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番外・後日談2
★3巻 書籍化記念SS★ 2
今回は記念SSを2話投稿することにしました。
3はありません。
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子猫は繊細な生き物なので、力加減に注意しなくてはならない。
膝の上で子猫をヘソ天の格好にさせて、優しく、かつ丁寧にふわふわもみもみマッサージをしてゆく。
子猫の好きポイントは多い。
まずはおでこ。指先で軽くちょいちょい、額から後ろに向けて掻くように撫でてやると気持ちよさそうに目を細める。
あごの下も好きだ。指先で掬うようにふわふわ掻いてやると、自然にあごを上げてゴロゴロと言い始める。
耳の裏側の付け根あたりも、こいつのお気に入りポイント。爪の先でやわやわ引っ掻くのを好むんだ。
最後に頬。ヒゲの後ろあたりを揉むのが好きなんだぞ。
マッサージや触れられること自体を嫌がる猫もいるらしいんだが、少なくともうちの子猫はそういうことはなかった。
前足の付け根、肩のあたりを軽く刺激するのも悪くないんだが、肩こりしない猫なので日によってはあんまり嬉しそうじゃない。
いまいちそうな顔をしていたら、しつこく続けずやめるのもコツだな。
「み~……」
「気持ちいいか?」
「ふみゅ~ん……くるしゅうない……」
ほっそり糸目で、それはもう気持ちよさそうに言ってくれた。
ふふふ、俺の黄金の指(猫専用)は今日も絶好調だな。
ふにゃふにゃのくたくたになるまでマッサージをしてやると、子猫はすっかり満足した顔でうとうとし始めた。
俺も大満足である。この作業は何度やっても、手触りと視界の天国度が凄まじい。
「いつもながら見事ですね」
そんな俺達をずっと眺め、どうにも判断しづらい感想を口にするアレッシオ。
使用人達は俺と彼のプライベートタイムと察し、既に退室してくれている。
いつもありがとうございます。
「アレッシオもやってみるか?」
「ゲッ」
子猫がパカリと目を開けた。
ゲ、て何だよ。
この世界に解説動画はないんだから、俺のやっていることを見て実践してもらうしかないじゃん。
アレッシオのことだからすぐにマスターすると思うぞ?
「撫でられるのは僕ってコトだろ」
「そうだが?」
そりゃそうじゃん、おまえ以外に猫はいないんだし。
「絶対ヤダ!」
「何故そうも嫌がる? 何事も実践することが大事だろう」
「ヤダったらヤダ!」
「閣下。アムレート様が嫌がっていらっしゃるのですから、無理強いするものではありませんよ」
「そのとーり!」
いきなり子猫とアレッシオが意気投合した。いったい何なんだろう。
なんかアレッシオ、子猫に対して他人行儀というか、ほかの使用人と比べても触りたがらないんだよなぁ。
子猫は子猫で、尻尾をふくらませる勢いで嫌がるし。
ところでこのフワフワ尻尾、触っていい? ダメ?
「オマエ、そんなにこの兄さんになでなでさせたいんなら、オマエがなでなでしてもらえよ」
「それは素晴らしいご意見ですね。是非そのようにいたしましょう」
「えっ?」
「すっきりしたし、僕はちょいとお散歩行ってくる。じゃあな」
子猫は俺の膝上で立ち上がって「ン~」と伸びをすると、ぴょんと絨毯に着地し、無情にも歩いて行ってしまった。
椅子に座ったまま呆然としている俺に、とてもいい笑顔のアレッシオが近付いてくる……
そして俺は今、ベッドの上でアレッシオに背中から抱きかかえられていた。
お互い着衣のまま何を始める気かと思えば、アレッシオは言った。
「何事も実践ですからね」
そう言うなり、俺の額を指先でさわさわと撫で始める。
――もしや子猫マッサージのやり方を、俺で練習するつもりなのか。
額の中央を優しく撫でられているだけなのに、背中がぞくぞくする。
「おま、え……」
「気持ちよくはありませんか?」
気持ちいいとも? 気持ちいいからどうしてくれようと思っているんだが?
