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1.見世物
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赤い砂嵐が吹き荒れる大地の向こうは、常に白く霞んでいる。
日中は穏やかな陽気に包まれるが、深夜になれば息さえ出来ないほど冷え込み、全ての命は凍り付いてしまう。
そんな過酷な土地に作られた巨大な半円型のドームに包まれた巨大都市アーブの中で、人々は豊かな暮らしを送っている。
命の危険に晒されることなく、奴隷を使い彼らは食料を自給自足し、毎日、楽しく暮らすための余興を考えるのに忙しい。
そんなアーブのとある娼館内で、町の外にある赤茶けた大地を眺めていたミアは、体を回転させ、反対側の窓に額を押し付けた。
そこは娼館内のステージがある広間と二階席の間にある配管室で、格子状の窓が小さく取り付けられている。
従業員でも滅多に入ってこないその場所は、ステージをこっそり見学するためにミアが見つけた隠れ場所だった。
淡いオレンジの光に包まれたステージ上には一人の男が鎖で吊り下げられている。
両手を広げた状態で吊るされ、膝は床についた状態だ。
股間のものは根元で縛られているが、赤くそそり立っている。
精力剤を飲まされ、射精管理された奴隷は、淫靡な表情で舌を出し、とろりとした目を虚空に彷徨わせている。
女達がステージにあがり、奴隷に尻を向けて四つん這いになる。
後ろから大男が現れ、奴隷の男の尻に先の丸まった棒を差し込んだ。
途端に体をのけぞらせ、奴隷の男が喘ぎながら腰を前にふりだした。
四つん這いの女の中に肉棒が入り込み、女もまた恍惚とした表情で首をのけぞらせる。
棒で突かれるたびに、奴隷の男は腰を振り、女を犯し続けるが、その睾丸さえ鉄の網に包まれている。
達することも出来ないのに泣きながら腰をふる奴隷の男を眺め、観客たちが野次を飛ばし楽しんでいる。
ミアは奴隷の男の様子を冷静に観察し、それから血の滴る棒の方に視線を向けた。
媚薬を塗ったその棒には、さらに奴隷の男を苦しめるための工夫がされている。
中から白濁した液体が出るのだ。
男としての尊厳をことごとく破壊するような出し物は、一日に二回行われ、特にリブの出演する回は大盛況だった。
凛々しい顔が赤く染まり、掠れた声で紐をほどいて欲しいと懇願する。
その声が枯れるほど前も後ろも犯し抜き、両手を吊られたままの状態で、最後に股間の戒めを解いてやる。
手で触れることもなく、リブは腰を虚空に振りながら達してしまうのだ。
その情けない姿を前に、観客たちは手を叩きながら歓声を上げる。
興奮した観客たちは娼婦を買い、または部屋を借りて娼館内で金を落とす。
最高に儲かる出しものだった。
リブの悲鳴が最高潮に高まり、戒めを解いてくれと懇願し泣き出した。
そろそろ出しものも終わりだと見て、ミアは配管室の中を這い出した。
控えの間に滑り降り、小さな部屋に山積みになっている衣装の中から、布面積の少ない赤いドレスを引っ張り出す。
胸の部分が丸く穴の開いた卑猥なデザインで、客に特に人気がある。
大歓声が聞こえ、しばらくして扉が鳴った。
「どうぞー」
ミアが声をあげると、扉が開き、先ほどの出し物で主役を務めたリブが入ってきた。
「出番だろう?これを返すよ」
リブの乳首には金色のピアスが嵌められている。
出番直前に、紛失して探し回っていたため、ミアが自分の物を貸したのだ。
髪を結い上げていたミアは、リブの股間を見て顔をしかめた。
戒めはとれたが、睾丸は赤く腫れ、酷使された棒の部分も張り詰めたままだ。
「大丈夫?薬があるけど」
小さな注射器を鏡台の引き出しから取り出し、ミアが差し出した。
リブは椅子を引いてすわりながら股間を開き、その根元に注射器を打ち込む。
小さなカプセル状の薬が滑り込み、あっという間に吸収された。
「俺の役目は今月で終わりだ」
「え?!どうして?」
髪から手を放し、ミアはリブの向かいに椅子を引いて座った。
