悪役聖女に転生? だが断る

日村透

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『元』聖女、行きたくないけど方向転換

230. 容赦なき女達の暴露 (2) -sideアロイス


「うふふ。セレ様、コレ触ってみます?」

 にんまりと嗤う魔女の顔が、ありありと目の前に浮かぶ。そんな声色だった。

 ――あいつ、もしや俺達がこっちにいることを察知しているんじゃあるまいな?

 胸に浮かんだ疑惑をよそに、魔女の一声がきっかけとなって、女湯で触りっこが始まった。
 おいおい、勘弁してくれよ……これ絶対、俺らが聞いていいもんじゃねーだろ!?


「つるつるですべすべで、もちもちですわ……何をどうなさったら、このように素晴らしく育ちますの?」
「それが、特に何をしたわけでもないのよぉ。こういうのは運としか言いようがないわね。たまに『飲み続ければ大きくなる薬』なんて売ってる輩がいるけれど、あれ詐欺だから騙されちゃダメよ?」
「も、もちろんですわ!」


 やっぱりこの話題か!
 具体的な単語がなくとも『何』の話かわかる。
 すげぇ気まずい。俺らはいったいどうすりゃいいんだ?
 野郎みんな顔を見合わせ、いよいよ動けなくなっちまったんだが。

 その後も華やかな女達の声で、メラニーのソレについて盛り上がっている。
 それはいいが、セレスティーヌのソレについては誰も触れんな……いや、だからってどうというわけでもないが。

 ジゼルの腹筋はまあ、想像通りとしか言えん。
 つうかジゼルよ、女の腹部が皆、おまえみたいになるわけがないだろう。まずセレスティーヌは確実に不可能だぞ。
 強靭な精神力に反比例して肉体の弱っちいそいつに、大荷物を運ばせて木剣なんぞ振らせてみろ。間違いなく寝込むわ。
 数日寝込んで筋力が低下し、鍛錬開始よりも弱る。
 火を見るより明らかな流れだ。

 案の定、ジゼルは前言を撤回していた。
 そして相変わらず、セレスティーヌのソレについてはまったく聞こえてこない。
 普段の服装や抱き上げた時の軽さ、外見の体形からして、まあそういうことなんだろうとは思うが。
 いわゆる妖精のような体形というやつだ。

 ――本人としては気にしているんだろうな。それはそれで悪くないと俺は思……いや、だからそれは置いといてだな。

 俺達はいつまでこうしてりゃいいんだ?
 つうかコルネイユのおっさん、大丈夫かよ。
 崇拝の対象のあれこれを聞いちまって、風呂に浸かってんのに青くなったり赤くなったりしている。
 罪の意識やら何やらを覚えているようだ。可哀想に。

 すると、エタンとヒューゴとリュカの視線を感じた。
 三人は何かを訴える目でじっと俺を見て、そしてしきりに女湯の方向を見る。

 もしかして、今から俺にあいつらへ声かけろってか!?
 無茶言うんじゃねーよ!

 俺に代表で声掛けさせといて、仮に女どもの不信を買ったら、全部俺に押し付けようって魂胆こんたんだなてめーら。
 だが実際、この硬直状態から抜け出すにはそうするしかないことも確かだった。
 おまえらだけ変態扱いから逃れようったって、そうはいかねーぞ。おまえらも一緒にここで聞いてたこと、絶対暴露してやるからな!
 俺は意を決して口をひらきかけ――


「ところでセレ様? 、詳し~く伺ってよろしいかしら?」


 口を閉ざした。




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 読みに来てくださってありがとうございます!

 たびたび申し訳ありません。新作を二作品ほど執筆予定のため、一週間ぐらいこちらの更新が不定期になります。
 のちほど近況ボードのほうにも上げますが、投稿開始時は書き溜めたものをハイペースで投稿することになるかと思います。
 開始時はまたお知らせいたしますので、よろしくお願いいたしますm(_ _)m

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