真面目に、自分で触るのと人に触られるのとで、どうしてこんなに違う感覚になるんだろう。
「確かここも、気持ちいいのですよね?」
「っ……」
あごの下を軽く掬うように、引っ掻くように撫でられた。
本気で子猫マッサージを俺相手に全部試すつもりなのだ。
先ほどよりもぞくぞくとした感覚が強くなり、喉を晒すようにのけぞってしまう。
――やばい。
何だこれ、序盤から既にやばいぞ……!?
「あっ……や、待て、それはっ……」
「ん? 気持ちよくはありませんか?」
「そ、そうでは、ないがっ……」
耳の裏側の付け根。
そこをカリカリと爪で掻かれ、いよいよ下半身がまずいことになってきた。
身じろいでも、アレッシオの腕にしっかりと抱き留められて逃げようがない。
「あ、アレッシオ、悪かった! 私が悪かった、もう言わないから……」
「おや、何のことでしょう。ところで、ここもお好きなのですよね?」
「ふっ……うぅ……!」
耳の裏側を撫でると同時に、頬から耳へ向けて優しく引っ掻く指先に、声を必死で押し殺す。
俺がもじもじ膝をすり合わせているのなんて、もうとっくに気付いているだろうに。
上着があったらそこを隠すところだが、残念ながら今日は暖かいからと脱いじゃったんだよ……!
「こ、これだけは、言わせろ……」
「はい?」
「あれと、これは、違う……!」
俺が子猫にやるマッサージと、これが同じであるものか。
だいたい俺がアレッシオのフェイスマッサージを、これまでに何度受けてきたと思ってるんだ。
おまえ、わざと俺がそういう気分になる触り方をしてるだろ?
どう考えてもそうだ!
強引に振り向いて、めいっぱい睨みつけてやったら――アレッシオはとても愉しそうな笑顔で、俺の唇をぺろりと舐めてきた。
その刺激がとどめになって、そこがはっきりと張り詰めたのが見なくてもわかる。
「おまえ、なぁぁ……」
「オルフェ……拗ねるのが、あなたの専売特許と思っていませんか?」
「え? ……あっ、は……お、おいっ」
ズボンの股間に手を添えられ、まだ明るいのにと慌てる俺に、アレッシオはわざとらしく拗ねたような笑みを向けてきた。
「アムレート様ばかりではなく、私のことも構ってください」
それは睦言の一種なのか、あるいは本当に本音だったのか。
判断する前に唇を深く重ねられ、俺の理性はあっさり吹き飛ばされてしまった。
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動画にはAIを使っていますが、小説にはAIを使っておりません。校正も自力です!(笑)
お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
更新ありがとうございます!本当に最高でした!
アムレートとこの2人の絡みは大好物です♪
個人的に1巻の出版社特典のssのアレッシオにマッサージされて少し不満気な「なんでこいつに揉まれてんの」の件がツボです。なのでこの話もとても好みです!ありがとうございます!
感想ありがとうございます!
オルフェオとアレッシオに子猫を加えるとこういう事態になるという、日常のひとコマでございました。
特典SS、あれですね。まだアレッシオと言葉が通じなかった頃の……(笑)
あのお話の続編ではないですが、それと近い感じになりましたね。
お好みのお話になって良かったです~♪
アムちゃんをモフモフするオルフェオを羨み、
オルフェオの極上マッサージを受けるアムちゃんを羨み、
オルフェオをモフモフ(?)するアレッシオを羨み………………
百面相してたら2人がイチャイチャし始め、最後は満面の笑みで読み終えました😊
素晴らしいSSを2つもありがとうございますっ!!🥰🥰🥰
感想ありがとうございます!
うらやまギリギリがループしている(笑)
オルフェオ、さりげに人をマッサージするのも上手そうです。
アレッシオとアムちゃんは決して険悪な仲ではないんですが、なでなでモフモフに関しては相容れないですね。
こちらこそ堪能しに来てくださって嬉しいです♪
アレッシオさんはマッサージも上手。
そして啼かせるのも上手(笑)。
今日もイチャラブ💕な2人をありがとうございました。
感想ありがとうございます!
アムレートの代わりにオルフェオをなでなでもみもみ……
とても楽しいひとときを過ごしたのではないかと思われます(アレッシオが)
糖分過多な主従のなかよし、良いお茶うけになったようでしたら幸いです♪