見事に鍛えられたリブの体には、さらに筋肉を美しく見せるために香油が塗られている。
浅黒く、しまった体は男にも女にも人気がある。
「実は……部品が一部入手できない。進化するには費用がかかるし、俺はここまでだ」
「そんな……」
何でも揃っている巨大都市アーブだが、旧式の奴隷の部品は欠品しがちだ。
巨大隕石の衝突で滅びた、古代都市シーラにはまだ部品が残っているが、過酷な外の環境のせいで命を落とす事も多く、危険を冒して部品を探しに行く者も減ってしまった。
古い部品を取ってくるより、新しく作った方が儲かるのだ。
リブは仕方がないと微笑み、金のピアスを乳首から外し、ミアの乳首に嵌めてやった。
その先に小さな鈴をつける。
落ちていたガラクタからリブが作ったもので、雫型をしている。
ミアはうれしそうにそれを指ではじいて音を鳴らした。
卑猥な飾りをつけ終え、ミアはにっこり微笑んだ。
「リブ、いつもの場所で見ていてね。終わったら行くから」
「ああ」
リブも優しく微笑む。
二人は同時期にこの娼館に売られてきた。
見世物の出番も近かったことから、同じ時間を過ごすことも多く、互いの衣装や装飾品に気を配り、主人たちの機嫌を損ねないように協力し合ってきた。
一緒に楽しく働いてきたが、部品の消耗問題は旧式の二人にとっては死活問題であり、主人が交換しないといえばそれで終わりだった。
ミアが部屋を出ていくと、リブは椅子を部屋の片隅に引っ張って行き、排気口から天井裏に上がった。
そこから腹ばいになり、ステージの歓声が聞こえてくるところまで進み、二階席とステージの間にある排気口からミアの姿を探す。
小さな四角い窓からステージ上に上がるミアの姿が見えた。
胸の開いた赤いドレスを身にまとい、乳首には金色のピアスがはまっている。
雫型の鈴が揺れ、魚の尾ひれのように長いドレスの裾が虚空にたなびいた。
天井から四本の鎖が垂れ下がっている。
仰向けの状態で両手両足をつられ、背もたれが斜めになっている台に座らされる。
ミアの視線の先から鉄の檻が現れた。
残酷な出し物の始まりに、熱気を帯びた歓声があがった。
調教師が檻の扉を開けた。
長い涎を垂らした巨大な犬型の獣が現れる。
その狂暴な目は赤く燃え、醜い腹の下にはおぞましい棒がそそり立っている。
ミアの悲鳴があがった。
「きゃあああああっ」
悲痛な声を上げ、鎖で繋がれた手足をばたつかせる。
ミアの迫真の演技は評判も良く、嗜虐思考の常連客が増えている。
恐怖に青ざめるミアの顔に照明が向けられる。
鈴が可憐な音を立てて揺れ、ミアの髪が台の上からこぼれおちる。
胸をのけぞらせ、少しでも後ろに下がろうと腰を揺らすと、その股間に鞭が打ち付けられた。
「ああっ」
痛みのあまり、鞭を避けようとしても、開かされた両足は吊り上げられているため逃げようがない。
巨大な獣の体が迫ってくると、ミアはわざわざ観客席に顔を向け、歯を鳴らして震え出した。
獣の前足がミアの乗っている台に置かれ、華奢な体にその毛深い体がのしかかる。
調教師が観客に見えるように獣の股間を掴んで見せた。
巨大なそれは先端が膨れ、透明な液体で濡れている。
悲惨な出し物に、観客からも悲鳴があがる。
男達に連れてこられた女客の中には、正視できず逃げ出す者もいる。
再びミアの悲鳴があがった。
じわじわと体内に飲み込まれていく狂暴な肉塊に照明が当てられ、その悲惨なありさまが観客によく見えるようにステージがゆっくり回転を始める。
獣が腰を振り出すと、ミアの悲鳴は少しずつ変化し、甘い響きを帯び始める。
鈴を揺らす乳首に、鞭が振り下ろされ、甘い声が響き渡った。
「んっ!ああっ」
痛みと快感に翻弄され、ミアはひたすら凌辱され続ける。
興奮した客が女を買い、さらに部屋を借り、さらに酒の注文が入る。
客席は満席で、退屈していた客は熱狂し、さらに獣を焚きつけるように叫び続ける。
調教師も鞭をふるって獣をせかし、最後は壊れるのではないかと思うほどの腰遣いで獣は大量の液体を吐き出した。
檻が撤去されると、ぽっかりと開いたミアの穴がお披露目となる。
