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第三章 二人の秘密
39.一つの結末
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三十年経ってもジェイスは夜の遊びがお気に入りだった。
仰向けに寝そべった状態で上にローゼを乗せ、腰を振らせると、ジェイスは手を伸ばしその柔らかな胸を愛撫し、首を引き寄せて口づけをした。
熱く体を蕩かせ、ローゼは冷静な目で自分を見上げているジェイスを不満そうに見た。
「ね……早く……」
動いて欲しいとは言えず、顔を赤くするローゼの体をジェイスは下から突き上げ、ローゼは小さな嬌声をあげた。
またジェイスが動きを止め、疼くような快感にローゼは甘く見悶える。
耐えきれず、ローゼが腰を動かそうとすると、ジェイスはその腰を押さえつけてしまう。
熱く張り詰めたものがローゼの中で息づき、ローゼはもどかしそうにその熱から逃げようと体をよじる。
その瞬間、ジェイスは許可を与えるように魂を入れ替えた。
ジェイスの体にローゼの心が入り、さっきまで座っていたのに、今度は仰向けになっている。
ローゼは自分の体を見上げ、悲痛な声をあげた。
「ああっ!」
いまだに男の体の使い方を知らず、男の先端が温かな物に擦られるとあっという間に果ててしまう。
それを眺めながら、ローゼの体に入ったジェイスが腰を揺すり始める。
「気持ちよくなれたか?」
女の声が問いかける。
ジェイスの体に入ったローゼは、身をよじって逃げようとするが、脳を突き上げるような快感が全身に駆け抜け力が入らない。
「あっ……」
簡単に二回も果ててしまい、ローゼはジェイスに助けを求めるように手を伸ばす。
その手に抱かれ、ローゼの体はジェイスの体とぴたりと重なった。
途端にまた意識を入れ替える。
ぐったりとしたローゼの体を一回転して下にすると、ジェイスはその体に荒々しい愛撫を加え始めた。
「ちょ、ちょっと待って……」
肉体的には二度も出したジェイスは余裕でゆっくり腰を振るが、ローゼは二度も果てた感覚が抜けず、さらに女の体に戻ってからもジェイスに奥を突かれ、また上り詰めていく。
ローゼが意識を失う前に、ジェイスもやっと欲望の種を吐きだした。
「ローゼ、起きているか?」
ジェイスに背後から抱きしめられ、ローゼはかすかに首を縦に振る。
「この体で愛し合えるのもあとわずかだ」
驚くローゼにジェイスが続ける。
「もうすぐ最果てに移動する。あの混沌を収めなければならない。人の体を失うかもしれない」
「そうなのね……私たちは一緒でしょう?」
「もちろん。魂を入れ替えて遊ぶこともできるだろう。君が今みたいに感じやすい体でいてくれるとうれしいけどね」
ローゼの乳房をもてあそびながら、ジェイスの声は少し寂しそうに沈む。
人としての寿命を終えれば、ローゼはこの世界から消えてしまう。
ジェイスは魔法使いとしてローゼの転生を待つことになる。
ローゼはジェイスが人として生きようといった意味がようやく少し理解できた。
肉体が滅びたら自分の意思は消えてしまう。またジェイスに会えるのか、幸せになれるのか。
何も約束されないまま未知の世界に放り出されてしまうのだ。
「ねぇ……ジェイス、あなたの体をもっと感じたい……。また入れ替わってもいい?」
「俺の体は平気だが、君は疲れないか?」
「もっと感じておきたくなったの……」
互いの魂が入れ替わり、混ざり合うように探り合う。
「あっ……やっぱりすぐいっちゃいそう……もう無理かも……」
「君の体も感じやすくて最高だ」
甘い淫らな声が夜の静寂を遮り響きだす。
そんな塔の外に、広場を見守る親子の姿があった。
ゲイトと息子のラルフだった。
塔の窓から聞こえてきた声に驚いて叫ぼうとする息子の口を、ゲイトが素早く塞ぐ。
それは中で何をしているのか容易に想像がついてしまう淫らな声で、主に男の声ばかりが聞こえてくる。
「いやっ!またいっちゃう!そんなところ……だめ、そんなに動かしちゃ……」
これが女の声であれば最高に楽しいが、野太い男の声ではただひたすらにぞっとする。
もう何年もこの声を聞き続けているゲイトは真顔で、息子のラルフは若干青ざめている。
「これが、我ら第二騎士団が守り抜いてきた秘密だ。彼は国の窮地を救った英雄だ。
我が国に味方する全ての魔法使いの塔は崩壊寸前で、魔力が暴走し国は滅びかけていた。
隣国にまで最果ての魔霧が押し寄せ、我らは成す術がなかった。
