僕と君

りーたん

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第三章

美咲と家族

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俊二と美咲が付き合って3ヶ月が経った頃美咲はあるトラブルを抱えていたのだった。しかし俊二はこの時まだ何も知らなかった。
美咲のトラブル。そう、実は美咲は家族をあまり受け入れる事が出来ないのだ。美咲はずっと家族の事で悩んでた事があり、その事はまだ俊二にも伝えては居なかったのだった。

「どうせ私なんてあの家族にとっては邪魔なのよ…。だったら私から家出してやる!!」

いつも俊二の前では明るく振る舞う美咲だが、1人になると家族の事で悩まされ、辛くなってしまうのだった…。そんな時俊二から電話が掛かってくる。

「もしもし…?どうしたの??」

辛い自分を隠そうと必死になる美咲、だが既に遅かった。

「いや、美咲と話したくて掛けたんだけど…、なんかあったの…??」

心配する俊二に美咲は

「別に何でもないよ。気にしないで…。」

どこか冷たげな表情を浮かべながら俊二に答えた。それを聞いた俊二は

「絶対何かあるよ、話してごらんよ?隠し事はなしって言ったろ?」

俊二と美咲はある約束をしていたのだった。それはお互いに隠し事は絶対しないということ。俊二はどんな事でもお互いを守り通そうと決意し美咲と約束したのだった。

「でも…。私の問題だし、俊二に話しても分からないよ?」

これを聞いた俊二は

「分からないって言ってくれなきゃ余計わかんないよ、だから話してよ、何があったの?」

俊二の一言に安心した美咲は意を決して話した。

「実はね、私家族が好きじゃないの。分かってはいるけど、どうしても受け入れられないの…。俊二…、助けて。」

涙を流す美咲、それを見た俊二は美咲を慰める。

「美咲、無理に受け入れろとは言わない…。でも、もし辛いなら僕の所へおいで。美咲の居場所は家族の所だけじゃなくて、僕のそばに居ることでもあるんだから。」

「うん…。ありがとう、俊二…。」

美咲は涙を流しながら俊二と話を続け、少しずつ落ち着きを取り戻した。俊二はこの時思った。

「自分がもっとしっかりしないと…。美咲のためにもっと頑張らないと…。」

自分に喝を入れた俊二は美咲を必死に守る決意を一段と固めるのだった。

数日後、俊二と美咲はデートをした。いつものように2人は手を繋ぎ色んな街をぶらぶらしたり、ゲーセンに行って楽しんでいた。そしてその夜、俊二は美咲の門限に近づいたことに気づき、美咲に帰ることを繰り出した。だがしかし美咲は帰ろうとしなかった。

「美咲、そろそろ帰らないとまた怒られるんじゃないの?」

俊二が美咲に帰宅を促すと美咲は首を振り帰ることを拒んだ。

「俊二、私あの家に帰りたくない。もう家族といる事が嫌なの…。」

美咲は帰りたくない理由を俊二に吐き出した。しかし俊二自分の家に連れていくことも出来ないためどうしたらいいか悩んだ。

「でもずっとここにいる訳にも行かないじゃん?また会えるんだしさ、今日はもう帰ろう?」

俊二は美咲に呟くと、美咲は俊二にお願いをした。

「俊二、今日俊二の家に泊まっちゃダメ?」

びっくりする俊二ホントならそうしてあげたいと思うが、親の許可も必要な事に気づいた俊二は

「美咲、僕はいいけど、でも親に連絡しないとさ…。」

それを聞いた美咲は、自分の親に電話をかけた。そして電話が繋がった。

「もしもし、お母さん?あのね、今日彼氏の家に泊まりたいんだけどいい?」

すると母親は

「泊まるって言われても私は何も言えないからお父さんに聞いてみるね、ちょっとまってて。」

そう言って通話が切れた、しばらくすると今度は父親から電話が来た。

「もしもし…。」

「美咲!!どういう事だ!!早く帰ってきなさい!!自分で何を言ってるのか分かってるのか!?」

激怒する父親に美咲は

「なんで私が怒られるの!?正直に言うね、私帰りたくないの!!家族が嫌いなの!!だから彼氏の家に泊まっちゃダメ?って聞いてるのに!!」

美咲は自分の思いを伝えた。すると父親は

「ちょっと美咲の彼氏にかわりなさい!!」

美咲は俊二に携帯を渡すそして俊二はそれを手に取り耳に当て話しかけた。

「どうも初めまして、美咲さんと真剣にお付き合いさせていただきます、青木俊二と申します。」

自己紹介を済ませる俊二だが、美咲の父親の怒りは収まらなかった。

「君、困るんだよ!!美咲をちゃんと家に帰すように言ってくれないとさ!!」

「申し訳ないです、私と致しましても美咲さんにはお伝えしたのですが、帰りたくないと言うばかりで…。」

「とにかく俺がそっちまで行って美咲を迎えに行くからそれまで美咲と一緒に居なさい!!」

「分かりました…。申し訳ないです。」

俊二は美咲に携帯を返す。そして美咲は父親と話した。

「とにかく私帰る気はないからね!?」

「ダメだ!!今からそっち行くからちょっと待ってなさい!!」

そう言って父親は通話を切った。

美咲は怯えながらも俊二に謝った。

「ごめんね、俊二…。私の父親私の事全くわかってくれないの…。だから嫌いなの…。」

「うん、ごめん…。俺もちょっと美咲の父親にはカチンと来たね。なんで僕が怒られないと行けないの!?ってなったんよ。」

俊二は終始イライラしていた。父親と話した時の事がきっかけだったのだ。

そして俊二は美咲の父親を待つ間、美咲を落ち着かせる為街をぶらぶらしはじめた。

そして数時間後、美咲の父親からまた電話が来た。

「なに?帰りたくないって言ったでしょ。」

「今どこだ!?」

「今駅前に居る!!だいたいなんで迎えに来るの!?もういいじゃん!!ほっといてよ!!」

「今俺もその付近に居るからそこで待ってなさい!!」

「…。」

美咲は通話を切った。そして俊二にここで待つように伝えた。

そして、美咲の父親が来た事に気づいた美咲は俊二の後ろに隠れる。

俊二もこの時美咲に危機が訪れるとは知る由もなかった。

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