわかって欲しい。
こんなことなら「英語」ではなく他の科目を選択すればよかった。まだマシなやつがあったかも。
三年間続けたサッカーも夏の大会が終了したらすぐに引退してしまった。
顧問の先生が忙しく、大会前にもほとんど顔を出さないので、きまぐれに練習に参加していた。真剣に練習しているレギュラーのやつらには申し訳ないが、俺のような幽霊部員はけっこう多くて、部長も割り切っている。
例年のことがだが市の予選大会の一回戦で敗退して、悔し涙を流すこともなく、あっさりと三年生は引退になった。もちろん俺はベンチにも入っておらず、スポーツセンターの野外応援席から早く終わらないかなと試合を眺めていた。
部室から私物を持ち帰った時、自分のシューズのスパイクが非常にきれいだったことにおどろいた。
それほど練習をしなかったことを改めて実感した。引退した後も、後輩のために部活に顔を出す三年生もいるみたいだが、仲のいい後輩もいなかった俺には関係ない話だった。
部活動というものを実直に三年間続けると目には見えない精神的に大きな成長が得られるという。教師や親はその達成感や協調性に似たものを与えるために部活で汗を流すことをすすめてくる。
そのルートからいつの間にか脱落した俺は知らないうちに立派な大人になるための何かをすでに失ったのだと思う。
三年の夏に中高生のいじめによる自殺のニュースが頻繁に報道され、そのたびに担任の柏倉は本質的なことを何もとらえていない言葉を口にする。
「ウチのクラスにはスクールカーストなんて存在しない。みんな仲がいいもんな!」
頭の悪い大人はこういった発言を安易にするのだ。
教員というのは年齢による自らの経験によって得た知識が絶対的なものだと信じて疑わない。ただ年をとっただけなのに? そんな自信どこからくるんだよ? 誰かの正解が他の人の正解にあてはまることなんてないのに。
学校っていうのは夢や希望と目標に向かって進む場所ではなく、反対にそういった意欲をすり減らし、友人や教師の機嫌をとって上手に生活するところだ。
城岩高等学校はそこそこ勉強できるやつが無難に進学するには都合のいい学校で、進学率も悪くない。だまって勉強をこなしておけば、県内の私立大学くらいは受かるだろう。受験の時にこの高校を選んだ理由はそんなところだ。
何も起こらなくて、退屈な高校生活もあっという間に過ぎてもうすぐ受験だ。成績が危ない時期もあったが、友達のおかげでなんとか進級できた。
夏がおどろくほど早く過ぎ去って、ずいぶん涼しくなった。
学校までの道のりは車通りが多く、風が抜けない二車線の道路で、歩行者が歩く道がやけに狭く、走り去る自動車が排気ガスをまき散らす。おかげで毎朝気分が悪い。
今日は週に一度の選択科目の授業があるのが憂鬱だった。好きな授業を選んでいいなんて担任は言うが、たいていの希望は通らない。
人気のあるクラスは希望者が集中し、そこから漏れた連中が人気のない授業に割り振られる。
移動教室の時もだいたい一緒に行動している楠木と川田に合わせて「英語」を選んだことを後悔していた。
女子にも人気のあるALTの先生がいるほうの「英語」を希望用紙に書いたはずなのに教室横の黒板に張り出された大判の印刷用紙には第三希望にすら書いていなかった授業が記されていた。
英語の授業は他にもいくつかあるのだが、一番避けたかった佐渡というくたびれた中年が担当するクラスになって、三人で頭を抱えた。普段はちがう先生だから授業を受けることはなかったが、いろんなやつから悪い評判を聞いている。大きな声で喋り、つばを飛ばしてくる。
自分の世界に入りこんでいて、話がぶれる。寒いギャグやボケもついている。確か後輩から聞いた話だ。
それ以上にきついのは英語でのコミュニケーションを目的とした会話をする授業内容だった。取りつかれたように板書する佐渡の後ろ姿を眺めるだけだと思っていたのに、余計にめんどうなことをしているのに自分では気づいてはいない。
ようするにイタイやつだ。
授業のつまらなさはピカイチだった。全員を席から立たせて順番に先生の読みあげる英文を復唱するだけの内容。
「いつもの英語の授業とは一味ちがう」なんて言った佐渡だが実際は普段の英語の授業とほぼ同じ。呪文をみたいに低い声で英語を復習する我々の声は整列させられた囚人ようだ。
学校は本来、生徒のために存在していて、授業もそうあるべきなのだが、教師と呼ばれるの人たちは形式のような型にはめて自己満足で授業を行っているように見える。
こっちの気持ちは完全に無視して、生徒が何を求めて、どんなことを学びたいかなんて、職員会議の議題にも上がらないのだろう。
やはりこれでは生徒たちはついてこない。
きっと先生たちも教職課程の授業を受けて、血の滲む思いで試験を突破したのだろうけど、人を相手にするのだからマニュアル通りのことをしても意味がないことをわかって欲しい。
こんなことなら「英語」ではなく他の科目を選択すればよかった。まだマシなやつがあったかも。
三年間続けたサッカーも夏の大会が終了したらすぐに引退してしまった。
顧問の先生が忙しく、大会前にもほとんど顔を出さないので、きまぐれに練習に参加していた。真剣に練習しているレギュラーのやつらには申し訳ないが、俺のような幽霊部員はけっこう多くて、部長も割り切っている。
例年のことがだが市の予選大会の一回戦で敗退して、悔し涙を流すこともなく、あっさりと三年生は引退になった。もちろん俺はベンチにも入っておらず、スポーツセンターの野外応援席から早く終わらないかなと試合を眺めていた。
部室から私物を持ち帰った時、自分のシューズのスパイクが非常にきれいだったことにおどろいた。
それほど練習をしなかったことを改めて実感した。引退した後も、後輩のために部活に顔を出す三年生もいるみたいだが、仲のいい後輩もいなかった俺には関係ない話だった。
部活動というものを実直に三年間続けると目には見えない精神的に大きな成長が得られるという。教師や親はその達成感や協調性に似たものを与えるために部活で汗を流すことをすすめてくる。
そのルートからいつの間にか脱落した俺は知らないうちに立派な大人になるための何かをすでに失ったのだと思う。
三年の夏に中高生のいじめによる自殺のニュースが頻繁に報道され、そのたびに担任の柏倉は本質的なことを何もとらえていない言葉を口にする。
「ウチのクラスにはスクールカーストなんて存在しない。みんな仲がいいもんな!」
頭の悪い大人はこういった発言を安易にするのだ。
教員というのは年齢による自らの経験によって得た知識が絶対的なものだと信じて疑わない。ただ年をとっただけなのに? そんな自信どこからくるんだよ? 誰かの正解が他の人の正解にあてはまることなんてないのに。
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