ジェイスが塔の材料にされかけていたローゼを塔無しの魔法使いの企みから救い、生身の人間でありながらこの森を平和にするための塔を建てた。
二人は森を出られない身となり、彼は人の体を失った。
唯一の救いは、二人の愛が続いていることだ。彼らは二人でこれからもこの森を守り続ける。
俺達は塔が建ってから一日もかかさずここを守ってきた。
いいか、誰も近づけるなよ。彼の名誉を守り通せ」
息子は父親に口を塞がれたまま、はっきりと頷いた。
広場の外で天幕を張った第二騎士団の男達は既に慣れた様子で、黙って周辺を見張っている。
彼らも塔から夜な夜な聞こえてくる、野太い男の女のような喘ぎ声を外に漏らすまいとジェイスの名誉を守り続けてきたのだ。
「この森はさらに平和になり、誰もが容易にここに近づけるようになった」
ゲイトが手を離すと、息子は呼吸を整えた。
「それで、この周辺の壁だけが少し距離があり分厚いのですね。真っ先に完成した障壁だと習いました」
父親を見習い、息子も小声で話す。
「彼の塔が消えれば、この森の魔力がまた暴れ出すかもしれないからな。夜の事情がなくてもここは重要な場所だ」
安全になった夜の魔の森では獣の声すら聞こえない。
闇に同化し、全ては息をひそめ静かにうごめくばかりだ。
「わかりました。必ずこの秘密、守り通します」
明日から王城に上がる父のために、息子ラルフはその役目を引き継いだ。
月光夜草が塔の根元でほのかな光を放っている。
塔の窓から漏れるのはわずかなランプの灯りだ。
高すぎて揺れる影は見えないが、男の喘ぎ声は続いている。
ゲイトが「今日は少し長いな……」と心配そうにつぶやく。
無理矢理高くしたような男の声が響き、力尽きたかのように突然静かになった。
終わったのかと、ラルフは窓を見上げる。
と、今度はなまめかしい女の嬌声が夜風に乗って小さく聞こえてきた。
「あっ……また……ちょっとまって……うんっ……」
責める役を交代しているのかもしれないと、どうしてもその状況を想像してしまう。
「慣れたら無心で見守ることが出来るようになる」
ゲイトは息子の背を抱き、野営地に引き返しながら、この任務にかかせない情報を教えた。
「朝から開いている娼館がある」
仲間の兵士から聞くならまだしも、父親から聞くことには少し抵抗があった息子は顔を赤くし、小さな声で答えた。
「そ、それは他の方から聞いてもいいでしょうか……」
ゲイトの結婚は遅く、息子が生まれたのはさらに遅かった。
耳まで赤くした息子に、まさかと驚きの表情をする。
「まだなのか?!」
鼻の穴を広げ、むっつりと黙り込んだ息子のラルフに、父親は苦笑しながらその背を叩く。
「俺も人の事はいえないな」
秘密を共有したラルフを仲間達が温かく迎え入れる。
火を囲み、男達が語りだす。
それは第二騎士団野営組の日常の光景だった。
時折、声をおさえた笑い声が膨れ上がり、班長が静かにしろとたしなめる。
小声で交わされる騎士達の裏話に、ラルフがついつい興奮して声を大きくしてしまう。
その日は、王城に上がるゲイトのお別れ会であり、新しく仲間に加わるラルフの歓迎会だった。
ゲイトはもう二度と森をでることのない友の騎士時代の話をした。
彼がザウリの町で騎士団に加わった話や、他国に遠征した話、魔の森での戦闘、それから訓練中の彼の温かな人柄が引き起こした事件など、それは、ジェイスが普通の男であった時の思い出の数々だった。
今のジェイスは血肉を備えた生身の男にはとてもみえない。
赤く燃える目と黒い闇のオーラをまとい、白い肌には血の気がない。それでも普通の男であったことをゲイトは仲間達に知っておいてもらいたいと願っていた。
ジェイスとローゼの塔はある日、突然空っぽになった。
二人の姿が消えただけではなかった。家財の全てが消えていた。
まるで最初から誰もいなかったかのようながらんとした塔内を確認した第二騎士団はすぐにゲイトに連絡し、ジェイスを知る仲間達が集まった。
二階の窓辺に幸運の刺繍を施した衣類が積み上げられていた。
それは王国からローゼに依頼していた仕事の全てだった。
なぜ消えたのか、どこに行ったのか、誰も聞いていなかった。
さらに二人が消えた魔の森がどうなってしまうのか、それさえもわからない。
しかしその準備だけは整っていた。
「森を鎮めていた塔が消えた以上、また魔力が暴走する恐れがある。見張りを壁の外に移す。塔の魔法使い達を訪問し魔力に異常がないか、確認作業を始めよう」
王城に引っ込んだはずのゲイトがまた陣頭に立った。