回転するステージの上に、くじで当たった客があがり、その中を覗き込み、金を払ってその状態のミアを犯し始める。
たっぷり二時間のステージが終わると、鎖は外され、ミアはふらふらと立ち上がった。
疲れ切った表情で微笑み、軽くお辞儀をする。
次の出し物のために場所を空ける必要があるため、ミアは急いで舞台袖にはけた。
しばらく待つと、ミアが配管室の中を這って現れた。
「見てくれた?」
明るいミアの表情に、リブも微笑みを返し、その体を引き寄せ腕に抱きしめる。
「私も今日の出し物で壊れたかもしれないわ」
「そうなのか?部品の確認はしてもらったか?男と違って女は部品に余裕があると聞いている。あとで部品室に行ってみよう」
ミアは体を少しだけ起こし、仰向けのリブの上に這いあがった。
低い天井に気を付けながらリブに口づけをする。
唇を離すと、二人は顔を見合わせた。
微笑みながらも不思議そうに二人は首を傾けた。
時々、体を重ね、口づけをしたくなる。
客もいないし、主人からの命令もないのに、二人はまるで一体として作られたかのようにくっついている方が良い気がするのだ。
作られた年代が近いからかもしれないとリブは言ったが、ミアはもしかしたら同じ部品を分け合って作られたのかもしれないと言った。
それが証拠に、体を重ねると壊れかけた部分も修復されていく気がするのだ。
「同じ開発室で生まれたのかもしれない」
だとしても、何が変わるわけでもない。
ミアはリブがいなくなった後のことを考えた。
この狭い隠れ場所にリブは来なくなる。
右の窓から赤茶けた過酷な大地が見える。
左の排気口からは娼館のステージが見える。
水蒸気が走る配管の音と、客達の歓声、それから砂嵐の音。
この景色も音も、リブと共有することが出来なくなる。
そう考えると、なんだか落ち着かない気持ちが沸き上がる。
この気持ちを何と呼ぶのか、ミアはわからなかった。
「ミア、そろそろ戻ろう。客が入るかもしれない」
出し者に使われた奴隷も、普通に客をとらされる。
二人は声を出さないようにゆっくりと控室に戻って行った。
その三日後、リブはステージに上がらなかった。
ミアはその日の夜、リブを探しに外に出た。
日中は穏やかな陽気に包まれるが、深夜になれば息さえ出来ないほど冷え込み、全ての命は凍り付いてしまう。
そんな過酷な土地に作られた巨大な半円型のドームに包まれた巨大都市アーブの中で、人々は豊かな暮らしを送っている。
命の危険に晒されることなく、奴隷を使い彼らは食料を自給自足し、毎日、楽しく暮らすための余興を考えるのに忙しい。
そんなアーブのとある娼館内で、町の外にある赤茶けた大地を眺めていたミアは、体を回転させ、反対側の窓に額を押し付けた。
そこは娼館内のステージがある広間と二階席の間にある配管室で、格子状の窓が小さく取り付けられている。
従業員でも滅多に入ってこないその場所は、ステージをこっそり見学するためにミアが見つけた隠れ場所だった。
淡いオレンジの光に包まれたステージ上には一人の男が鎖で吊り下げられている。
両手を広げた状態で吊るされ、膝は床についた状態だ。
股間のものは根元で縛られているが、赤くそそり立っている。
精力剤を飲まされ、射精管理された奴隷は、淫靡な表情で舌を出し、とろりとした目を虚空に彷徨わせている。
女達がステージにあがり、奴隷に尻を向けて四つん這いになる。
後ろから大男が現れ、奴隷の男の尻に先の丸まった棒を差し込んだ。
途端に体をのけぞらせ、奴隷の男が喘ぎながら腰を前にふりだした。
四つん這いの女の中に肉棒が入り込み、女もまた恍惚とした表情で首をのけぞらせる。
棒で突かれるたびに、奴隷の男は腰を振り、女を犯し続けるが、その睾丸さえ鉄の網に包まれている。
達することも出来ないのに泣きながら腰をふる奴隷の男を眺め、観客たちが野次を飛ばし楽しんでいる。
ミアは奴隷の男の様子を冷静に観察し、それから血の滴る棒の方に視線を向けた。
媚薬を塗ったその棒には、さらに奴隷の男を苦しめるための工夫がされている。
