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新たな迷宮の攻略
28. どうやら獲得は不可能な耐性*
しおりを挟む明日からは遠出するから何もしないからね! という僕の強固な意見は、「遠出するからこそだろう」と反論されているうちに、攻略上手な狼によってボロボロに崩されてしまった。
ウォルの誘惑攻撃を何度も食らっているのに、僕は耐性がつくどころかどんどん弱くなっているようで、結局は服を剥かれてベッドになだれ込み、全敗記録をまたもや更新。
二人とも横になった体勢で背後から抱き込まれ、彼の下腹部と僕のお尻がぴたりと密着するまで、しっかりと中に埋め込まれた。
「あ……あん……」
行為に至るまではいつも強引なのに、始めてからは強引なことをしない彼は、そこがちゃんと馴染むまでは動かないでいてくれる。
その代わり、僕の耳をやわやわと食みながら手の平を胸に這わせ、彼の収まっているであろうお腹をさすってきた。
その感覚に耐えながらぎゅっと瞼を閉じ、水面に顔を出して必死で呼吸するように喉を反らす。
腰の疼きがたまらなくなってきて、もじもじと両足をこすり合わせた。
この体勢だと後ろから抱かれつつ、下から貫かれている格好になる。
無意識に膝を曲げて快感から逃げようとしたら、彼はそれを許してくれず、上半身を強く抱き込んで結合部にぐり、と押し付けてきた。
「いぁっ……や、あ、あぁ……」
「逃げるな」
「だ、だって……はうっ……あっ……」
優しく意地悪なことを囁き、胸の粒をむにむにとつまみながら、熱い舌が肩や首筋を舐めてくる。
今まさに食べられている感覚に全身がぞわりと震え、閉じた瞼から涙がこぼれた。
触れられてすらいない僕の中心が硬く育ち、蜜を溢れさせているのが見なくてもわかる。
お願い。して。動いて。もっと。
声にならない声を発した瞬間、腰から下の動きが荒々しくなった。
強く何度も小刻みに突き込まれ、かろうじて残っていた僕の理性は跡形もなく吹っ飛び、口から他人のものみたいな甲高い喘ぎが漏れた。
止めたくても止められない。恥ずかしくてたまらないのに、濃厚な求愛の香りに嬉しくなる。
きっと僕の全身からも、彼にだけ甘く感じる香りが、これでもかと放出されているんだろう。
自分の香りなんて自分ではわからないけれど……
ウォルの香りに酩酊し、どろどろにとろかされ、やっと解放されたのは深夜になってからだった。
「昨夜も流されてしまった……」
小鳥の囀りに耳を澄ませながら瞼を開け、今日一番に発したセリフがそれだった。
ウォルはまだ眠っている。前は僕より早く起きることが多かったのに、最近は本当に逆転しているな。
僕の身体を正面から抱き込んだ狼族の、時おり小さく震えるまつ毛を見上げた。
お互いの身体は、ウォルの魔法でさっぱりと清められていて、不快感はどこにもない。
少し前に購入した大きめの毛皮の毛布は、ちゃんと彼の肩までかかっている。温かく手触りもいいから、買って正解だったな。以前の毛布だとサイズが小さくて、肩か足のどちらかがはみ出てしまっていたのだ。
だけどベッド自体を買い替えることは、まだしばらくないと思う。
これからの季節、ますます大きなベッドは必要なくなりそうだ。
だってどうせ、真ん中でくっついて眠るんだから……
――それにしても僕はともかく、なんでウォルがこんなにのんびり寝るようになったんだろう?
はっきり言って、僕はだらしがない。
怠けるのが好きだし、惰眠をむさぼるのが好きだし、興味のないことはすぐに手抜きして投げ出して逃げ出す。
紛うことなきダメ兎だ。ウォルというパートナーがいなければ、今頃は自堕落兎の二つ名をつけられていたに違いない。
そうなってしまう大きな原因は『飽き』だ。
もともと僕はゲーマーで、『飽き』は避けて通れない大敵だった。どんなに夢中になっていても、レベルが上限に達した瞬間に飽きる。
僕が変異後のこの世界に来た直後は、まず現実そのものになっている点で大違いだった。さまざまな魔物の変化のチェックや、見て触れることができるようになったお金、アイテムの種類や効果の確認――
ところが肉体が最高レベルに鍛え上げた兎族のものに変わり、ゲーム時代に保有していたアイテムを現金化できたおかげで、今や使い切れないほどの貯金がある。
そしてお金は貯まる一方だ。
食事代に銅貨を数枚出すだけでわくわくした、あの感覚が今はない。
もしウォルが傍にいてくれなかったなら、きっと僕は飽きていた。
それ以前に彼がいなければ、この世界に留まる選択をすることはなかったんだけれど。
「…………」
ウォルの尖った耳が、小鳥の囀りに合わせてぴく、ぴくと震えるのを見て、僕は――
彼の腰に手を伸ばし、尻尾を触った。
なんでだ、と自分で自分に突っ込んだ。ここは耳に触れる流れだろ。
だって気になったんだよ! と、誰へともなく心の中で言い訳を叫ぶ。
この狼は僕の耳を甘噛みするのが好きで、いつでもどこでも人前だろうとはむはむされる。
そして僕は、そうされるのが嫌いじゃない。人前では控えてくれよと言いつつ、本気で止めることはしないから、ウォルもやめずに続行するのだ。
身長差の問題で、僕が彼の耳をはむはむすることは滅多にないんだけれど、以前それをやったら彼の目がギラリと光ってその後の行為が激しいことに……いや、ええと。
耳の話は置いといて。
ウォルは僕の耳だけじゃなく、尻尾も好きだ。性感を刺激する急所のひとつというのもあって、行為の最中は特に触りたがる。
ただこれ、イヴォニーも触りたがるんだよな。
猫族のイヴォニーは、ほかの獣人の尻尾には全然興味を示さないのに、何故か僕の尾には身体をうずうず、手をわきわきさせることが多い。
彼女だけじゃなく、どうやら猫系の獣人は、僕の耳より尾のほうに目が行くそうだ。
僕とどうこうしたいわけじゃなくても、つい注目してしまうらしい。
山羊族の短い尾には誰も反応していないのに、なんでだよ。
そんなことを考えながら、狼の尾に触れた。
つやつやでさらさらで手触りがいい。彼の髪質と同じだ。卵を持つぐらいの力で握ったら、するりと手の中から逃げてしまった。
逃げる尻尾を捕まえて、再び感触を楽しむ。
毛質がいいということは健康の証でもあった。妙に起きるのが遅くなっても、体調が悪いとかストレスを溜め込んでいるという心配はなさそうだ。
「…………レン?」
「あっ。……ごめ、ウォル、待って、ま……んうっ……」
香りが変わって「やばっ」と思った時にはもう遅い。
僕の尾が彼の手に握り込まれ、ほぼ同時に唇も塞がれた。
「まだ時間はある」
ぞくぞくする声で囁かれ、そのまま朝の一戦に突入。
「おまえが触るから悪い」って、それは確かにそうなんだけど……!
実は体調悪いのかな、なんて心配しかけて損した。
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