後ろには息子ラルフもいる。
何があっても騎士達はその最前線に立つ。
王国は新しい時代に対応するため再び大きく動き出した。
仰向けに寝そべった状態で上にローゼを乗せ、腰を振らせると、ジェイスは手を伸ばしその柔らかな胸を愛撫し、首を引き寄せて口づけをした。
熱く体を蕩かせ、ローゼは冷静な目で自分を見上げているジェイスを不満そうに見た。
「ね……早く……」
動いて欲しいとは言えず、顔を赤くするローゼの体をジェイスは下から突き上げ、ローゼは小さな嬌声をあげた。
またジェイスが動きを止め、疼くような快感にローゼは甘く見悶える。
耐えきれず、ローゼが腰を動かそうとすると、ジェイスはその腰を押さえつけてしまう。
熱く張り詰めたものがローゼの中で息づき、ローゼはもどかしそうにその熱から逃げようと体をよじる。
その瞬間、ジェイスは許可を与えるように魂を入れ替えた。
ジェイスの体にローゼの心が入り、さっきまで座っていたのに、今度は仰向けになっている。
ローゼは自分の体を見上げ、悲痛な声をあげた。
「ああっ!」
いまだに男の体の使い方を知らず、男の先端が温かな物に擦られるとあっという間に果ててしまう。
それを眺めながら、ローゼの体に入ったジェイスが腰を揺すり始める。
「気持ちよくなれたか?」
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ジェイスの体に入ったローゼは、身をよじって逃げようとするが、脳を突き上げるような快感が全身に駆け抜け力が入らない。
「あっ……」
簡単に二回も果ててしまい、ローゼはジェイスに助けを求めるように手を伸ばす。
その手に抱かれ、ローゼの体はジェイスの体とぴたりと重なった。
途端にまた意識を入れ替える。
ぐったりとしたローゼの体を一回転して下にすると、ジェイスはその体に荒々しい愛撫を加え始めた。
「ちょ、ちょっと待って……」
肉体的には二度も出したジェイスは余裕でゆっくり腰を振るが、ローゼは二度も果てた感覚が抜けず、さらに女の体に戻ってからもジェイスに奥を突かれ、また上り詰めていく。
ローゼが意識を失う前に、ジェイスもやっと欲望の種を吐きだした。
「ローゼ、起きているか?」
ジェイスに背後から抱きしめられ、ローゼはかすかに首を縦に振る。
「この体で愛し合えるのもあとわずかだ」
驚くローゼにジェイスが続ける。
「もうすぐ最果てに移動する。あの混沌を収めなければならない。人の体を失うかもしれない」
「そうなのね……私たちは一緒でしょう?」
「もちろん。魂を入れ替えて遊ぶこともできるだろう。君が今みたいに感じやすい体でいてくれるとうれしいけどね」
ローゼの乳房をもてあそびながら、ジェイスの声は少し寂しそうに沈む。
人としての寿命を終えれば、ローゼはこの世界から消えてしまう。
ジェイスは魔法使いとしてローゼの転生を待つことになる。
ローゼはジェイスが人として生きようといった意味がようやく少し理解できた。
肉体が滅びたら自分の意思は消えてしまう。またジェイスに会えるのか、幸せになれるのか。
何も約束されないまま未知の世界に放り出されてしまうのだ。
「ねぇ……ジェイス、あなたの体をもっと感じたい……。また入れ替わってもいい?」
「俺の体は平気だが、君は疲れないか?」
「もっと感じておきたくなったの……」
互いの魂が入れ替わり、混ざり合うように探り合う。
「あっ……やっぱりすぐいっちゃいそう……もう無理かも……」
「君の体も感じやすくて最高だ」
甘い淫らな声が夜の静寂を遮り響きだす。
そんな塔の外に、広場を見守る親子の姿があった。
ゲイトと息子のラルフだった。
塔の窓から聞こえてきた声に驚いて叫ぼうとする息子の口を、ゲイトが素早く塞ぐ。
それは中で何をしているのか容易に想像がついてしまう淫らな声で、主に男の声ばかりが聞こえてくる。
「いやっ!またいっちゃう!そんなところ……だめ、そんなに動かしちゃ……」
これが女の声であれば最高に楽しいが、野太い男の声ではただひたすらにぞっとする。
もう何年もこの声を聞き続けているゲイトは真顔で、息子のラルフは若干青ざめている。
「これが、我ら第二騎士団が守り抜いてきた秘密だ。彼は国の窮地を救った英雄だ。
我が国に味方する全ての魔法使いの塔は崩壊寸前で、魔力が暴走し国は滅びかけていた。
隣国にまで最果ての魔霧が押し寄せ、我らは成す術がなかった。