中から白濁した液体が出るのだ。
男としての尊厳をことごとく破壊するような出し物は、一日に二回行われ、特にリブの出演する回は大盛況だった。
凛々しい顔が赤く染まり、掠れた声で紐をほどいて欲しいと懇願する。
その声が枯れるほど前も後ろも犯し抜き、両手を吊られたままの状態で、最後に股間の戒めを解いてやる。
手で触れることもなく、リブは腰を虚空に振りながら達してしまうのだ。
その情けない姿を前に、観客たちは手を叩きながら歓声を上げる。
興奮した観客たちは娼婦を買い、または部屋を借りて娼館内で金を落とす。
最高に儲かる出しものだった。
リブの悲鳴が最高潮に高まり、戒めを解いてくれと懇願し泣き出した。
そろそろ出しものも終わりだと見て、ミアは配管室の中を這い出した。
控えの間に滑り降り、小さな部屋に山積みになっている衣装の中から、布面積の少ない赤いドレスを引っ張り出す。
胸の部分が丸く穴の開いた卑猥なデザインで、客に特に人気がある。
大歓声が聞こえ、しばらくして扉が鳴った。
「どうぞー」
ミアが声をあげると、扉が開き、先ほどの出し物で主役を務めたリブが入ってきた。
「出番だろう?これを返すよ」
リブの乳首には金色のピアスが嵌められている。
出番直前に、紛失して探し回っていたため、ミアが自分の物を貸したのだ。
髪を結い上げていたミアは、リブの股間を見て顔をしかめた。
戒めはとれたが、睾丸は赤く腫れ、酷使された棒の部分も張り詰めたままだ。
「大丈夫?薬があるけど」
小さな注射器を鏡台の引き出しから取り出し、ミアが差し出した。
リブは椅子を引いてすわりながら股間を開き、その根元に注射器を打ち込む。
小さなカプセル状の薬が滑り込み、あっという間に吸収された。
「俺の役目は今月で終わりだ」
「え?!どうして?」
髪から手を放し、ミアはリブの向かいに椅子を引いて座った。
見事に鍛えられたリブの体には、さらに筋肉を美しく見せるために香油が塗られている。
浅黒く、しまった体は男にも女にも人気がある。
「実は……部品が一部入手できない。進化するには費用がかかるし、俺はここまでだ」
「そんな……」
何でも揃っている巨大都市アーブだが、旧式の奴隷の部品は欠品しがちだ。
巨大隕石の衝突で滅びた、古代都市シーラにはまだ部品が残っているが、過酷な外の環境のせいで命を落とす事も多く、危険を冒して部品を探しに行く者も減ってしまった。
古い部品を取ってくるより、新しく作った方が儲かるのだ。
リブは仕方がないと微笑み、金のピアスを乳首から外し、ミアの乳首に嵌めてやった。
その先に小さな鈴をつける。
落ちていたガラクタからリブが作ったもので、雫型をしている。
ミアはうれしそうにそれを指ではじいて音を鳴らした。
卑猥な飾りをつけ終え、ミアはにっこり微笑んだ。
「リブ、いつもの場所で見ていてね。終わったら行くから」
「ああ」
リブも優しく微笑む。
二人は同時期にこの娼館に売られてきた。
見世物の出番も近かったことから、同じ時間を過ごすことも多く、互いの衣装や装飾品に気を配り、主人たちの機嫌を損ねないように協力し合ってきた。
一緒に楽しく働いてきたが、部品の消耗問題は旧式の二人にとっては死活問題であり、主人が交換しないといえばそれで終わりだった。
ミアが部屋を出ていくと、リブは椅子を部屋の片隅に引っ張って行き、排気口から天井裏に上がった。
そこから腹ばいになり、ステージの歓声が聞こえてくるところまで進み、二階席とステージの間にある排気口からミアの姿を探す。
小さな四角い窓からステージ上に上がるミアの姿が見えた。
胸の開いた赤いドレスを身にまとい、乳首には金色のピアスがはまっている。
雫型の鈴が揺れ、魚の尾ひれのように長いドレスの裾が虚空にたなびいた。
天井から四本の鎖が垂れ下がっている。
仰向けの状態で両手両足をつられ、背もたれが斜めになっている台に座らされる。
ミアの視線の先から鉄の檻が現れた。
残酷な出し物の始まりに、熱気を帯びた歓声があがった。
調教師が檻の扉を開けた。
