学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林

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西条 誠

第二十五話

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「行ってきまーす!」
「「行ってらっしゃい」」

遅刻する!
急がないと!

恭介は急いで玄関を出て車の止まっている門まで向かう

「あれ?杉本さん?」
「若様、おはようございます」

門の前にはいつもは車の横にたって恭介を待っている運転手の杉本がいたのだが、今日は車はなかった

「杉本さん、車は?」
「大丈夫ですよ。もうすぐ到着されますので」
「到着?」
「ほら、来ましたよ」
「え、あの車って」

西蓮寺家の門の前に止まった車は恭介も見覚えのある車だった

「おはよう、恭介」

車から降りて来た人物が恭介に言った

「ま、誠!?どうして!?」
「今日はどうしても伝えたいことがあったんだ。……迷惑だったか?」
「いや、そんな事はないけど……。でも学校でも良かったんじゃない?」
「いや、決意が揺らがない内に、伝えたかったんだ」
「そ、そうなんだ。てことは、迎えに来てくれたの?」
「あぁ、乗ってくれ。車の中で話そう」

恭介と誠は西条家の車に乗り込む

え、なんだろ
昨日誠のことを抱きしめたのを怒ってるのかな?
うぅ、もしそうだったら謝らないと

「恭介、俺はずっと親父オヤジの事を勝手に誤解して、嫌ってた。でもそれは俺の勝手な思い込みだった。その誤解が解けたとき俺はこれまで親父オヤジを嫌ってたことがバカみたいに思えてきたんだ。……昨日、まさに俺がそんな事を考えてた時に恭介が声をかけてくれただろ?」
「……うん」

恭介は静かに頷いた

「俺はそんな恭介の事が……好きだ」
「……え?」
「今すぐ答えは出さなくていい。俺だって恭介に迷惑になることはしたくない……。けど、考えていてくれないか?」

え、えええぇええぇええぇえ!?
これって、こく…はく?
で、でも昨日友達って言われたばっかりで…えと、それに誠は男で、僕も男で……

恭介があたふたしているうちに誠は恭介の右手を両手で包み込むように握る

「……うん」
「ありがとう。恭介、好きだ!」
「んっ……!」

誠は唇同士を繋げるだけのキスを恭介にした

「……答えはいつでもいい。待ってるから」

え、えぇええ!!
い、今、きききき、キスされた!?

「……分かった。考えとく」

恭介は消え入りそうな小さな声でそう言った
誠にはそれが聞こえたのか満足そうな顔で恭介の頭を優しく撫でた

その時丁度、車が停車し運転手が扉を開けた

「誠様、到着しました」
「分かった。恭介、行こうか?」
「う、うん!」

恭介がこの告白に『Yes』と答えるか『No』と答えるかはまだ分からない。
だが、恭介にとって今回の告白は長い人生の中でもハッキリと記憶に残る事になったのは間違いない



END



──────────────

この作品はまだ続きがある予定なのでこんな感じでの完結となります笑
何人か他にも候補らしい登場人物がいるのは皆様も気づいているかもしれませんね笑
これにて『西条誠編』完結です。また気が向きましたら次は他の人物で書いていこうと思います。
これまで読んでくださった読者の皆様、ありがとうございました

紅林こうりん
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