ジェイスが塔の材料にされかけていたローゼを塔無しの魔法使いの企みから救い、生身の人間でありながらこの森を平和にするための塔を建てた。
二人は森を出られない身となり、彼は人の体を失った。
唯一の救いは、二人の愛が続いていることだ。彼らは二人でこれからもこの森を守り続ける。
俺達は塔が建ってから一日もかかさずここを守ってきた。
いいか、誰も近づけるなよ。彼の名誉を守り通せ」
息子は父親に口を塞がれたまま、はっきりと頷いた。
広場の外で天幕を張った第二騎士団の男達は既に慣れた様子で、黙って周辺を見張っている。
彼らも塔から夜な夜な聞こえてくる、野太い男の女のような喘ぎ声を外に漏らすまいとジェイスの名誉を守り続けてきたのだ。
「この森はさらに平和になり、誰もが容易にここに近づけるようになった」
ゲイトが手を離すと、息子は呼吸を整えた。
「それで、この周辺の壁だけが少し距離があり分厚いのですね。真っ先に完成した障壁だと習いました」
父親を見習い、息子も小声で話す。
「彼の塔が消えれば、この森の魔力がまた暴れ出すかもしれないからな。夜の事情がなくてもここは重要な場所だ」
安全になった夜の魔の森では獣の声すら聞こえない。
闇に同化し、全ては息をひそめ静かにうごめくばかりだ。
「わかりました。必ずこの秘密、守り通します」
明日から王城に上がる父のために、息子ラルフはその役目を引き継いだ。
月光夜草が塔の根元でほのかな光を放っている。
塔の窓から漏れるのはわずかなランプの灯りだ。
高すぎて揺れる影は見えないが、男の喘ぎ声は続いている。
ゲイトが「今日は少し長いな……」と心配そうにつぶやく。
無理矢理高くしたような男の声が響き、力尽きたかのように突然静かになった。
終わったのかと、ラルフは窓を見上げる。
と、今度はなまめかしい女の嬌声が夜風に乗って小さく聞こえてきた。
「あっ……また……ちょっとまって……うんっ……」
責める役を交代しているのかもしれないと、どうしてもその状況を想像してしまう。
「慣れたら無心で見守ることが出来るようになる」
ゲイトは息子の背を抱き、野営地に引き返しながら、この任務にかかせない情報を教えた。
「朝から開いている娼館がある」
仲間の兵士から聞くならまだしも、父親から聞くことには少し抵抗があった息子は顔を赤くし、小さな声で答えた。
「そ、それは他の方から聞いてもいいでしょうか……」
ゲイトの結婚は遅く、息子が生まれたのはさらに遅かった。
耳まで赤くした息子に、まさかと驚きの表情をする。
「まだなのか?!」
鼻の穴を広げ、むっつりと黙り込んだ息子のラルフに、父親は苦笑しながらその背を叩く。
「俺も人の事はいえないな」
秘密を共有したラルフを仲間達が温かく迎え入れる。
火を囲み、男達が語りだす。
それは第二騎士団野営組の日常の光景だった。
時折、声をおさえた笑い声が膨れ上がり、班長が静かにしろとたしなめる。
小声で交わされる騎士達の裏話に、ラルフがついつい興奮して声を大きくしてしまう。
その日は、王城に上がるゲイトのお別れ会であり、新しく仲間に加わるラルフの歓迎会だった。
ゲイトはもう二度と森をでることのない友の騎士時代の話をした。
彼がザウリの町で騎士団に加わった話や、他国に遠征した話、魔の森での戦闘、それから訓練中の彼の温かな人柄が引き起こした事件など、それは、ジェイスが普通の男であった時の思い出の数々だった。
今のジェイスは血肉を備えた生身の男にはとてもみえない。
赤く燃える目と黒い闇のオーラをまとい、白い肌には血の気がない。それでも普通の男であったことをゲイトは仲間達に知っておいてもらいたいと願っていた。
ジェイスとローゼの塔はある日、突然空っぽになった。
二人の姿が消えただけではなかった。家財の全てが消えていた。
まるで最初から誰もいなかったかのようながらんとした塔内を確認した第二騎士団はすぐにゲイトに連絡し、ジェイスを知る仲間達が集まった。
二階の窓辺に幸運の刺繍を施した衣類が積み上げられていた。
それは王国からローゼに依頼していた仕事の全てだった。
なぜ消えたのか、どこに行ったのか、誰も聞いていなかった。
さらに二人が消えた魔の森がどうなってしまうのか、それさえもわからない。
しかしその準備だけは整っていた。
「森を鎮めていた塔が消えた以上、また魔力が暴走する恐れがある。見張りを壁の外に移す。塔の魔法使い達を訪問し魔力に異常がないか、確認作業を始めよう」
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