他の女にうつつを抜かす夫は捨てます

りんごあめ

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悲しみでも絶望でもなく

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「離婚しよう」

そうダンに言われたとき、感じたのは悲しみでも絶望でもなく
そっか、その手があったかということだった
なにも我慢しなくてよかったんだ...





ダンと離婚しよう




私はかすかに残るダンへの情を完全に断ち切った

それからの行動は早かった
心配させたらと思い、お互いの両親には今の状況を伝えていなかったけれど
手紙を送り、集まってもらうことにした
それを知ったダンは両親は関係ないと怒っていたけど、仕方ないだろう
離婚となればお互いの両親に黙っていることはできないだろう




「それで私たちに話って?」

お互いの両親に集まってもらったその日
私の隣には不機嫌そうなダンがいる
最初はおめでたい話かと期待していた両親たちも、ダンの様子を見て何か深刻な話だと悟ったようだ

「今日は私の両親とダンの両親に聞いてもらいたいことがあります。私たち離婚することになりました」

「そんな...」

両親たちは衝撃を隠せないようだった

「理由はなんなの?あなたたちうまくやってたように見えたけど...」

ダンのお母さんが口を押さえながら聞いてきた

「理由はダンの浮気です」

メアリーはきっぱりと言い切った

「おい!浮気ってなんだよ!俺がいつ浮気したっていうんだ!?」

ダンは両親たちの前だということも忘れて私に怒鳴った
その態度に両家が驚いていることにも気づかずに...

「シアというメイドと親密な関係にあります」

「シアとはそういうのではない!」

「ダンはシアというメイドと朝食、夕食をともにし、どこに行くにも一緒に行動しています。使用人たちの証言もあります。また寝室も共にしているそうなので、身体の関係があってもおかしくないかと」

「シアと身体の関係は一切ない!だから浮気ではない!」

「身体の関係がなかったとしても、あなたたちの関係は異常よ」

ダンは弁解してきたけど関係ない

「ダン、メアリーの話は本当なのか?」

ダンのお父さんが問いかける

「本当だ、だけど...」

ガタンッ

ダンのお父さんがダンを殴り飛ばした

「何をやってるんだおまえは!身体の関係がなかったとしてもメアリーをないがしろにして、そのメイドと親密に過ごしてたんだろう!」

ダンは突然のことに呆然としていた

「メアリー、馬鹿な息子がごめんなさい。離婚でも仕方ないわ」

ダンのお母さんは泣いていた

「待ってくれよ、父さん、母さん、まるで僕が悪いみたいじゃないか!」

ダンはこの期に及んで、事の重大さをわかっていなかった

その時...
バンッ

「ダン様ぁ~大丈夫ですか?」

シアが部屋に入ってきた
ダンに駆け寄るとその腕に自分の腕を巻き付けた

「お、おい!」

あせってダンは引きはがそうとしたが、

「もういい、ダン君僕らは君を信用してメアリーを託したが間違えだったようだ」

メアリーの父は心底残念で仕方ないというように首を振った

「そうね、メアリーは返してもらいます」

メアリーの母も呆れた様子で、メアリーの手をとった

「お父さん、お母さん!違うんです!これはその...」

ダンは焦って何かを言おうとしたが、片腕に女がべったりとくっついている状態
何も言うことができなかった

「ダンから離婚を切り出したんだから、これで満足でしょう?」

さらにはメアリーから爆弾を落とされ、もう何も言えなかった
両親たちはダンから離婚を切り出したと知り、ますます呆れている

「離婚届は私の分は書いてあります。今ここで書いてください」

「いまここでだと!?」

メアリーはダンのことをよく知っている、いままでの豹変っぷりには驚かされたが
あとで意見を変えられたら困ると思ったのだ

「ダン様ぁ、早く書いてこんな人とはさよならしましょう!」

まとわりついてくるシアをそのままに

「わかった!書いてやるよ!だからいますぐ出してこい!」

ダンは勢いのまま、離婚届を書いてメアリーに渡した

「さようなら、ダン」

メアリーはそれを受け取ると屋敷をでて、その足で離婚届を提出した
ダンの両親には凄く謝られてしまった
でもこれでやっと解放された...

私は自由だ
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