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18.美女になれない女は絶叫する
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旅を終えたシーリアはさっそく自分に見向きもしなくなったヴェイルスを振り向かせるために霊薬を一つ開発した。
言止めの能力を使わずには作れない霊薬だったため、日持ちはしなかったが、それでも一晩ぐらいは効力が続く優秀な薬だった。
霊薬が完成したその夜、シーリアはその薬を携え今晩一緒に過ごす美女に迷っているヴェイルスの部屋に突入した。
「ヴェイルス様!私の容姿の問題が解決したら抱いてくれますよね?」
またおかしなことを始めたと、ヴェイルスは警戒しながらも手を振ってシーリアを追い出しにかかった。
「俺が抱きたい女はこんな風に許可も得ずに部屋に飛び込んできて、男を脅すように抱いてくれなどと言わないものだ。とにかく気がむいたら顔を出してやるからお前は仕事でもしていろ」
ヴェイルスの小言を聞き流し、シーリアは開発した霊薬の瓶を開け、一気に飲み干した。
ぼんっと音がしてシーリアの体が白い煙に包まれ見えなくなった。
ヴェイルスは霊薬が音を立てて煙を吐くなど見たことも聞いたこともないと、不愉快な顔をし、また勝手に申請書を出したのかと書類の入った引き出しを開いた。
シーリアの姿を隠していた焦げ臭くもない白い煙がゆっくり晴れていく。
書類を手に取り、霊薬名に目を走らせながらちらりと顔を上げたヴェイルスが、絶句した。
「な、な、な、な……」
冷静沈着で、滅多に狼狽えることのないヴェイルスは、その光景に声を詰まらせ、目を剥いて口を開けた。手にした書類がひらひらと床に舞い落ちた。
目の前にはシーリアがよくするような得意げな顔をした、全くの別人が立っていた。
しかもそれは、目が覚めるような美女だったのだ。
金色の髪に宝石のように輝く紫の瞳、完璧に整った美貌としなやかで美しい体。
ヴェイルスはその姿を誰よりもよく知っていた。
「ラフィーニア……」
呆然と呟いた声に呼ばれたように、シーリアはラフィーニアの体のままヴェイルスの机の上に身を乗り出した。
「他の女の名前で呼ばれるのは不本意ですが、特別に許します。なにせ本命の方ですものね。どうです?抱きたくてたまらなくなりました?」
せっかくの美女であったが、口から出てきた言葉は性欲がそそられるものではなかった。おかげで冷静さを取り戻し、ヴェイルスはがっくりと椅子に腰を落とした。
「お前はなんというものを開発しているのだ。しかもここで開発する薬は監視されているし、さらに開発には申請がいる。その申請書にはなんと書いたのだ」
ヴェイルスは手にしていた書類が床に落ちていることにやっと気づき、椅子から立ちあがると体を屈めて拾い上げた。
「これか……報告ぐらいしろ」
霊薬の名前を読む。『永伝師ラフィーニア様の美貌が一時的に手に入る薬の開発申請』
「やっている間に、薬の効果が解けるなんてことがあったら興ざめだな……」
書類を机に投げ出し、ヴェイルスは好みの顔を見上げた。
顔だけ見れば確かに完璧な美女であり、血肉を備えたラフィーニアの姿だった。
しかし、中身がシーリアだと思うと驚くほど食指が動かない。
「あの方の中身がお前のようであったら、俺は失望しすぎて生きる気力を失いそうだな」
「遠目から見るだけでは中身なんてわからないじゃないですか!私みたいな人かもしれませんよ?」
シーリアは喰らい付いた。
「少なくとも風呂を入り忘れるような女性でないことは確かだ。身だしなみも整っているし、優雅なお辞儀も出来る」
「お辞儀ぐらい私にだってできますよ!」
シーリアは怒って叫んだが、こうなっては完璧な美貌も意味をなさなかった。ヴェイルスに部屋を追い出されながら、シーリアは最後にもう一度怒った。
ヴェイルスがその開発した薬を持って来いと命じたからだ。
「何に使うのですか?まさか自分で飲むつもりですか?!」
鏡の前でラフィーニアになった自分の姿に見惚れるつもりなのかとぞっとしたシーリアだったが、帰ってきた答えはもっと悪かった。
「中身がお前でなければ興味深い薬だ。そうだな、淑やかなレアナに飲ませてみるかな」
「な、な、な、なんということを!ヴェイルス様!あんまりですよ!」
言葉を詰まらせて怒るシーリアにヴェイルスは意地の悪い微笑みを向けた。
