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孤独の星
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ある冬の日、一つの星が北の山に降り立った。
故郷を失くした孤独な星は、愛されたいと望み、その方法を探した。
シャラという名前の女性になり、光を売って世界に馴染もうとした。
どんなものにも光を与え、輝かせることの出来る能力で、シャラは多くの人を魅了した。
孤独な星は第二の故郷を求め、全ての人に愛されようと努力した。
しかしそれを不誠実だと人々は責めた。
他にない能力を持つシャラを、魔物ではないかと誰かが言い出した。
光で人々を誘い出し、男の心を弄び、財を成す悪女と呼ばれ、シャラはその世界に嫌われた。
空を見上げ、シャラは次の故郷を願った。
しかし奇跡は起こらなかった。
誰かが手を差し伸べてくれることもなく、シャラは危険人物として牢に入れられ、国のために光を作るばかりの存在になった。
ある夜、シャラは故郷の夢を見た。
光輝く星々の楽園。
なぜ滅んでしまったのか、その理由は最後までわからなかった。
そしてシャラにはなぜこの世界の人々に嫌われたのか、それも理解出来なかった。
理解されない苦しみを抱え、シャラは黒い光を宿した。
光を内に抱え込み、誰にもその光を与えようとはしなかった。
シャラを危険視しながらも、その能力を便利に使ってきた王国の人々は困り果てた。
光を求めて王城に殺到し、国の役人たちはシャラを拷問し光を作らせようとした。
愛されたいと願い、故郷が欲しいと願った。
それが自分の罪なのだとシャラはそう思った。
内なる光を燃やし尽くし、シャラは黒い石となった。
地上の武器では破壊出来ないほど硬いその石を、国は不吉な物として北の山に運び、凍てついた雪の中に埋めてしまった。
星が瞬く夜、災厄が降ってきた。
黒く巨大なものが降り注ぎ、地上の光を消し去った。
世界が闇に包まれようとする中で、シャラが残した光だけが闇を跳ねのけ輝いていた。
光を作ることの出来るシャラをなぜ大切に扱わなかったのか、人々は王国を非難した。
誰もが罪をなすりつけ、誰かに責任を取らせようと騒ぎ出す。
王国は騎士達を派遣し、北の山に埋めたシャラを掘り返した。
硬く黒いその石は、シャラの姿を保ったままひんやりと地面の下に眠っていた。
その時、騎士の一人がその石を軽々と持ち上げた。
「これは光の一族の生き残り。これは報いだ。お前達の世界は闇に包まれる」
人間に化けていた闇をまとったその男は、シャラを連れて世界の果てに建てた城に飛んで戻った。
石になったシャラを王座の隣に置き、闇をまとった男はそれを眺めた。
「愛されぬ者同士、私達は永遠に共にいるべきだ」
愛されたいと願ったシャラはその言葉に目を覚ました。
故郷を滅ぼした憎い敵を前に、孤独でいることと復讐を遂げることを天秤にかけ、答えを出せず泣き崩れた。
闇をまとう男はシャラの憎しみを知り、寂しそうに笑った。
理解されない孤独の中で、二人は背を向け別々の王座に座った。
そのうち闇をまとう男は出て行った。
世界は闇に染まり、人々は暗闇にわずかな火を灯し、細々と生きた。
シャラは光を生みだし、空に放った。
光を求め人々はやってきたが、シャラは人を恐れて闇に隠れた。
故郷は消え、愛も信じられず、シャラは永遠の眠りにつこうとした。
その時、闇の中で産声が聞こえた。
捨てられた人の子を見つけたシャラは、その子に光を与えた。
光を宿したその子供は人々の希望となった。
闇を打ち払い、光りある世界を作り出すため、闇の王に戦いを挑んだ。
闇の王はシャラのもとに戻り、言葉を残した。
光ある場所に私は行けない。
愛を求め、光を求め、宇宙をさまよい君のもとに辿り着いたが、私は受け入れてもらえなかった。
君の星を滅ぼすつもりはなかった。
ただそこに入ってみたかっただけだ。
君を傷つけた人間を殺し尽くしたら、ここにまた戻ってくる。
闇の王は倒され、人の世界が戻ってきた。
誰にも理解されず、誰にも受け入れてもらえない。
そんな孤独を作り上げた闇の王を憎みながらも、その心は理解出来ないものではなかった。
あるがままで生きられない。
そんな苦痛を抱えたまま、闇をまといし男は死んだ。
シャラはその亡骸にそっと手を添える。
一緒に生きることは出来ないけれど、その心には寄り添う瞬間があっても良かった。
理解されない苦しみを抱え、孤独に生きた星同士、シャラは一粒の涙を落とした。
シャラに光を与えられた人の子は、ようやくシャラのもとに辿り着く。
そこには女性の姿をした黒岩が、闇の王の亡骸の傍に立っていた。
ただの光が空から降り注ぎ、二つの物を平等に照らしている。
そんな光景を、光を宿した人の子は、ただ黙って見つめていた。
静かな夜に闇は生まれた。
霧の中に差し込む朝日から、光が生まれた。
見つめ合い、手を取り合い、他を知らない二つの星は混ざり合って天に上った。
理解されない痛みも知らず、愛があることすらも知らず。
知っているのは互いだけ。
