追放された無能王子、実は最強の魔法使いだったので――聖女も女騎士もまとめて極上魔法でトロトロにしてやります。

小林ユキ

文字の大きさ
1 / 9

第1話:無能王子の追放と、甘美なる魔力の目覚め

しおりを挟む
「――アルス・レイガード。貴様を本日付で王族から除名し、国外追放に処す」

 冷徹な声が、豪奢な謁見の間に響き渡った。
 玉座に座る父、国王の目はゴミを見るかのように冷たい。その傍らでは、次期国王と目される兄王子が勝ち誇ったような薄笑いを浮かべていた。

「魔力量は測定不能のゼロ。適性属性もなし。我が王家の血を汚す無能など、この国には不要なのだよ」

 アルスは膝をついたまま、拳を握りしめた。
 測定不能だったのは、既存の魔導具では測りきれないほど魔力が膨大だったからだ。だが、それを説明する機会さえ与えられない。

 視線を向けると、かつての婚約者である聖女・クラリスが、軽蔑の眼差しを向けてきた。
「……見損ないましたわ、アルス様。力のない殿方に、私が仕える価値などありません」

 その言葉が、アルスの心の中で何かが弾ける音をさせた。
 悲しみではない。どろりとした、熱い「何か」が腹の底で渦巻き始めたのだ。

「……そうですか。ならば、勝手にすればいい」

「フン、負け惜しみを。……おい、連れて行け! 転送魔法で『絶望の森』へ放り込め!」

 儀仗兵たちに両脇を抱えられ、アルスは強引に魔法陣の上へと立たされた。
 光が溢れ、視界が白く染まる直前。アルスは確かに見た。
 自分を嘲笑う兄と、冷たく背を向ける聖女の姿を。

(……いつか、後悔させてやる。そのプライドも、身体も、全部めちゃくちゃにしてな……)

 ----

 転送された先は、陽の光さえ届かない原生林だった。
 着の身着の着のまま放り出されたアルスの前に、巨大な牙を持つ魔獣・ブラッドウルフが姿を現す。

「グルルッ……」

 死の予感が脳を焼く。その瞬間だった。
 アルスの体内で、今まで抑え込まれていた膨大な魔力が、ついに「形」を成して溢れ出した。

 それは、通常の魔法のような無機質なエネルギーではない。
 どこか甘く、とろけるような熱を帯びた、桃色の魔力。

『――源流魔術、起動。深淵なる“極上”の深淵へようこそ』

 頭の中に、甘美な女の声が響く。
 アルスは吸い寄せられるように、迫りくる魔獣に向けて右手をかざした。

「……消えろ。それか、溶けろ」

 指先から放たれたのは、一筋の閃光。
 だが、それは魔獣を焼き切るのではなく、包み込み、ドロドロの液体へと変えてしまった。抵抗する間もなく、狂暴な獣が愛玩動物のように床に伏し、甘い声を漏らして消滅していく。

「これが……俺の力か」

 自分の身体から溢れる魔力を自覚したその時。
 背後で、硬質な金属の音が鳴った。

「……生きていたか、無能王子」

 振り返れば、そこには白銀の鎧に身を包んだ女騎士・カトリーヌが立っていた。
 王家最強の剣と謳われる彼女は、兄王子の命を受け、アルスの首を確実に狩るために追ってきたのだ。

「貴方の死をもって、この件は終わりにしましょう。……安心なさい、苦しませはしないわ」

 凛とした美貌に、慈悲のない瞳。
 だが、今のアルスには分かる。彼女の鎧の下で波打つ、瑞々しい魔力の流れが。

「苦しませない……か。なら俺も、お返しに最高に『気持ちいい』のを教えてやるよ」

 アルスは不敵に微笑み、極上の熱を帯びた手を、カトリーヌへと向けた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...