「シーリア、これは審議にかける必要がある。国に提出する薬は持続時間を短くすることだ。そうだな。一時間、いや、持続時間は三十分だ。あと、これは言止めの能力が必要だ。お前が認定されているのは第二階層程度だから、精度を少し下げておけ、その姿のままではだめだ」
いろいろ注文を付けられたシーリアはすごすごと引き下がったが、その修正のために数日間再び部屋に引きこもることになった。なにせ極上の美女から劣化させて普通の美女にしなければならなかったのだ。
完璧な美女を作るより難関だった。
それからしばらくの間、ヴェイルスの研究棟では永伝師のラフィーニアになりすます遊びが流行り、ヴェイルスの美女たちが毎日のようにラフィーニアの美貌を手に入れてはヴェイルスを誘惑しようと研究棟の中をいったりきたりするようになった。
ヴェイルスもすっかりラフィーニアが手元にきたらこうしよう、ああしようという欲求に任せ、楽しく遊んだが、シーリアの部屋には結局一度も足を運ばなかった。
その間、王都の王立霊薬総合研究所では、この不可解な霊薬に関する長い審議が行われていた。
大変画期的な新しい霊薬ではあったが、その審議会ではあまり活発な議論は行われなかった。
なにせ開発意図がラフィーニア似の美女をいつでも抱けるとあったのだ。
「ラフィーニア様似の美女……」
「見かけだけであれば害はないとは思うのですが……」
「開発の意図はこれで通していいのでしょうか?」
美女好きのヴェイルスの研究所からの申請書であるから、やはりヴェイルスが愛人たちに飲ませて遊ぶためだけのものではないかとその場にいた全員の頭に浮かんだが、王国に所属している以上個人的な利益のためだけの霊薬開発は認められていなかった。
しかし、誰もがこの霊薬に使い道を見出してはいたのだ。
審議官の男性陣はあからさまに賛成していいものか困惑し、女性陣も欲しい気はするが、それで男性たちが喜ぶのも気に入らず、どうにも複雑な表情だった。
「絵のモデルとか……」
誰かがぽつりと開発理由を思いついた。
裸のモデルは恥ずかしいものだが、別人の姿になれば恥ずかしくないかもしれない。
それ以外は下世話な理由しか思いつかなかった一同は、その霊薬の使用目的について『美女画のモデル用』としたのだ。
しかし、その霊薬が国立総合霊薬研究所で決められた使用目的で使われるとは誰も信じていなかった。
こうしてシーリアがヴェイルスに抱いてもらうために開発した画期的な霊薬は正式に国の審査を通過した。
ラフィーニアと瓜二つであれば王も良い顔はしなかっただろうが、申請したのはそっくりの美女だった。
モデルとなった女たちは美女狩りの第一人者として名高いヴェイルスが集めた研究棟の美女達であり、美女になれるといううたい文句に間違いはなかった。
瓜二つではなかったため、霊薬の名前が変更になった。
『永伝師ラフィーニア似の美女に一時的になれる薬』
審議官たちが思った通り、その霊薬は爆発的に売れたのだ。特に娼館ではどんなに容姿が悪くてもその霊薬を飲んで美女になれば客に高値で売れたため、量産するようにと要請がきたほどだった。
懐が潤い、ヴェイルスはご機嫌だったが、シーリアは作り続けなければならない霊薬が増えて散々だった。
せっかくヴェイルスに抱いてもらおうと作ったというのに、部屋を片付け、風呂に入る暇すらなくなったのだ。
加えて勃起薬も人気で、作成中にはつねに男の生殖器を想像しなければならなかった。
欲求不満にはなるし、いくら美女に化けたとしても、風呂に入る暇もない美女はやはりヴェイルスにとってお呼びで無かった。
とある、窓を閉めるのがもったいないような夜風の気持ちの良い日、ヴェイルスと階下の美女との逢瀬の声が夜気を震わせた。
するとその上の階から、その色っぽい声をかき消すような絶叫が轟いた。
「うぎゃあああっ!」
それは霊薬作りで缶詰になっている欲求不満のシーリアの声だった。
遠吠えのような叫びが長く続くと、研究棟のいたるところから今度は窓を閉める音が聞こえ始めた。
シーリアはヴェイルスに腹を立てていたが、この叫びは少しばかりヴェイルスにささやかな仕返しをした。
その後、しばらくして玄関先を見張っていた兵士が大きな音で扉を叩き、何か異変でもあったのかと問いかけたのだ。
ちょうど美女と楽しく遊んでいたヴェイルスは裸に前開きの夜着をひっかけ、何でもないと告げるために玄関まで出て行く羽目に陥った。