光も闇も穏やかに人の世界に横たわる。
優しい夜に、灯りをともし、母が子供に本を読む。
故郷を失くした孤独な星は、愛されたいと望み、その方法を探した。
シャラという名前の女性になり、光を売って世界に馴染もうとした。
どんなものにも光を与え、輝かせることの出来る能力で、シャラは多くの人を魅了した。
孤独な星は第二の故郷を求め、全ての人に愛されようと努力した。
しかしそれを不誠実だと人々は責めた。
他にない能力を持つシャラを、魔物ではないかと誰かが言い出した。
光で人々を誘い出し、男の心を弄び、財を成す悪女と呼ばれ、シャラはその世界に嫌われた。
空を見上げ、シャラは次の故郷を願った。
しかし奇跡は起こらなかった。
誰かが手を差し伸べてくれることもなく、シャラは危険人物として牢に入れられ、国のために光を作るばかりの存在になった。
ある夜、シャラは故郷の夢を見た。
光輝く星々の楽園。
なぜ滅んでしまったのか、その理由は最後までわからなかった。
そしてシャラにはなぜこの世界の人々に嫌われたのか、それも理解出来なかった。
理解されない苦しみを抱え、シャラは黒い光を宿した。
光を内に抱え込み、誰にもその光を与えようとはしなかった。
シャラを危険視しながらも、その能力を便利に使ってきた王国の人々は困り果てた。
光を求めて王城に殺到し、国の役人たちはシャラを拷問し光を作らせようとした。
愛されたいと願い、故郷が欲しいと願った。
それが自分の罪なのだとシャラはそう思った。
内なる光を燃やし尽くし、シャラは黒い石となった。
地上の武器では破壊出来ないほど硬いその石を、国は不吉な物として北の山に運び、凍てついた雪の中に埋めてしまった。
星が瞬く夜、災厄が降ってきた。
黒く巨大なものが降り注ぎ、地上の光を消し去った。
世界が闇に包まれようとする中で、シャラが残した光だけが闇を跳ねのけ輝いていた。
光を作ることの出来るシャラをなぜ大切に扱わなかったのか、人々は王国を非難した。
誰もが罪をなすりつけ、誰かに責任を取らせようと騒ぎ出す。
王国は騎士達を派遣し、北の山に埋めたシャラを掘り返した。
硬く黒いその石は、シャラの姿を保ったままひんやりと地面の下に眠っていた。
その時、騎士の一人がその石を軽々と持ち上げた。
「これは光の一族の生き残り。これは報いだ。お前達の世界は闇に包まれる」
人間に化けていた闇をまとったその男は、シャラを連れて世界の果てに建てた城に飛んで戻った。
石になったシャラを王座の隣に置き、闇をまとった男はそれを眺めた。
「愛されぬ者同士、私達は永遠に共にいるべきだ」
愛されたいと願ったシャラはその言葉に目を覚ました。
故郷を滅ぼした憎い敵を前に、孤独でいることと復讐を遂げることを天秤にかけ、答えを出せず泣き崩れた。
闇をまとう男はシャラの憎しみを知り、寂しそうに笑った。
理解されない孤独の中で、二人は背を向け別々の王座に座った。
そのうち闇をまとう男は出て行った。
世界は闇に染まり、人々は暗闇にわずかな火を灯し、細々と生きた。
シャラは光を生みだし、空に放った。
光を求め人々はやってきたが、シャラは人を恐れて闇に隠れた。
故郷は消え、愛も信じられず、シャラは永遠の眠りにつこうとした。
その時、闇の中で産声が聞こえた。
捨てられた人の子を見つけたシャラは、その子に光を与えた。
光を宿したその子供は人々の希望となった。
闇を打ち払い、光りある世界を作り出すため、闇の王に戦いを挑んだ。
闇の王はシャラのもとに戻り、言葉を残した。
光ある場所に私は行けない。
愛を求め、光を求め、宇宙をさまよい君のもとに辿り着いたが、私は受け入れてもらえなかった。
君の星を滅ぼすつもりはなかった。
ただそこに入ってみたかっただけだ。
君を傷つけた人間を殺し尽くしたら、ここにまた戻ってくる。
闇の王は倒され、人の世界が戻ってきた。
誰にも理解されず、誰にも受け入れてもらえない。
そんな孤独を作り上げた闇の王を憎みながらも、その心は理解出来ないものではなかった。
あるがままで生きられない。
そんな苦痛を抱えたまま、闇をまといし男は死んだ。
シャラはその亡骸にそっと手を添える。
一緒に生きることは出来ないけれど、その心には寄り添う瞬間があっても良かった。
理解されない苦しみを抱え、孤独に生きた星同士、シャラは一粒の涙を落とした。
シャラに光を与えられた人の子は、ようやくシャラのもとに辿り着く。
そこには女性の姿をした黒岩が、闇の王の亡骸の傍に立っていた。
ただの光が空から降り注ぎ、二つの物を平等に照らしている。
そんな光景を、光を宿した人の子は、ただ黙って見つめていた。
静かな夜に闇は生まれた。
霧の中に差し込む朝日から、光が生まれた。
見つめ合い、手を取り合い、他を知らない二つの星は混ざり合って天に上った。
理解されない痛みも知らず、愛があることすらも知らず。
知っているのは互いだけ。
光も闇も穏やかに人の世界に横たわる。
優しい夜に、灯りをともし、母が子供に本を読む。
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