長い涎を垂らした巨大な犬型の獣が現れる。
その狂暴な目は赤く燃え、醜い腹の下にはおぞましい棒がそそり立っている。
ミアの悲鳴があがった。
「きゃあああああっ」
悲痛な声を上げ、鎖で繋がれた手足をばたつかせる。
ミアの迫真の演技は評判も良く、嗜虐思考の常連客が増えている。
恐怖に青ざめるミアの顔に照明が向けられる。
鈴が可憐な音を立てて揺れ、ミアの髪が台の上からこぼれおちる。
胸をのけぞらせ、少しでも後ろに下がろうと腰を揺らすと、その股間に鞭が打ち付けられた。
「ああっ」
痛みのあまり、鞭を避けようとしても、開かされた両足は吊り上げられているため逃げようがない。
巨大な獣の体が迫ってくると、ミアはわざわざ観客席に顔を向け、歯を鳴らして震え出した。
獣の前足がミアの乗っている台に置かれ、華奢な体にその毛深い体がのしかかる。
調教師が観客に見えるように獣の股間を掴んで見せた。
巨大なそれは先端が膨れ、透明な液体で濡れている。
悲惨な出し物に、観客からも悲鳴があがる。
男達に連れてこられた女客の中には、正視できず逃げ出す者もいる。
再びミアの悲鳴があがった。
じわじわと体内に飲み込まれていく狂暴な肉塊に照明が当てられ、その悲惨なありさまが観客によく見えるようにステージがゆっくり回転を始める。
獣が腰を振り出すと、ミアの悲鳴は少しずつ変化し、甘い響きを帯び始める。
鈴を揺らす乳首に、鞭が振り下ろされ、甘い声が響き渡った。
「んっ!ああっ」
痛みと快感に翻弄され、ミアはひたすら凌辱され続ける。
興奮した客が女を買い、さらに部屋を借り、さらに酒の注文が入る。
客席は満席で、退屈していた客は熱狂し、さらに獣を焚きつけるように叫び続ける。
調教師も鞭をふるって獣をせかし、最後は壊れるのではないかと思うほどの腰遣いで獣は大量の液体を吐き出した。
檻が撤去されると、ぽっかりと開いたミアの穴がお披露目となる。
回転するステージの上に、くじで当たった客があがり、その中を覗き込み、金を払ってその状態のミアを犯し始める。
たっぷり二時間のステージが終わると、鎖は外され、ミアはふらふらと立ち上がった。
疲れ切った表情で微笑み、軽くお辞儀をする。
次の出し物のために場所を空ける必要があるため、ミアは急いで舞台袖にはけた。
しばらく待つと、ミアが配管室の中を這って現れた。
「見てくれた?」
明るいミアの表情に、リブも微笑みを返し、その体を引き寄せ腕に抱きしめる。
「私も今日の出し物で壊れたかもしれないわ」
「そうなのか?部品の確認はしてもらったか?男と違って女は部品に余裕があると聞いている。あとで部品室に行ってみよう」
ミアは体を少しだけ起こし、仰向けのリブの上に這いあがった。
低い天井に気を付けながらリブに口づけをする。
唇を離すと、二人は顔を見合わせた。
微笑みながらも不思議そうに二人は首を傾けた。
時々、体を重ね、口づけをしたくなる。
客もいないし、主人からの命令もないのに、二人はまるで一体として作られたかのようにくっついている方が良い気がするのだ。
作られた年代が近いからかもしれないとリブは言ったが、ミアはもしかしたら同じ部品を分け合って作られたのかもしれないと言った。
それが証拠に、体を重ねると壊れかけた部分も修復されていく気がするのだ。
「同じ開発室で生まれたのかもしれない」
だとしても、何が変わるわけでもない。
ミアはリブがいなくなった後のことを考えた。
この狭い隠れ場所にリブは来なくなる。
右の窓から赤茶けた過酷な大地が見える。
左の排気口からは娼館のステージが見える。
水蒸気が走る配管の音と、客達の歓声、それから砂嵐の音。
この景色も音も、リブと共有することが出来なくなる。
そう考えると、なんだか落ち着かない気持ちが沸き上がる。
この気持ちを何と呼ぶのか、ミアはわからなかった。
「ミア、そろそろ戻ろう。客が入るかもしれない」
出し者に使われた奴隷も、普通に客をとらされる。
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