門番を持ち場に帰らせたヴェイルスは、静かになった四階のシーリアの部屋の窓を見上げ、いまいまし気に小さく舌を鳴らしたのだった。
言止めの能力を使わずには作れない霊薬だったため、日持ちはしなかったが、それでも一晩ぐらいは効力が続く優秀な薬だった。
霊薬が完成したその夜、シーリアはその薬を携え今晩一緒に過ごす美女に迷っているヴェイルスの部屋に突入した。
「ヴェイルス様!私の容姿の問題が解決したら抱いてくれますよね?」
またおかしなことを始めたと、ヴェイルスは警戒しながらも手を振ってシーリアを追い出しにかかった。
「俺が抱きたい女はこんな風に許可も得ずに部屋に飛び込んできて、男を脅すように抱いてくれなどと言わないものだ。とにかく気がむいたら顔を出してやるからお前は仕事でもしていろ」
ヴェイルスの小言を聞き流し、シーリアは開発した霊薬の瓶を開け、一気に飲み干した。
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ヴェイルスは霊薬が音を立てて煙を吐くなど見たことも聞いたこともないと、不愉快な顔をし、また勝手に申請書を出したのかと書類の入った引き出しを開いた。
シーリアの姿を隠していた焦げ臭くもない白い煙がゆっくり晴れていく。
書類を手に取り、霊薬名に目を走らせながらちらりと顔を上げたヴェイルスが、絶句した。
「な、な、な、な……」
冷静沈着で、滅多に狼狽えることのないヴェイルスは、その光景に声を詰まらせ、目を剥いて口を開けた。手にした書類がひらひらと床に舞い落ちた。
目の前にはシーリアがよくするような得意げな顔をした、全くの別人が立っていた。
しかもそれは、目が覚めるような美女だったのだ。
金色の髪に宝石のように輝く紫の瞳、完璧に整った美貌としなやかで美しい体。
ヴェイルスはその姿を誰よりもよく知っていた。
「ラフィーニア……」
呆然と呟いた声に呼ばれたように、シーリアはラフィーニアの体のままヴェイルスの机の上に身を乗り出した。
「他の女の名前で呼ばれるのは不本意ですが、特別に許します。なにせ本命の方ですものね。どうです?抱きたくてたまらなくなりました?」
せっかくの美女であったが、口から出てきた言葉は性欲がそそられるものではなかった。おかげで冷静さを取り戻し、ヴェイルスはがっくりと椅子に腰を落とした。
「お前はなんというものを開発しているのだ。しかもここで開発する薬は監視されているし、さらに開発には申請がいる。その申請書にはなんと書いたのだ」
ヴェイルスは手にしていた書類が床に落ちていることにやっと気づき、椅子から立ちあがると体を屈めて拾い上げた。
「これか……報告ぐらいしろ」
霊薬の名前を読む。『永伝師ラフィーニア様の美貌が一時的に手に入る薬の開発申請』
「やっている間に、薬の効果が解けるなんてことがあったら興ざめだな……」
書類を机に投げ出し、ヴェイルスは好みの顔を見上げた。
顔だけ見れば確かに完璧な美女であり、血肉を備えたラフィーニアの姿だった。
しかし、中身がシーリアだと思うと驚くほど食指が動かない。
「あの方の中身がお前のようであったら、俺は失望しすぎて生きる気力を失いそうだな」
「遠目から見るだけでは中身なんてわからないじゃないですか!私みたいな人かもしれませんよ?」
シーリアは喰らい付いた。
「少なくとも風呂を入り忘れるような女性でないことは確かだ。身だしなみも整っているし、優雅なお辞儀も出来る」
「お辞儀ぐらい私にだってできますよ!」
シーリアは怒って叫んだが、こうなっては完璧な美貌も意味をなさなかった。ヴェイルスに部屋を追い出されながら、シーリアは最後にもう一度怒った。
ヴェイルスがその開発した薬を持って来いと命じたからだ。
「何に使うのですか?まさか自分で飲むつもりですか?!」
鏡の前でラフィーニアになった自分の姿に見惚れるつもりなのかとぞっとしたシーリアだったが、帰ってきた答えはもっと悪かった。
「中身がお前でなければ興味深い薬だ。そうだな、淑やかなレアナに飲ませてみるかな」
「な、な、な、なんということを!ヴェイルス様!あんまりですよ!」
言葉を詰まらせて怒るシーリアにヴェイルスは意地の悪い微笑みを向けた。
