どうやら悪の令息に転生したようだ

日村透

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堕ちた天使を狩る

202. 頑張りました≠できました*


 本日は短めです。

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 まず結果を言えば、俺は頑張った。
 ――『頑張った』って、便利な言葉だよな。我慢できましたとは言ってねぇもんな!
 いえその、頑張ったんです。

 仰向けよりうつぶせのほうが楽らしいとは聞いていたけれど(妹知識)実際にリシェルの様子を見ると、両手両足に重みが分散されるのもあって、余計な力が入らずに負担が少なそうだった。
 後ろからぴたりと密着しながら、ゆっくりすべてを埋め込む。
 やわらかくて熱い。抱きしめているのは俺のほうなのに、リシェルに全身を使って抱きしめられている心地になる。

 汗ばむ肌を撫でながら、俺の入っているであろう位置を指の腹で軽く押してやると、か細い鳴き声を上げて身をよじった。
 そのまま腹から胸へ撫で上げ、小さな粒を手探りで見つけてつまむ。
 むにむにと揉んでいたら、俺を埋め込んだ入り口が絞るように収縮し、中の蠕動ぜんどうが強くなった。

「あ、あぁあ……ん、ん……」
「くっ……ふぅ……!」

 一気に持っていかれそうになり、歯を食いしばる。
 自分の五感すべてがリシェル一人に集中し、ほかのことなんざ何もかも、どうでもいいという気分になる。
 とろけて俺を吸い込もうとするリシェルの中も、彼の甘えた涙まじりの声も、すべてが俺を魅了してやまない。
 負担を与えないようにゆるゆると動いてやれば、嬉しそうな嬌声が上がる。俺で気持ちよくなってくれているんだと思うと、とてつもない満足感と欲望が際限なく湧いてくる。

「リシェル……愛してるよ」
「っ……わたしも……ランハート……」

 子供の頃、まだリシェルに会っていなかった俺は、ここまで溺れることになるなんて思ってもみなかった。
 俺の人生リシェルに捧げてやるぜ! と胸を張って言い切れるお子様ではあったけどな。色恋の意味で言うと、最初からこんなに惚れていたわけではなかったと思う。
 初めて会った時は、彼のあまりに悲惨な状態に、とにかくこれを何とかせねばという使命感が先に来ていた。
 その後、改めてゆっくり会えた時、その瞬間に恋に落ちたのだ。
 ランハートに生まれ変わって人生初の、淡い初恋……思い返すとあの時の俺の情けない反応、こっ恥ずかしいぜ。

 淡い恋の芽吹きは、順調にすくすくすくすくと立派な大樹へと育ち、ついでに外敵用の威嚇物質を分泌できるようにまでなった。
 支配欲と独占欲のセットも強くたくましく育ち、今はもうこいつらをどっかに移住させるのはあきらめている。
 むしろこいつらは独り立ちさせたら危険な奴らだ。責任をもって、最後まで面倒を見ることにしたさ。

 リシェルのうなじを舐め、首輪を軽く食んだ。
 首に少しだけ歯が当たり、その拍子に腕の中の身体がぶるりと震えた。

「ランハート……! おねが、もっと、もっと奥、突いてぇ! お願いっ……」
「うっ! ……くっ、……す、少しだけ、な……?」
「やぁ!……おく、もっとぉ……! ……あぁ、わたし、こんな……」

 どろどろに崩れた理性と、わずかに残った理性の狭間――リシェルがそんな状態で、恥ずかしそうに切羽詰まった涙声でおねだりをしてくるんだぞ。
 これに耐えられるほど俺の理性に強度があると思うか?

 頑張ったよ!
 ……うん、頑張った。いつもよりな。当社比で。自社基準だ。
 努力の証拠が、二人とも寝坊をしなかった点っつうのがあれだけど。



 いつもよりほんの少ぉ~し遅めに起きて、照れ照れしながら部屋で一緒に朝メシを食べた。
 何でもない顔で、俺達のテーブルにミッテちゃん用の粟のお皿が置かれた時には、気まずいったらなかったね。
 ほんとごめんミッテちゃん。

「お気になさらず。見慣れておりますので」

 ……ソウダネ。愛くるしいピヨちゃんの姿で平気そうに言われてしまうと、それはそれで複雑なんだが。
 目の前でおっぱじめといて図々しいのは百も承知ですが、できれば観察はせずに、見ぬふりをしてくださるとありがたいです。
 ……リシェルにはこれ、言わないほうがいいだろうな。

 そのリシェルはどことなくつやつやとした表情で、もりもり朝食を平らげていた。
 俺と夜を過ごすようになってから、明らかに食事量が増えている。以前と比べてめちゃくちゃ体力を使うようになったもんな。
 だって夕食分のエネルギー、全部俺が消費させちまってるんだもんよ。今までと同じ量だと夜中に腹が減り、翌朝まで持たないのだ。
 マジごめんよ。


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