学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林

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橋爪 裕翔

第九話

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恭介が家に着いた時、別荘の門の前で一人で立っている女性がいた
恭介は誰かと思いその女性に話しかける

「あのー、どちら様ですか?」
「まぁ、西蓮寺様!はじめましてですわね。私は貮百免にひゃくめん冬華ふゆかですわ。こうしてお会いするのは初めてですわね。この度は別荘にお招き頂きありがとうございますわ」

そう言ってお辞儀をした彼女は少し明くウェーブのかかった髪を肩あたりまで伸ばした可愛らしい女性だった

「あっ、麗花ちゃんの言ってたお友達ですね。貮百免様、ゴールデンウィークの間はどうぞゆっくりしてくださいね」
「はい!お願い致しますわ。それとせっかく『お泊まり会』というのをするのですからお互いに様付けはやめて下の名前で呼びませんか?」

やった!
僕が思ってた事を言ってくれた!

「はい!もちろんです!なんて呼べば……」
「冬華と呼んでくださいな。それで私は恭介、と呼ばせていただきますわね」
「うん!じゃあよろしくね、冬華」
「は、はい!もちろんですわ」

えへへ、やっぱり女の子に名前呼びされるのって麗花ちゃん以外にされたことないから緊張するなぁ

「じゃあ、部屋に案内するからどうぞ入って」
「はい、お邪魔しますわね」

別荘に入りリビングで二人は先程行ったスーパーで買った紅茶を飲みながら残りのメンバーの到着を待った
茶葉だけは恭介が配送サービスを使わずに持って帰ったのだ

恭介と冬華が雑談をしながらのんびりしているとインターホンがなった

「誰だろ?見てくるからちょっと待っててね」
「わかりましたわ」

恭介はインターホンの管理パネルの所まで行き確認すると急いで門に向かった

「ゆーとー!いらっしゃい!」

走って駆けつけると門の前には使用人と二人で少し緊張した表情をした橋爪裕翔がいた

「さ、西蓮寺様!こ、この度はお招き頂き、かかか、感謝致します!こ、こちらは父からの土産です!」
「ふふっ、ちょっとは落ち着いてよ!そんなに緊張しなくてもいいのに」

恭介は隣に立っていた橋爪家の使用人から紙袋を受け取って中身を見た

「あっ!雉屋きじやのいちご大福!これすっごく美味しいよね」
「気に入ってもらえてよかったです。あの、ちなみにまだ誰も来てないんですか?」
「ううん、冬華が結構早く来てたよ。だから裕翔は二番目だよ」
「え!?」

裕翔は驚いた。自分も中々早く来たつもりだったがまさか貮百免冬華に先を越されているとは思ってもいなかったのだ。
裕翔は今回自分が一番格下の家柄であることは分かっている。だからこそ一番最初に行って色々と手伝いなどをしようと思っていたのだ

「ま、そんな事よりあがって!それと今日から僕のこと名前で呼んでよね。せっかく『お泊まり会』するんだから様付けも禁止」
「わ、分かりました」
「ふふっ、じゃあ試しに一回読んでみて!」
「え!?」
「ほら早く!慣れないとダメでしょ?」
「……きょ、恭介」
「はい、よく出来ました。ふふっ、言おうと思えば言えるんだからこれからもそう呼んでね!」

そう言って恭介は橋爪家の使用人に会釈をしてから裕翔の手を握り屋敷の方へと連れて行った



──────────────

裕翔くん、何故かこの物語の中では格下の家柄ってことになってますが周りがスゴすぎるだけですよね笑
あと恭介くんがスーパーのお茶を飲むことはほとんどないです。今回は自分で全て用意したいという本人の希望があったので使用人が何も用意してないので一般的な茶葉を使ってるみたいですね笑
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