「シーリア、これは審議にかける必要がある。国に提出する薬は持続時間を短くすることだ。そうだな。一時間、いや、持続時間は三十分だ。あと、これは言止めの能力が必要だ。お前が認定されているのは第二階層程度だから、精度を少し下げておけ、その姿のままではだめだ」
いろいろ注文を付けられたシーリアはすごすごと引き下がったが、その修正のために数日間再び部屋に引きこもることになった。なにせ極上の美女から劣化させて普通の美女にしなければならなかったのだ。
完璧な美女を作るより難関だった。
それからしばらくの間、ヴェイルスの研究棟では永伝師のラフィーニアになりすます遊びが流行り、ヴェイルスの美女たちが毎日のようにラフィーニアの美貌を手に入れてはヴェイルスを誘惑しようと研究棟の中をいったりきたりするようになった。
ヴェイルスもすっかりラフィーニアが手元にきたらこうしよう、ああしようという欲求に任せ、楽しく遊んだが、シーリアの部屋には結局一度も足を運ばなかった。
その間、王都の王立霊薬総合研究所では、この不可解な霊薬に関する長い審議が行われていた。
大変画期的な新しい霊薬ではあったが、その審議会ではあまり活発な議論は行われなかった。
なにせ開発意図がラフィーニア似の美女をいつでも抱けるとあったのだ。
「ラフィーニア様似の美女……」
「見かけだけであれば害はないとは思うのですが……」
「開発の意図はこれで通していいのでしょうか?」
美女好きのヴェイルスの研究所からの申請書であるから、やはりヴェイルスが愛人たちに飲ませて遊ぶためだけのものではないかとその場にいた全員の頭に浮かんだが、王国に所属している以上個人的な利益のためだけの霊薬開発は認められていなかった。
しかし、誰もがこの霊薬に使い道を見出してはいたのだ。
審議官の男性陣はあからさまに賛成していいものか困惑し、女性陣も欲しい気はするが、それで男性たちが喜ぶのも気に入らず、どうにも複雑な表情だった。
「絵のモデルとか……」
誰かがぽつりと開発理由を思いついた。
裸のモデルは恥ずかしいものだが、別人の姿になれば恥ずかしくないかもしれない。
それ以外は下世話な理由しか思いつかなかった一同は、その霊薬の使用目的について『美女画のモデル用』としたのだ。
しかし、その霊薬が国立総合霊薬研究所で決められた使用目的で使われるとは誰も信じていなかった。
こうしてシーリアがヴェイルスに抱いてもらうために開発した画期的な霊薬は正式に国の審査を通過した。
ラフィーニアと瓜二つであれば王も良い顔はしなかっただろうが、申請したのはそっくりの美女だった。
モデルとなった女たちは美女狩りの第一人者として名高いヴェイルスが集めた研究棟の美女達であり、美女になれるといううたい文句に間違いはなかった。
瓜二つではなかったため、霊薬の名前が変更になった。
『永伝師ラフィーニア似の美女に一時的になれる薬』
審議官たちが思った通り、その霊薬は爆発的に売れたのだ。特に娼館ではどんなに容姿が悪くてもその霊薬を飲んで美女になれば客に高値で売れたため、量産するようにと要請がきたほどだった。
懐が潤い、ヴェイルスはご機嫌だったが、シーリアは作り続けなければならない霊薬が増えて散々だった。
せっかくヴェイルスに抱いてもらおうと作ったというのに、部屋を片付け、風呂に入る暇すらなくなったのだ。
加えて勃起薬も人気で、作成中にはつねに男の生殖器を想像しなければならなかった。
欲求不満にはなるし、いくら美女に化けたとしても、風呂に入る暇もない美女はやはりヴェイルスにとってお呼びで無かった。
とある、窓を閉めるのがもったいないような夜風の気持ちの良い日、ヴェイルスと階下の美女との逢瀬の声が夜気を震わせた。
するとその上の階から、その色っぽい声をかき消すような絶叫が轟いた。
「うぎゃあああっ!」
それは霊薬作りで缶詰になっている欲求不満のシーリアの声だった。
遠吠えのような叫びが長く続くと、研究棟のいたるところから今度は窓を閉める音が聞こえ始めた。
シーリアはヴェイルスに腹を立てていたが、この叫びは少しばかりヴェイルスにささやかな仕返しをした。
その後、しばらくして玄関先を見張っていた兵士が大きな音で扉を叩き、何か異変でもあったのかと問いかけたのだ。
ちょうど美女と楽しく遊んでいたヴェイルスは裸に前開きの夜着をひっかけ、何でもないと告げるために玄関まで出て行く羽目に陥った。
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